シンディー捜索2
洋館の前に来たにはいいけど、そもそもシンディーがそこに住んでいる確証がなかった。それに洋館でシンディーの姿を見たことすらなかったから望み薄なんだ。
だけど園内をシラミつぶしに探して回ろうと決めたから、まずは洋館を見ておこうとなった。
中に入る前に外から三階を見上げた。三階には現クイーン様の部屋があるはずなんだけど、どの部屋も照明が灯されてない。
「暗いなぁ……」
「……」
「痛っ!?」
凛花ちゃんの繋いでいた手の力が痛ほど強くなった。凛花ちゃんはふくろうみたいに目をまん丸にして俺の顔を凝視していた。
「凛花ちゃんどうしたの?」
「私暗いかな?」
「ち、ちっ違うよっ部屋の灯りが暗いって意味だよ」
もー自意識過剰なんだからぁ、俺はなだめると凛花ちゃんの機嫌が戻ってニッコリ笑顔を返した。
「クイーン様の部屋も暗いし、まだ帰って来てないのかなぁ」
確かクイーン様は外国に行ってるはず。あ、でも、本当は学園内で身を隠していて、俺が自立するのを見守っているのかも知れないね。
「いないね。帰ろ光ちゃん」
「おっ」
凛花ちゃんが手を握った。どうしても部屋に戻りたいらしく俺の手を引っ張って洋館に入ろうとしている。いやいや、あきらめるのが早いよ。まあ、彼女はシンディーの正体なんか1ミリも興味がないのは明白だ。
「手を握りあって仲がいいね君達」
後ろから不意打ちで話しかけられた。振り向くと白王子がいた。目が合うと奴は白い歯を見せたが、俺は男には興味がないのでなんとも思わなかった。
「今さら出て来てなんですか?」
白王子に睨みつけて聞いた。探してたとはいえ白王子のチャラチャラした顔を見たらムカついた。だってなぁ、生徒会選挙後の絶対絶命のピンチの時なんで助けに来てくれなかったのか、それを今さら顔出されても不満しか残らないよね。
「オウソーリー光さんそんなに僕を睨まないで下さい」
お前も光と呼ぶな!そう呼んでいいのは凛花ちゃんだけだ。
「ちょっと聞きたいことがあるのよ白王子?」
「ホワイ?」
「ユーの正体はシンディー?」
「…………」
何故黙る。やっぱり挙動が怪しい。でもまてよ、あきらかに怪しまれる態度見せて実はミスリード誘ってんのか?
いや、そんな訳ないよな。だったら物的証拠を掴んでやるさ。
「あたしが思うに貴方は性転換の能力使いで、普段は女の子すなわちシンディーとして過ごしているに違いない」
「……貴女言葉使い変わったデスか?」
「くっ……そうよ。あたしは次期クイーンを目指すために男を捨てツンデレっ娘目指すのよ」
「オウ、ユークレイジー」
黙れ指差すな白王子。それにな、お前にだけには言われたくないよ。もしだよ、もしも、白王子の正体がシンディーだったらお前だって同類だいいな。
しかし、尋問してものらりくらりとかわされるのは目に見えている。だったら実力行使だ。
「白王子ちょっといい?」
「ホワイ? なんですか?」
むっ二度聞くな。英語と日本語意味は同じだ。
「ちょっと今すぐズボン脱ぎなさいよ」
「ノー貴女変態デスねぇ」
「ちょっと黙って痛っ!?」
わき腹をギュッとつねられた。振り返るとお目目丸くした凛花ちゃんが睨んでた。ははっセクハラ発言で彼女に誤解を与えてしまったのは想定の範囲外だった。
単に凛花ちゃんの地雷源を忘れていただけなんだ。
「いやまって凛花ちゃん誤解よ」
「なにが誤解なの光ちゃん?」
「ちょっと睨まないでっ!」
経験上ツンデレ特にツインテ少女は決して怯まない。でも内心はドキドキしてる。静かに怒る凛花ちゃん怖いの……。
「あのね、勘違いしないでよ凛花。王子のズボン脱がしてただパンツを確認したいただけなのよ」
あ、また凛花ちゃんふくろうみたいに目を丸くした。
「いやそういうふしだらな目的じゃないわよ。あたしが知りたいのは白王子が履いてるパンツの種類よ。もしシンディーだったら今履いてるのが女性用下着の可能性があると思って」
「………………」
ホラ黙った。やっぱり怪しい。ショーツ履いてるなら見せられないよね?
