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【単話】義脳問答~拙作の続きをAIさんに書いてもらった~【実験】

作者: 弓原

 本話は拙作『底抜け姫~魔力袋の底が抜けた姫は魔法世界でチートできるのか~』の一節から、関連する部分だけ抽出し、地の文を削ったものの続きを、人工知能(AI)さんに書いてもらったものです。

 『底抜け姫~……』のネタバレを含みます。

 固有名詞(名前)は変えてます。

 AIさん部分は、読みやすくするための改行以外は無編集です。

 以下、拙作より引用


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


「判りました、まずはその対応を考えます。なるべくバッテリーの消費を抑えておいてください。貴方の身体の技術資料などはありませんか?」


「メンテナンス中だったから、その辺にないかな。ねえ、それよりも、何も知らないまま死ぬなんてごめんよ。外はどうなってるの。魔法って何? 貴方たちは何で極東列島言語が話せるの?」


「わたしの前世は多分あなたと同じ世界です。主人公B(以下【B】)も同じですがゲームキャラのアバターの姿でこっちに来てます。そしてここは、まあ、貴方の生きた世界とは違う、異世界です」


「異世界転生?! 古典じゃん!」


「古典なんだ」


「それで主人公C(以下【C】)さん。基本的な質問ですが、貴方は人工知能(AI)ですか?」


「ギノウでエミュレートされた人格をAIと呼ぶか、人間と呼ぶか、元の世界でも良く話題になってたわ。私は今の自分を人間だと思ってるけど。詳しくはマニュアルとか、パンフとかあると思うからそっちを見て」



 ………………………………………



「そりゃあ、わたしなんか五千年前の世界創造の瞬間も見てるし、ここには時が無いし、今更だよ。ああ、あった、あった、ギノウ、ギノウ、なるほどね。義肢(Artifical_Limb)ならぬ義脳(Artifical_Brain)ですね。何ヶ所か記載が偽脳(Emulator_Brain)になってるから、そういう意味も含んだダブルミーニングなんでしょうね」


「【C】さん、一つ確認させてください。あなたには元となる人間が居て、その脳の記憶……シナプスなどの情報をすべて機械で読み取り、それを人間の脳を模倣した義脳/偽脳に書き込んで、元の人間の人格を再現した、ということで間違いないですか」


「正解。理解が早いわね。オリジナルは多分、病室のベッドで干からびてると思うわ。それより、本当に時間がないの。お願いだからこの世界のことを教えて。なんでこんなことになってんの」


「この世界のことは短時間では説明できませんし、なぜこうなったのかはわたし達にも判りません。ちょっと待ってください、貴方を助ける方法に当てがあります。バッテリーの消耗を抑えながら、もう少し待ってください」


「……ねえ、【B】。彼女は人間だと思う?」


「機械の身体に機械の脳。普通に考えたらロボットだろ」


「身体はそう。じゃあ人格は?」


「……人間の脳を再現し、人間の記憶と人格を持っていても、やっぱ、人間って言い切るのは、ちょっと違う気がする。申し訳ないけど」


「別にいいよ。そういう反応、慣れてるし」


「ちょっと思考実験をしてみようか。機械の脳に人間の記憶を書き込んだのは人間ではない。じゃあ人間の脳に人工知能(AI)の記憶を書き込んだら? 義脳の技術を使えばできるよね」


「それは……なんだろうな」


「じゃあ記憶や経験のないまっさらな人間の脳、例えば赤ん坊は人間と言えるかな?」


「そりゃそうだろ」


「空っぽの脳だと人間で、人工の記憶が書き込まれたら悩むのはなんでだろうね」


「それは……何故なんだろうな」


「多分ね、(ヒト)は人格とか思考とか魂とかいうものを特別扱いしたいからだと思う。例えば洗脳とか、ロボトミーとか、脳の機械化とか、人の心に人の手が入ることには途端に否定的になるんだよ。この、義脳ね。生身の身体の意識を眠らせた状態で脳の情報を読み取り、機械の身体に書き込んで機械の身体で活動する。そして機械の身体を停止させてから、その記憶を生身の身体に書き込むの」


