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お天気消しゴム

作者: 蘆刈清正

お天気を変えれる消しゴムいりませんか?

明日、晴れにできます。

それは鬼のように暑い日のことだった…。

怪しげな男から怪しげなものを渡された。“お天気消しゴム”という代物だ。説明書によると空模様を消すと天気を変えることができるらしい。雨雲を消すと雨は上がり、全ての雲を消せば快晴になるのだ。雲は消してもまた発生するので問題はないとのことだ。

明日は遠足。しかし、予報で降水確率は100パーセント。周りのみんなはガッカリしていたが、僕は内心、俺に任せろっ!と思っていた。朝起きると予想通りの雨。お天気消しゴムを空に向けて擦ってみた。するとなぞった部分の雲が少し薄くなった。さらに僕は空に向かって手を振るように何往復もお天気消しゴムを動かした。みるみる雲は消えて、空は快晴になった。僕は思う存分遠足を楽しむことができたのであった。

次の日は学校でプールの時間があった。空は曇っていて、曇りの日のプールは体が冷えて寒いくらいの時がある。プールから出てプールサイドで休憩していると、風が吹いてきて案の定寒かった。僕は思いっきり手を振り回して雲をどんどん消してやった。その後はギラギラした日差しの下でプールを楽しんだ。

別の日、鬼のように暑い日だった…。僕は思った。

「太陽を消したら涼しくなるのだろうか…。」

試しに太陽の端を軽く消してみた。太陽は欠けて少し暗くなり、そして少し涼しくなった。これに気を良くした僕は勢いよく太陽を擦った。みるみる外は暗くなり、夜になって冷んやり気持ちよくなった。暗くなった上に、過ごしやすい気温になったのでその日は早くに眠りに落ちた。ぐっすり眠って、目を覚ますと外はまだ暗かった。

「よく寝た気がするけど何時だろう」

むくりと起き上がって時計を見ると8時だった。あれまだ8時?と思ったがベッドに戻って再度眠ることにした。

「朝かな?」

時計を見ると7時だった?

「ん?時間が戻ってる?そんな訳はない、時計が止まってたのかな。」

時計はチクタク動いていて、やはり7時だった。それからしばらくたっても太陽は登らなかった。僕は理解した…。太陽を消してしまったからもう朝はこないことを。僕がお天気消しゴムで太陽を消してしまったためにこれからはずっと夜が続くのであった。


説明書はよく読みましょう。

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