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落ちこぼれ王女は封印されし機械人形と共に救国する  作者: ゼクスユイ
第3章 機械人形と再会

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EPISODE42 南国

 シャルトリューズ王国、魔界、獣人の国による反帝国を掲げた軍事協定――三か国同盟は世界中に震撼させた。帝国が数隻の戦艦を派遣するだけで、一国が容易に落ちる中、協定を締結した三か国は様々な人種が混じる混成部隊によりこれを迎撃。いまだに帝国に侵略・占拠を許した地域は無い。そのため、これら三か国の傘下に入ろうとする国々まで現れるようになった。

 今、世界は帝国か反帝国か、2つに分かれようとしている――


 三か国同盟の立役者であり、女王であるアイリスは空島で魔王、レオンと今後の方針について会談を行っていた。


「ゆくゆくは帝国との全面対決をする以上、同盟を組みたいと申し出ている国々の参加に異議はない。だが、これらの国々の戦力を足したとしても帝国には勝てん」


「だが、魔王よ。アイリスがやったように少数精鋭による首都への奇襲攻撃ならば、戦力差があってもひっくりかえせるのではないか」


「あれはナナがいたから……」


「さよう。相手の主戦力に対し圧倒できるほどの実力、イレギュラーな事態を打破する能力、それらを持つ者はそうおるまい」


「レイよ、お前はどう見る?」


「ん、ボク? ボクがセブンと同じ働きできるかって言われたら答えはノー。ヒルデも同じかな。セブンみたいにリミッター解除による無双なんてできないし、Gブラスターも無い」


 ナナがこれまでにGブラスターを撃ったのは3度。そのいずれもかの兵器が無ければ、打破できる状況ではなかった。直接は見ていないが、その話を聞いたレオンはその力があればと漏らす。


「あれは過ぎた力です。人同士の戦いで使うべきではありません。きっと、ナナも望ません!」


「ああ、すまん」


「い、いえ……失礼しました」


「だが、帝国はそうは思っていないかもしれんぞ」


「えっ、それはどういう……」


「帝国のマシンドール部隊がディアボロスを復活させようとしていたが、これは領土拡大目的の侵略という意図から外れている」


「ディアボロスを手に入れて自軍の戦力にしようと企んでいたのでは?」


「「それは無理よ(不可能だ)」」


「む、そういうものか……ならば、ディアボロスを打倒して後顧の憂いを断とうとしていたのかもしれん」


「つまり、帝国にはディアボロスを倒すことができる兵器を所有しているということ。そして、我が未来予知ではこの秋から冬にかけて空間にひびが入り、その先からの未来が見えなくなっている。まるで、その時点で世界が終わったかのようにな」


「世界の終わり、空間にひび……まさか、それって!?」


「ナナの言っていた次元崩壊現象が起こったのかもしれん」


「次元崩壊が可能な兵器……帝国の所有しているディアボロス用の兵器って、まさかD4兵器!?」


「我々が知っているD4兵器はD4ミサイルとGブラスターの二つ。もし、この兵器のどちらかを所有しているのであれば帝国は世界の脅威にしかならん」


「仮にだ。もし、次元崩壊が起きたとして、それへの対策はあるのか?」


「過去にナナは同じD4兵器であるGブラスターによる干渉で次元崩壊を防いだけど……」


「我らに同じ手段はもう取れない……」


 コバール攻防戦の戦いの際に、彼女と共に唯一無二の対抗策であるGブラスターは失われ、オーバーテクノロジーの塊であるそれらを再建することは不可能だ。無力な自分にイラついたレオンは己の拳を机にたたきつける。


「我らにすることは無いのか!」


「帝国の目的がD4兵器の運用なら、ディアボロスと同格の相手を探しているはず。次に帝国が狙うとしたら、南島諸国連合に被害をもたらしているリヴァイア、今は帝国の領土だけどオープナーで被害をもたらしたタイラントの2頭の龍の討伐なら大義名分は成り立つ」


「帝国領土ゆえにタイラントの調査は容易ではないが、中立国である南島諸国連合ならば、我らの調査も受け入れるだろう」


「となれば、誰を向かわせるかだな。中立国に大部隊を送り込むことはできん」


「それに、これはあくまで推測。確証がない以上、少人数で行くべきだろう」


「海の中を調べることができて、可能なら空を飛べる人材……」


 アイリスはふと横にいるレイを見る。ナナが言うには水深数百メートル程度ならマシンドールは耐えることができ、レイはナナと違ってアーマーが無事なおかげで空を飛ぶこともできる。その視線に気が付いたレイが口を開く。