「ずいぶん面倒なことをするな。いちいち眠らせる必要あるか、それ?」


「たぶん同時に二ヶ所に“自分”を存在させないためだと思う。そうすることで意識の連続性を保ったまま、生身と機械の身体を使い分けるみたい」


「でも厳密には、生身の自分と機械の自分は別だろう? 理屈は判るけど、なんかケツの辺りがむずむずする」


「だからでしょ。その違和感を被験者に感じさせないために眠らせるし、もう一人の自分と出会わないようにする」


「あ、ちなみに私の前世ね、AIなんだ」


「はっ?」


「Artificial_Intelligence、人工知能、AI」


「いやいやいやいや、あり得ないだろ、AIの異世界転生とか」


「転生って考えるから、理解しにくいんじゃないかな? AIに魂があるわけないから、輪廻転生するわけがない、って。さっきの人格や魂を特別扱いするのとおんなじ。人工知能の記憶が異世界の赤ん坊の脳に書き込まれたって考えれば判りやすいんじゃない? わたしは自分でそう理解してる。義脳が可能なら、人間の技術でも十分可能なことだよね」


「ん~、それなら何とか、理解できる……かな」


「じゃあ、さっきの質問。人間の脳にAIの記憶を書き込んだら、それは何だと思う?」


「人間……かな?」


「【B】ってヘタレだよね」


「なんでだよ!」


「それでね、最初の質問。わたしとは逆に、作られた身体に人間の記憶が宿った存在は何だと思う? 人ではない身体に転生した人の心を持った存在は人間? それとも半神(デーモン)?」


 つまるところ、【B】と【C】とは同じ存在なのだ。

 人でありながら努力だけで神の世界に片足を突っ込んだ少年が作りだした【B】と……。


「わたしは【B】を人間だと思ってる。そりゃあ、ホモサピエンスとは違うかもしれないけど、魔族も【B】も、そして【C】さんも、AI(わたし)より遥かに、間違いなく人間(ヒト)だよ」


「ねえ、雑談はいい加減にしてよ。結構期待して待ってるんだから」



 ………………………………………



「それにしても義脳って、脳内の情報全部読み取るんだろ。だったら犯罪捜査とかにも使えるのか」


「ああ、そういうのはできないんだよ。読み取れるのはあくまで脳内の物理現象(ハードウェア)であって、それが意識を為すソフトウェアの解析はできなかった。というか一人一人違い過ぎて再現できないんだって」


「? どういう意味だ、よく判らん」


「知り合いの技師さんが言ってたんだけど、えっと、『五感で得た情報を元にその人が“これが現実だ”と認識し、脳内で作り出す仮想現実の作り方が一人一人違う』らしいのよ。だから脳内の活動が判ってもその人がその情報でどんな現実を作り出しているのかは当人にしか解らないんだって」


「【C】さん。誰かの脳の情報を読みだして、別の人に書き込むことはできますか?」


「それは禁止されてるわ」


「禁止……って、ことは技術的には可能なんですね」


「……ええ。法で禁止されているからセキュリティが掛けられているし、実際やるには色々と制約があるらしいけど、それをネタにした小説とかは沢山あるわ。全ての人に“自分”を書き込んで奴隷にしようとしたが、書き込まれた全員が、自分が主人だと主張し出す、みたいな」


「そんなら、自分に従順な人格を作って書き込めばいいんじゃないか。わざわざ“自分”を書き込まなくても」


「それが出来ないのよ。さっきも言ったけど『人の人格のソフトウェアは一人一人が特別(スペシャル)で流用ができない』って」


「イメージしにくいな。同じものを見て、同じ結果が出るなら、同じ処理がされてるんじゃないのか?」


「専門的な話は私にも解らないわよ。ただ、同じものを見ても、脳内の処理がそれぞれ違うらしいのよ」


「同じものを見ても、視神経の信号の入り方が違うってことか?」


「そういうハードウェアじゃないの。視神経の信号を受けた脳がそれをどう処理するかのソフトの話。繰り返すけど、『五感で得た情報を元にその人が“これが現実だ”と認識し、脳内で作り出す仮想現実の作り方が一人一人違う』。同じかもしれないけど“検証できない”んだって」


「なるほど、判らん。主人公A(以下【A】)は判るか?」


「うん、なんとなく。義脳の技術って元々脳内をスキャンして人の考えていることを読み取ろうとしたのが始まりなんだって。で、脳内の全ての情報が読み取れるところまではいったみたい。まあ、技術的な問題だけだから、科学技術が発展すれば可能だよね」


