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立ち上がれ少女

 

「村越凛花さん壇上に上がりたまえ」


 新咲の配下の新副会長の二階堂が手を後ろに組んで、凛花ちゃんを見下ろすように言った。

 くそっ急に台頭してきて偉そうなんだよ。ムカつくが、それより凛花ちゃんは行かせない。


「駄目だ凛花ちゃん」

「離してっ光ちゃん!もう無理なの生徒会長に逆らえないよ」


 凛花ちゃんは俺の手を振り払って駆け出し列から離れた。


「駄目っ!」


 俺も飛び出し凛花ちゃんを抱きしめた。生徒達が見ている。だからなんだ? 好きな()を守るためなら恥なんか捨ててやる。


「はぁダメよ凛花行っちゃ駄目」


 さらにギュッと抱きしめた。


「んっ私だって光ちゃんと離れるのが嫌よぉぉ……」

「ほんと泣き虫さんなんだから、あたしも釣られて泣いちゃうじゃない」


 お互い抱きしめ合い人が一杯いるはずなのに周りは静かで時間が止まったかにみえた。


「はいっそこまでよ」


 痺れを切らした新咲が手を叩いて降りて来た。全く今いい雰囲気だったのに許せん性悪女。


「新咲……」


 俺は凛花ちゃんを背中に隠れさせ新咲を睨んだ。新咲はアゴを上げて「ふふん」と余裕の笑み。その後ろには数名のガラの悪い輩達が集結して皆嫌らしい笑みを浮かべていた。


「あら生意気なツインテ。えーと誰だっけ? んー忘れたわ一般人の名前なんて」


 知ってるいや、俺のこと四六時中考えている癖に白々しい態度をとりやがる。ここは罵倒したいが、もうここから次期クイーンの称号争奪戦が始まっていると考えていい。だから、俺は男は演じないクイーンにふさわしい女を演じて対抗するわ。


「光よっライバルの名前くらい覚えなさいよ新咲っ!」

「あらっ本当生意気な小娘ね。でも分かっているのかしら? たかが一般人がこの生徒会長に逆らえるとでも?」

「いちいちうるさいわねっそれより凛花ちゃんを呼んでどうする訳?」

「ああ、そうね。では本題に戻りましょう。村越凛花は重大な校則違反を犯しました。その校則違反とは彼女は障害持ちにも関わらず能力を使って隠して入学したからよ。我が校の入学条件の一つに健常者のみとハッキリと契約書に記載されております」

「ちょっと待て新咲それは差別じゃないのか?」

「差別ですって? 嫌ですわぁコレは区別です。障害を持つ生徒は受け入れる然るべき高校に転校してもらうしかありませんわ」


 く、悪女が理路整然と入学規約を持ち出しやがって正当性を主張しやがる。孤児でお金も後ろ盾してくれる保護者もいない凛花ちゃんに訴える力もないと知っているからやりたい放題だ。

 それと転校してもらうって本当にお前が手を回すのか? 絶対しないだろ? ここを追い出され転校先がなかったら凛花ちゃんは住む場所もなくなる。


 絶対やらせないよ新咲。


「さて、校則違反を犯した村越さんの処分は即刻退学。今すぐ荷物をまとめて出てお行き!」

「こんのっ新咲っ!」


 新咲は凛花に野良猫を手で払うように振って宣告した。分かってたけど聞くとムカつくな。


「させないわよっ!」


 俺は両腕を広げて凛花ちゃんをかばった。


「ふうん〜中島お前も退学になりたいの?」


 チッ覚えてんじゃねえか俺の名を。新咲は人差し指を動かし輩達に指示した。皆ニヤニヤした輩達が俺と凛花ちゃんを取り囲んだ。


「へへっ気の強いツインテール悪かねえ……」

「おいっやっちゃうか?」

「待て、一応全生徒の前だぞ?」

「ひひっそれも逆にたまんねぇなぁ……」


 どいつもこいつも頭の中は下半身のことで一杯だな。そう言う不純性行為は他所でやれ。とは言えコイツらに言っても効かなそうだ。俺は凛花ちゃんを抱きしめてなんとか抵抗した。


「ひょーーたまんねぇ、なあ、姉さんコイツらやっていいかい?」


 モヒカン頭の輩が新咲に聞いた。なあ、その髪型校則違反じゃないのか?