「良いよ。この時代の海の幸ってどういうのあるか見てみたい」


「観光ではないのだが……」


「彼女と同じマシンドール。戦力的には問題なかろう」


「レイ一人だと心配だから、私も行きます」


「それは構わないが、自国のこともあろう」


「私が留守の間はお父様が頑張ってくれるので」


 父の預からぬところで、勝手に仕事を押し付けることにした娘。このとき、急な寒気と頭痛がしたピスコが薬をむしゃくしゃと飲んでいることを彼女は知らない。

 これ以上言うと内政干渉にもなるため、三か国による会議はこれにて閉幕となった。




 残暑が厳しいなか、南島諸国連合の中心部であるセントレア島に着いたアイリスとレイ。あたりを見渡すと、白い砂浜と青い海、南国らしいヤシの木やソテツ等が生えている。サンサンと太陽が照り付けていることもあり、身分を隠すためにアイリスがサングラスをしていても不自然な格好ではない。


「ボク、データベースで見たことあるよ。ハワイとかこんな感じ」


「昔にも似たような島があるのね。南島諸国連合は文字通りいくつかの島国から成り立っている国なんだけど、ここは観光業をメインにした国ね」


「じゃあ、工業とかが栄えている国とかがあるの?」


「うん。ここから西にあるインダス島がそれね。昔ながらの漁業をしているのが、東のフィッシャー島。南に行くと、広大がゆえに未開発地域が多いフロンティア島があるのよ。あとは小さな島々もあるけど、メインはこのセントレア島を入れて4つの島ね」


「なるほどね。それにしても、元がアフリカ大陸なのに砂漠とかないんだね。ラクダとか乗ってみたかったなぁ」


「アフリカって? 昔の呼び方?」


「そうそう。ボクが生まれる前に起きた衛星軌道からの攻撃でアフリカ北部が砕けたらしいよ。それを一人で解決したのがセブン」


「ブリュンヒルデさんが言っていたナナが一度だけ宇宙に行った事件のことかしら?」


「よく知っているね。でもね、事件を知っている人に聞いてもあまりそのことを教えてくれないんだ。ケチだよねー」


「人がたくさん死んだら、話したがらないと思うわ」


「それもそうか。さてと、これからどうしよう?」


「まずは敵を知ることから。リヴァイアのことについて調べましょう!」


 2人が国営の図書館に入り、リヴァイアに関する海難事故が発生していないか新聞や雑誌などを読んでいく。だが、予想していたよりも、リヴァイアによる事件が多く、今日一日だけではすべての記事に目を通すことができないほどだ。


「ここ最近の被害は……インダス島に集中していると」


「昔はフィッシャー島だったのにね。心変わりでもしたのかな」


「インダス島が発展してから、被害件数が逆転しているみたい」


 インダス島の発展がリヴァイアにとって都合の悪い者だったのだろうかと思ったアイリスは明日の調査はインダス島にしようとした。そして、ベルが館内に鳴り響き。閉館時間と共に今日の調査は打ち切りとなった。


 屋台が立ち並ぶ中、アイリスたちは設置されたテーブルにすわり、夕食を取っていた。皿の上には色とりどりのフルーツを乗せたサラダ、シュリンプを味付けして揚げたもの、魚の切り身などの魚介類を甘辛くあえたもの、イモをすりつぶしてペーストにしたもの等、なじみのない料理を頼んだはいいが、二人で食べきるにはいささか量が多かった。


「待ってました!いただきま~す!」


 モグモグ、ムシャムシャと魔法でも使っているのかと思うほどに、レイの目の前の料理があっという間に消えていく。


「それにしてもよく食べるわね」


「もぐもぐ……こういう時に食べておかないと力が出ないからね。アイちゃんもしっかり食べないと」


「うん、そうね。でも、二首鳥の照り焼きを頼んだら、まるごと1匹でてくるとは思わなかったわ」


 アイリスの目の前にはででーんと頭だけ切り落とされた鳥の丸焼きが置かれている。じっくりと焼かれたそれは外はパリッと、中はふっくらジューシー。確かに美味しいのだが、女子一人で食べるには量が多い。


「じゃあ、ボクのと交換しよう。こっちはまだ手を付けてないから大丈夫」


 レイが皿を入れ替えた焼き魚を食べると、辛めのスパイスが効き、夜でもまだ暑いこともあり汗がにじみ出る。だが、他の料理の損なう様な辛さではなく、むしろ、他の料理に手を付けさせるような適度な辛味だ。


「ぱくぱく……この鳥の丸焼きもおいしい。他に食べてない料理は……」


「お金はいくらでもあるから大丈夫よ」


「じゃあ、次はデザートだね。えっ~と、おじちゃん、このドーナツみたいなのください」


 アイリスは世話のかかる妹ができたみたいだと思いながら、ゆるゆるの財布のひもを開けるのであった。

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