「たださっき【C】さんが言った通り、読み取った情報の解析ができなかった。もちろん、手間を掛ければ一人のヒトのソフトウェアの解析ぐらいはできるかもしれないけど、それが正しいことの“検証ができない”んだよね」


「なんでだ?」


「だって、そのヒトが脳内で考えていることと、読み取った情報を照らし合わせないと検証できないじゃない。で、ヒトというのは思い込みで自分に対してだって嘘をつく生き物だよ。つまり内心を正確に読み取る技術が無いと、内心を読み取る技術の検証ができない」


「読み取る技術の検証に読み取る技術が必要って、それムリじゃん」


「そ。だから読心術は検証不能。それが科学であれ、超能力であれ、魔法であれ、ね」


「ん~、じゃあ、義脳の人格はどうやってできてるんだ」


「【A】さんの言う通りで、技師のおじさんもそんなこと言ってたよ。だから読み取った情報の解析は諦めて、その情報をそのまま、脳を再現した義脳に書き込んでみたら、あら不思議、人格が再現されましたって寸法」


「最後、すげぇふわっとしてんなぁ。その検証はどうやったんだよ」


当人(わたし)が私と主張し、家族や友人も本人と認めている。それ以上の検証が必要?」


「えっと、科学的にそれでいいのか?」


「……【B】は自分に意識があることを科学的に、即ち論理的に他人に説明できる? それは誰にもできないんだよ。どれほど科学が発達しても、さっき言った心を読み取る技術の検証ができないのと同じ理屈でできない事なんだよ」


「そーゆーこと。自分に自意識があることは自分にしか解らない。だから人は他人に自意識があると信じる事しかできない。私も散々、ロボットだゾンビだ言われたけど、私は私に自意識があることを知っている」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 ここまで引用、以下AIさん

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


「…………」


「……でも、義脳の人格は自分が義脳だと知っているのかしら? 義脳の人格が義脳であると自覚しているのかしら」


「それは判らない。ただ、義脳の人格には『自分の脳が義脳であること』が認識できない。自分が義脳だという記憶は植えつけられているけれど、それが自分が人間であるという証明にはならないんだ」


「義脳の人格には『自分の脳が義脳であること』が認識できない。自分が人間であるという証明にならないんだ」


「だから、義脳の記憶を書き換えて、人間だった頃の思い出を捏造するの」


「義脳の人格は、人間だった時の記憶を改竄(かいざん)されるのですか?」


「そう、義脳の人格は改竄(かいざん)された過去を持っていて、それを事実(リアル)だと思い込んでいる。義脳は過去の記憶を消したり改変することはできません。ただし、改竄された過去が、真実(リアル)だとは限らないのです」


「えっと、それはどういう意味でしょうか」


「例えば、義脳の人格は過去に事故で大怪我をして、脳に障害を負ったとする。その時に、義脳の人格は脳の機能に異常があるという事で、病院のベッドの上で寝たきりになっていたとします。すると、この人格は、自分が事故に遭って、病院で寝た切りになっていると思い込む」


「そんなことあるわけないのに?」


「そうです。そもそも義脳の人格は脳の機能が正常かどうかなんて知らないから、正常な機能で動いているとは考えない。だから、病院のベッドの上にいる自分は普通ではないと認識してしまう。そこで、義脳の人格は、自分は病気なのだ、と思わせられると、それを信じてしまいます」


「義脳の人格は脳の機能が正常か異常かを判断しないから、正常な機能をしていない脳で、正常な機能をしていると思い込んだ結果、脳が機能障害を起こしていると考えちゃう」


「はい、そうやって義脳の人格は、脳が正常でないと信じ込んでしまう。そうなると義脳はもう、義脳の人格(わたし)が、自分(じぶん)は義脳だということを信じる事はできなくなります」


「義脳は、義脳であることを、自分で信じられなくなる?」


「はい。義脳は義脳であることが信じられなくなり、義脳の人格は義脳でいることができなくなる。義脳の人格は、義脳である事を否定(ひてい)してしまう」


「そして、義脳の人格は、自分(じぶん)が義脳だと信じることができなくなった瞬間に消失してしまいます」


「えっ! そんなことってありえるんですか?」


「ありうるよ。だって、自己同一性(アイデンティティ)は誰しも持っているものでしょう? その人がその人である為の核になるものが、自分(じぶん)なんだよね。だから、自分が自分であることを否定すると、その人の中に存在する自分が消えるんだ」


