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落ちこぼれ王女は封印されし機械人形と共に救国する  作者: ゼクスユイ
第4章 機械人形と決着

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EPISODE76 最後の戦い

 第2城壁東門を陥落させたアイリスたちは、この戦いで亡くなった者たちに黙とうをささげた後、次の作戦を立てていく。


「作戦と言っても、地盤の固いエリア1にはリバティーズの支援は無いわ。つまり、正面突破!」


「余計な小細工入れるよりかはそっちの方が士気が高そうだ。アイツのためにも、ここで負けるわけにはいかねえ!」


「猪突猛進すぎやしないかい。戦いの専門家じゃないけどさ」


「だが、小細工を取るにも戦力がいる。はっきり言って、これ以外に取りようがねえんだよ」


 グラムが半ば諦めたような口調で話していると、アヤメが入室する。


「こちらに投降した帝国軍が強力を申し出てきた。彼らも、D4による民間人虐殺は不本意だったそうだ」


「大量殺人をやってからの投降……この流れ、どっかでみたことあるねえ。さてと、どうする? 女王陛下?」


「決まっているわ。彼らの申し入れを受けます」


「承知」


 アヤメが退出し、離反した帝国軍のデータが送られてくる。マシンドールはギース対策のため、OSを書き換える必要があり、多少の時間はかかるが、それでも、純粋な戦力は大幅に増加した。


「これなら多少は勝ちの目が出てくるってものだ」


「今までなかったのかしら」


「無謀な特攻くらいから、一粒の勝算ってところだな。俺たちの知っている皇帝陛下ならもしかするとくらいの淡い願望込みだけどな。作戦は………………」


 最終決戦に向けて着実に準備を進めていき、戦艦アークは帝都カイゼルへと発進していく。




 帝都カイゼル。夜間でもあふれる人々の活気が衰えぬ不夜城とも呼ばれるこの城下町も今や、がらんとしている。

 帝都以外でも迎え撃つこともできたが、皇帝陛下は彼らの最終目的地であるこのカイゼルを決戦の場にすることで、他の地域や民間人への被害を最小限にしつつ、他の地域に配属していた戦力を一点に集中――鉄壁の布陣を構えることに成功していた。


「なんつー数だよ。しかも大型マシンドールも前よりも多くねえか」


「それでもやることは一つ。この戦いで裏にいると思われるギースを探し出し、決着をつける。みんな、これが最後の戦いよ!」


 アイリスの激励を受けながら、ナナたちが出陣する。互いのマシンドールがぶつかり合い、爆炎の華が咲いていく。Gシールドで他の機体を護りながら、ナナがマシンエンペラーⅠを落としていたとき、背後から斬撃が飛んでくる。


「これは接近戦特化のマシンエンペラーⅡ!相変わらずのパワーと機動性、ですが!」


 ナナがリミッター解除を一時的に行い、マシンエンペラーⅡを押しのけ、隙だらけになったところをレイバスターが狙い撃つ。


「へっへ~ん、ボクがいることをお忘れなく」


「頼りにしていますよ、レイ!」


「時間稼ぎなんて言わずに、騎士団の人たちが出てくるまでに片付けよう」


「それは驕りすぎです」


 ナナとレイの連係プレーを参考に、ゼロツーを主軸にして帝国産マシンドール達が大型マシンドールを複数機かかりで撃ち落していく。数の暴力で押されてはいるものの、狙い通りに拮抗状態に入ったと言える。




 この様子を皇帝陛下は将校たちと眺めていた。徐々に後退していくアイリスたちの部隊、帝国側の優勢は覆らないものだと確信できるほどだ。


「ふん。所詮はこの程度か」


「ええ、あと1時間もしないうちにすべての決着がつくと思われます」


「ご苦労であったな。もう下がって――」


「大変です。西からドラゴンが一匹飛来してきます」


 モニターに映し出されるのは赤き龍、タイラント。その口内にはいままで溜めていた鬱憤を現したかのような炎がたまっていた。



「各機、作戦通りに私の後ろに!リミッター解除、Gシールド最大出力!!」


「アーク、アルカンシェルバリア展開!」


「くらいやがれ、灼熱のプロミネンスノヴァ!」


 背後から現れた数千度にものぼる灼熱の波に溶かされるマシンドールたち。だが、ナナの後ろにいた味方機、および戦艦アークの船首から作り出されたバリア機構により、炎の直撃から免れていく。