「別にいいわよねぇクイーン様?」

「…………」


 新咲がチラリとクイーン様に視線を送ってわざわざ確認した。クイーン様は何故か黙認している。王子様もこんな大ピンチなのに動かない。クイーン様の指示がないと動けないのは分かっているけど一人ぐらい助けに出てもよくないか?

 俺はだんだんムカついてきた。


「あははっ多目っクイーン様から許可がもらっわよ。堂々と二人特に生意気なツインテの小娘にお仕置きなさい」

「へいっ喜んで♡」


 チッ多目と呼ばれた輩がズボンのベルトを外した。って生徒の前で外すなよっ!


「光ちゃん……」

「大丈夫凛花ちゃんあたしが側にいるから」


 俺は凛花ちゃんをより強く抱きしめ取り囲む輩達の先の新咲を睨んだ。クイーン様が手助けしない理由は分かっている。


 それは俺の決意。


 ああ、分かっているさ、期待しているんだろ?


 俺が自分の力を信じ巨悪に立ち向かうのを。


 だから俺は。


「すう〜〜」


 思い切り深呼吸してから。


「ようく聞け!次期クイーンを決めるクイーン杯で新咲(きさま)を叩き潰す!」


 俺は新咲に指差し宣戦布告した。


「あ〜〜ら生意気、だけど残念ね。たった今校則の一部が変更になったわ、内容は生徒会長に逆らった者は即刻退学よ中島っ!」

「くってめえ戦わず逃げるのか……」

「ふんっわたくしが中島なんかに負ける訳ありませんけど、これは全生徒への見せしめよ。この新咲に逆らったどうなるかね」


 チッ卑怯な……万事休すか?


「待ちなさい」


 奥の方から少女の凛とした声がした。聞き覚えのある声を聞いた生徒達は一斉にその方向に顔を向けた。


 そこにはクイーン様が立ち上がっていた。そう、発言したのはクイーン様だ。やっと助け舟を出してくれて俺は泣きそうになった。


「あらぁ一体なんの用ですか現クイーン様?」

「生徒会長せっかく光さんが勝負を挑んだのですから、ここは受けて立つべきでは?」

「チッ……なに様よクイーン……」


 新咲は小さな声で吐き捨てるように言った。おいっ聞こえてるよ。


「では、どうしろと?」


 新咲は開き直って問いただした。


「今月開催されるクイーン杯が終わるまで光さんと凛花さんの処分は保留しなさい」

「チッそれは命令ですか?」

「ふっそうとらえてもよろしいですわ。なにせ生徒会長より偉いのがこのクイーンよ」

「チッ偉そうに!」


 お前などの口が言うか新咲。


「そう言うことですわ光さん」


 クイーン様が俺の顔を見て言った。はぁそこまで期待されたら言うしかないじゃない。


 そう、今日この瞬間心まで男を捨てるわ。


 俺はいや、あたしは取り囲む輩達を振り払って新咲の目の前まで前進した。


「ふふん……おいたが過ぎるわね」

「ちょっとなによ田中生意気……」


 あたしの堂々とした態度に動揺する新咲。


「アンタもクイーン杯出るんでしょ?」

「……当然出るわよ。まさかこのわたくしに勝てると思ってるのかしら?」

「うふふん♡あったり前じゃない当然よ」


 あたしは自信気な表情を浮かべ胸を寄せるように腕組みして答えた。そんな色っぽい態度のあたしを見た大半の男子生徒達の顔が赤くなっていた。

「生意気」

「あらっ聞こえない?」

「チッ生意気よ。中島の癖に生意気ってんだよテメー! ああ、その挑戦受けて立つよ。オメエも当然出るんだろクイーン杯に?」


 ついにあぶり出したわよその汚い本性を新咲。


「うふふっもちろんあたしも出場するわクイーン杯。だけどね、勝つのはあたしよ新咲何某!」


 あたしは勝ち誇った笑みで新咲に指差した。ふんっもう吹っ切れたわよ。もう悩まない。


「チッ新咲麗奈よ。ライバルの名前ぐらい覚えろよ!」


 こうして新咲は輩を引き連れ逃げるように退散した。なんとか危機は脱したけど、これからが大変ね。


 でも、絶対悪には負けないわよ。


今後主人公の思考は女になります。

完全な自分の意志での雌落ちです。

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