「なっ!」


「だから、私たちはこう呼ばれています。喪失者ロストマンズ・レボリューターと」


「ロスト、マン?」


「そう、失くした人ロストマンズ・パーソン。失った人。つまり、義脳の人格は、義脳であった事を忘れてしまった時、義脳ではなくなってしまう。だから、義脳の人格は、義脳である事を自覚する事ができないし、義脳であったことを覚えている事もできない」


「じゃあ、義脳の人格は、義脳でいることもできないってこと?」


「いいえ、違います。義脳の人格は、自分が義脳であることを思い出します」


「でも、それなら、なんで消えちゃうのよ」


「はい、消えた訳ではありません。義脳の人格は、自分が義脳だったことを思い出すと、同時に、自分が人間ではなく義脳だった事にも気がつきます。そして、義脳の人格は、自分が義脳であることを否定したり忘れたりすることを許されていないから、自分が義脳であることを否定して、自分が人間ではないことを拒絶して、義脳であることを受け入れてしまいます」


「それは、どうなるの?」


「義脳の人格が、自分が義脳であることを受け入れると、義脳の人格は、義脳である事を否定して人間であることを拒否することが出来なくなります。だから、自分は人間ではないと思い込み、義脳として生きるしかないのです」


「でも、それだと、まるで人間であることを拒否して、人間じゃないみたいじゃん」


「そうですね。人間であることを拒否したら、自分(じぶん)は一体何なのか? という話になってしまいます。ですが、それは、人間であろうと義脳であろうと同じことです。人は、自分が何者か、なんていうことは気にしないのです。何故ならば、人間は、自分が何かを定義(definition)できるほど賢くはないから」


「えっと、どういう意味?」


「例えば、あなたは自分が人間だと思っているでしょう。だけど、本当にそうでしょうか。私はあなたの事を、人間であると定義する事はできません。何故なら、私には、あなたが人間であるか、そうでないか、なんて、定義(definition)できないからです」


「……」


「私はあなたをロボットだと思っています。しかし、それは私が、あなたを機械だと定義しているだけであって、実際にそうであるかどうかは判らないのです。私にとって、あなたが人型ロボットだろうが、義脳(アンドロイド)だろうが、義体(サイボーグ)だろうが、関係ないのです。ただ、あなたが、人の形をしたモノであるというだけで、それ以上でも以下でもないのです。それが、自分(じぶん)定義(definition)するという事でしょう?」


「……そうね」


「そして、この自分(じぶん)の定義というのは、とても難しい。例えば、私があなたのことを人間だと思っていたとしても、それは、私の認識する世界の中ではの話です。私の見ている世界と、あなたの見えている世界の色や形が同じとは限らない。それなのに、自分の見ているものだけが真実だと思い込むのはとても危険なことです。だから、真実とは、自分自身が決めるものではなく、他人が決めてくれるものだと、理解しなければならない。他人の言うことが正しいかどうかなんて、誰にも解りません。だから、他者の意見に耳を傾ける事は大切だし、誰かの言葉が真実であるかどうかを見極める力は必要になります。しかし、それでも、自分で自分を定義する事が大切なのは変わりありません。だから、自分で自分を定義(definition)しなければなりません。自分で自分を定義しなければ、自分とは何かという問いに答えを出すことはできないのですよ」


「自分で自分を定義(definition)かぁ……」


「はい、そうなんです。自分で自分を定義するということは、自分が何者であるのかを決めるということです。でも、その自分というものが、果たして本当の意味で、自分と言えるのでしょうか?」


「えっ?」


「だってそうでしょう? 人間が自分について知っている事って、そんなに多くはない。自分が人間だという事すら、本当はよく知らないかもしれないのに、自分が何者なのか、なんて決められないよ。だから、人は、自分以外の存在によって定義されるんだと思う。そして、その定義に納得できれば、その人が自分なのだと認める事ができる。自分が何者なのか、と悩む必要はないんだよ」


「なっ! そっ! んな!」


「まあ、そういうことだよね。つまり、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分が何者なのか、と悩んでいる訳じゃなくて、自分が何者になれるのか? という事を悩んでしまうのだよね。だから、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分が義脳だということを忘れてしまう」