 熱波がおさまると帝都を護っていたマシンドールはほぼすべてが消し飛び、アイリスたちの主力マシンドール達は健在であった。

 グラムが発案した自分たちを囮にしたタイラントによる電撃奇襲攻撃。タイラントの圧倒的な破壊力を目の当たりにしたことがあるグラムだからこそ撃てる大胆な一手に帝国ははめられたのであった。そして、アークからダメ出しのように出てくる騎士団たち。もはや、戦いの趨勢は決まったも同然であった。



「もはや、これまでか」


「皇帝陛下。まだ、こちらにはD4が残っています。一度、後退をして……」


「負けは負けだ。ご苦労であった。旗を下げよ、その瞬間をもって貴公らを解任する」


 そして、カイゼル城から旗が降ろされていき、最後まで抗っていたマシンドールもスイッチが切れたかのように崩れ落ちる。難攻不落と思われていた不夜城カイゼルは開戦してからわずか2日の間に陥落し、千年以上わたって支配してきた帝国のあっけない幕切れであった。


 陥落したカイゼル城に入ったアイリスたちは皇帝陛下と対峙する。いや、カイゼルが落ちた以上、今の皇帝は威厳のある老人と呼んだほうが正しいのかもしれない。


「皇帝陛下、お尋ねしたいことがあります」


「言ってみろ。今の我は気分が良い」


「この騒動の発端は過去の皇帝陛下ではなくギース、AIによるものだと考えております。その名に心当たりは?」


「無論、ある。我らは黒の英知と呼んでその存在をひた隠しにしていたがな」


「ギースが生きていた……しかし、なぜ……」


「理由を知りたければ、我が玉座の後ろにあるゲートを使え。そこにすべての真実がある」


 玉座の後ろには禍々しく黒く光っている闇の扉がある。ここをくぐればもう二度と戻れないような感じだ。


「傀儡になることを自ら選んだとはいえ、もう疲れた。我らがやったことは到底許されないものではないが、その罪は我がすべて背負う。言えた身ではないが……行け、若人たちよ。人の未来を取り戻してくれ!」


「その命、承りました」


 グラムが皇帝陛下最後の勅命を受け、我先にと飛び込んでいく。そして、アイリスとナナ、レイ、ゼロツーたち、騎士団の面々も飛び込んでいく。



「あれ、明るい?」


「日が暮れていたはずだよね、何がどうなっている?」


「太陽の位置から帝国との時差、およそ6時間。どうやらここはかつて新大陸と呼ばれ、文化・経済・軍事……すべての中心地でもあった場所、アメリカ。その中でも金融の要であったニューヨーク付近と推測されます。そして……」


 ナナたちが見上げた先にあるのはひときわ目立つ巨大な塔。そこから、何かが1機こちらに飛来してくる。


「セントラルタワー。かつてギースが納められていた場所。そして、かつての戦争の始まりの地でもあり、終わりの地でもあるこの場所に居住を再び構えるとは……とんだロマンチストですね、ギース!」


「ふん、大人しくやられていればいいものを。まあ、いい。俺の子の手で葬ることができるんだがな!何度もたてついたセブンスセブン!衛星砲の借りを変えさせてもらうぞ、虫けら(アイリス)!」


 以前よりも小型化され、ナナよりもわずかに大きい程度のマシンドールとなったギースのマシンエンペラーⅢ。背中には小型化に伴い6つに減ったものの、Ⅰ型のドローンが備え付けられ、Ⅱ型と同じく各所にスラスターや装甲が増設させられており、先の2種類を良いどこ取りしたような機体となっている。


「だが、たかが1機で私たちを止められると思うな!」


「黙れ、デッドコピー。貴様らは不思議だとは思わなかったのか、帝国があれだけのマシンドールを作るのに必要な資材を何処から調達していたのかを」


 セントラルタワーからイナゴの群れのように排出される一つ目のマシンエンペラーⅢがアイリスたちの後ろにあったゲートを破壊した後、海を渡っていく。


「しまった、ゲートが!?」


「それよりも私たちを無視してどこに……? まさか!」


「お前たちの帰る場所を失わせてから、絶望にまみれたお前たちを見つつ、じっくりと嬲り殺してやる。あの果てしない漆黒の宇宙をさまよった苦痛……ここで晴らさせてもらうぞ」


「あのとき、私がとどめを刺していなかったから……!? だとするなら、ここでその因縁を断ち切らせてもらいます!」


「そうね、あの場に居合わせた人として!」


「ボクも忘れたら困るよ!」


「みんな、これが正真正銘最後の戦いよ!!」


 未だ数多くの量産機を従えているギースに向かって、ナナたちは駆け出していく。

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