EPILOGUE まだ見ぬ世界へ
帝国のD4兵器の使用を発端する一連の騒動、封印戦争は三か国同盟の勝利となった。敗北した帝国は、現政権の解体が行われ、二度と同じ過ちが繰り返されないように皇帝による独裁政治からの脱却、民主化がすすめられていった。
また、これまで力づくで抑えられていた国々も独立を果たしていき、リバティーズはその役目を完全に終え、解体することなった。彼らが今後、自分たちの国でどうしていくかは誰にもわからない。
そして、シャルトリューズ王国で開かれた国際会議では今後のD4兵器の開発及び使用の禁止、マシンドールの侵略行為の禁止等が設けられ、過去の遺物の一部封印が決められた。
世論が移り変わりゆく中でシャルトリューズ王国では、アイリスが不在の間溜まりに溜まった書類の山々が置かれていた。しかも、中には今後の民主化の流れについて書かれいるものもあり、ハンコを押すマシーンとなってはいけない案件が紛れている。
「なんで、こんなにいっぱいたまっているの~」
「ここ最近は、開けることが多かったですからね。何か欲しいものがあれば、買いに行きます」
「甘いものちょうだい」
「では、3丁目に新しくケーキ屋が開店されたので、そちらに」
「ケーキなら紅茶もお願い」
「ええ、ではいって――」
「女王陛下、新大陸の合同調査の準備完了いたしました」
「ナナ、さっきのはキャンセル」
「わかりました。ですが、アーク内で仕事ができるようにこれらの資料は持っていかせてもらいます」
「うっ……それは忘れても構わなかったのに」
忘れたかった資料の山々を嫌そうに見ながらもアイリスとナナは再びアークへと乗り込んでいく。戦後初の新帝国の合同調査ということもあり、戦前のわだかまりが無いことをアピールするためにもアイリス自身が出向くという建前はあった。だが、彼女にとっての本心はそれらではない。
「この世界には私たちが住んでいた場所よりももっと広い場所がある」
「ええ、今住んでいるヨーロッパはユーラシア大陸の一部です。アメリカ以外にもオセアニアも、ユーラシア大陸の東側も、この時代ではまだ未調査地域です」
「それに宇宙も」
アイリスはタイムスリップした過去の時代で見た青い星のことを思い出す。いつかたどり着くと決めた星々が煌めく大空。そのためには地球と呼ばれていた星のことを知らないといけないと思ったのだ。
「まだ私たちの知らない世界へ、アーク発進!」
アークが飛翔していく。一人では空を満足に飛ぶことができなかった少女を乗せて――