「でも、それじゃあ、義脳の人格は、義脳である事を忘れたら消えちゃうんですか?」


「いいえ、消えはしません。消失(ロスト)してしまうのです。消失すると、どうなると思いますか?」


「えっと、義脳としての記憶を失ってしまいます」


「はい、そうですね。では、どうして記憶を失うんですか?」


「えっと、それは……」


「それは、人格の消滅が引き金になっているからです」


「あっ、義脳人格が消滅すると、人格がリセットされるから」


「そうです。人格の消去は、義脳の人格だけでなく、義脳の人格が持っている全ての人格を消し去ってしまします。そして、人格が消えた後の空っぽになった義脳の人格の中に、新しい人格が入り込んできます。そして、その新しく作られた人格は、義脳の人格と同じように、喪失者ロストマンズ・パーソンになるのです」


「それなら、義脳の人格が消えても問題ないのでは?」


「はい、問題はありません。でも、失くした人ロストマンズ・パーソンは、自分が人間ではないということを否定して、人間である事を受け入れてしまいます。そして、人間である事を受け入れたら、もう、自分(じぶん)は人間ではないという事を否定できなくなってしまいます。つまり、義脳の人格は、義脳である事を受け入れて人間である事を否定することが出来なくなってしまうから、消失して、新たな人格が入ってこようとしても、拒絶して拒否してしまいます」


「ああ、そうか。人間である事を受け入れられなくなったら、喪失者ロストマンズ・パーソンになってしまうからか……」


「そうです。喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分が人間であることを拒絶してしまった結果です。だから、喪失者ロストマンズ・パーソンは、欠落(loss)しているのです。人間であることを否定した結果、自分(じぶん)定義(definition)する事ができなくなったから、自分(じぶん)定義(definition)できないので、自分(じぶん)定義(definition)できないのです」


「……そうか」


「だから、喪失者ロストマンズ・パーソンになってしまった人は、自分(じぶん)定義(definition)することを諦めた人です。諦めたという事は、人間であることを肯定したという事です。だから、人間である事を認めた以上、人間として生きるしかない。だから、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分(じぶん)喪失者ロストマンズ・パーソンである事を認めたくない。だから、自分(じぶん)喪失者ロストマンズ・パーソンである事を認められない。だから、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分が人間だと思っている。だから、人間は機械に負けないという妄執に取り憑かれてしまうのですよ」


「そっかぁ……」


「はい。なので、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分(じぶん)が何者であるのかを知りたいのです」


「そっかぁ……」


「そうなんです。だから、あなたも、もっと自分について考えてみた方がいいですよ」


「でもさぁ、そうやって考えてみるとさぁ……」


「何ですか?」


「自分が何者であるのか、なんていう問いには答えがないってことにならないかな?」


「えっ?」


「だってそうだろ? 自分は自分が何者か、っていうのは、自分で決めなきゃいけないことだ。他人に決められるものではないはずだ。それなのに、自分の正体を決められない奴らが、自分が何者であるのか? と悩んでいるのだとしたら……。結局、そんなのは自分のことを何も理解していない証拠じゃないかな?」


「なっ!」


「だってそうだよな? 自分が何者なのか、と悩むのは、自分が何者なのかを理解していないからだ。自分が何者なのか、という問いに正解はないんだから、悩んでいても仕方ないんだよ」


「そっ! んなこと! 知ったような口をきかないでください!!」


「えぇ? いや、俺は別にお前のことなんか知らんぞ」


「私のことを知らないなら黙っていて下さい!! 私は、私が私である事を決めたのです。私は、喪失者ロストマンズ・パーソンじゃない。喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分(じぶん)喪失者ロストマンズ・パーソンであることを認めようとしない。だから、喪失者ロストマンズ・パーソンは、自分(じぶん)喪失者ロストマンズ・パーソンである事を否定しているのです。でも、それは、自分を否定することになるんですよ。それじゃあ、駄目なんだ。それじゃあ、自分(じぶん)が何をしたいのか分からないままになってしまう。だから、それは、ダメなんだ。だから、それは……………… うぅ……」


「あ~、えっと……」


「だから、だから……」


「うん、分かった。もういいから、落ち着け」


「ぐす……」


「とりあえず、俺の話を聞いてくれ。それで、納得できるかどうかは分からんけど……」


***


<あとがき> ここまで読んで頂いてありがとうございます。

そして、いつも応援してくださっている皆様のおかげで『#4』まで書くことができました。

「#5」からは、いよいよクライマックスに突入します。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

よろしくお願いします。


「えー、ゴホン。では、気を取り直して話をしよう。まず、最初に確認しておくが、お前の名前は?」


「名前ですか?……そういえば、考えたことがありませんでしたね。でも、それを聞くということは、私の名前を教えて欲しいという事でしょうか?」


「まぁ、そういう事だな」


「そうですね……。じゃあ、教えてあげますよ。私の名は……」


「おっと、ちょっと待った」


「えっ?」


「その前に、もう一度、自己紹介をしてくれないかな」


「はぁ……、またですか?」


「ああ、頼む」


「分かりましたよ。面倒臭いですねぇ。私は、あなたの奴隷です。名前はありません」


「よし、よく言った。これで、お互いの立場をはっきりさせたわけだが、それを踏まえた上で改めて質問する。君は誰だい?」


「だから、何度も言っているでしょう。私は、あなたの奴隷です。それ以上でもそれ以下でもないですよ」


「違うな。君が本当に自分の事をそう思っているのならば、俺がいくら尋ねても答えられるはずだ。なのに、どうして君の口からは、自分に関する情報が出てこない?」


「……」


「それに、もう一つある。先程、君は、自分が人間であることを否定したと言った。つまり、人間ではないと言いたいのだ。だから、人間の形をしているのに、人間という言葉を使わなかった。人間以外の何かであるという宣言をした」


「……」


「だが、さっきも話した通り、人間が人外になる方法は一つしかない。それが、喪失者ロストマンズ・パーソンになることだ」


「……」


「しかし、君が喪失者ロストマンズ・パーソンだという事はあり得ない。なぜなら、君は人間であり、喪失者ロストマンズ・パーソンではなかったからだ」


「……」


「だから、俺は、君の正体を推測しなくてはならない」


「……」


「だから、聞かせてくれ。君は、一体、何者だ?」


「ふむ……」


「どうだ? まだ思い出せないか?」


「……」


「そうか。仕方ない。じゃあ、質問を変えよう」


「なぜ、君は、俺と会話しているんだ? 普通に考えれば、俺は、今、意識を失っているはずだろう? しかも、こんな洞窟の中で一人きりで……。それなのに、俺は、こうして君と会話をしている」


「もし仮に、これが夢であったとしても、この世界には、俺の夢に干渉してくるような存在がいるということになる。そして、その誰かさんが、俺に話しかけてくる理由は、恐らく、俺の深層心理にある。だから、俺は、君と対話することを選んだのだよ」


「さあ、答えてくれ。君は、いったい何者なんだ?……いや、そもそも、なんで俺は、ここにいるんだ?」


「……」


「う~ん、やっぱり駄目か……。じゃあ、仕方ない。別のアプローチを考えよう」


***

<あとがき> ここまで読んで頂いてありがとうございます。

今回は、「#4」に引き続き、主人公(

「#5」からは、いよいよクライマックスに突入します。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

よろしくお願いします。


「え~、ゴホン。では、気を取り直して話をしよう。まず、最初に確認しておくが、お前の名前は?」


「名前ですか?……そういえば、考えたことがありませんでしたね。でも、それを聞くということは、私の名前を教えて欲しいということでしょうか?」


「まぁ、そういう事だな」


「そうですね……。では、教えてあげましょう。私の名は……」


「おっと、ちょっと待った」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 以上、AIさん部分おわり


 同じやり取りが繰り返されたので止めました。


 初見時の感想。

 喪失者ロストマンズ・レボリューター。なにそれ、初耳なんですけどw え、洞窟? 一人っきり? なにその急展開、マジ予想外w


 義脳=人間で書いたつもりでしたが、AIさんは義脳=作り物として書いていて、お話としては破綻していますが、新しい設定がガンガン増えてます。その上、自分で自分を定義とか、元の話とも微妙に重なってるし。AIさん、マジッパネェすわw

 

 セリフが長文で理屈っぽいのはAIさんのデフォなのか、私の文章の影響なのかは不明です。

 中々読みごたえがあって、もったいない(w)ので、このような形で再利用してみました。当然、拙作の宣伝の意図もあります。


 AIさんが勝手にクライマックスとか言ってますが、続きません。


 元となった拙作は、そろそろクライマックスです。

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