「脱げばオーケースケベガール」
「えっ?」
両手の平を見せ観念した様子の白王子はベルトを外して白いズボンを下げた。ちょっとなに本気で脱いでるんだ。
「なっ!?」
「キャッ!」
凛花ちゃんが両手で目を覆った。男のパンツなんか見たくないからだ。でも、もっとショッキングだったから悲鳴をあげたんだ。
「お前その履いてるパンツはなんだ?」
俺は白王子の下半身に指差し聞いた。凛花ちゃんの俺を睨む視線が怖い。だって仕方ないでしょあまりにも不自然だったから。
白王子は白い女性下着を履いていて、玉々あるからモッコリしてるの。凛花ちゃんは両手で薫子を塞いでるけど指の隙間からチラチラ見てるのがなんとも。ちょっと凛花ちゃんはレズだよね? 多分怖いモノ見たさなんだろうけど、男の股間に興味を示すのはよろしくない傾向。
それはともかく、これって性転換して急いでスーツに着替えたから、下着を履き替えるの忘れたパターンだな。もし、わざとならかなり高度な変態だ。
「ちょっとなんでショーツ履いてるの変態っ!」
スルーする訳にいかないから、俺は腰に手を当て白王子の下半身に指差しツンデレっぽく言ってやった。まあ、あきらかに白王子は変態なんだけど指摘した。
一見厳しいようで実は優しいな俺って中々いないよ、無料でツッコミを入れてくれる人はさ。
「…………ノー全く分かりません」
「こんな時だけ手の平上げて困ったアピールするんじゃなああわよ!ねえ、その下着が物的証拠だ。貴方でしょシンディーの正体は?」
「…………」
ほうら黙った。やっぱり図星か?
「HAHA……」
「ちょっとなにがおかしいの?」
「オーソーリーいや、貴女の分かりやすい反応がおかしかったからデスね」
「な、んだと……」
「僕は初めから貴女に下着のチェックが入ると予想して、あえてわざと女性用の下着を身につけたのデスネ」
「お前っ嘘つくな!」
全くその場しのぎの苦しい言い訳だ。わざと女性下着履いた姿見せて、女の子の反応を楽しむなんてこれはまるで変態だ。
そして、白王子は微笑みながら俺に近づく。くっ近寄んな。
「フフ、残念デスけど僕はシンディーじゃない。だけど僕は変態だ。それでオッケーデスネ?」
くっ変態容疑で誤魔化したつもりかも知れないけど俺は騙されないぞ。絶対正体暴いて弱音を握りクイーン杯優勝に協力させてやる。お前がしらばっくれるなら考えがある。
「いつまでパンツ姿見せてのよこの変態。それよりさ、白王子も一緒にシンディー捜索に同行してほしいのよ」
「……ソーリー僕は忙しいので」
「駄目よ。だって貴方女子の前で変態下着姿見せたのだから学園にチクるわよ」
「ノー貴女が脱げと命令したからじゃないデスか?」
「ふんっ黙なさい。確かに脱げと指示したのはあたしだけど、果たして大人達は女の子と男の主張どっちを信じますの?」
俺は胸の前に腕を組んで「フフン」と勝ち誇ったように笑った。漫画やアニメで見たツンツンした子の態度してみて凄く気持ちいい。コレは癖になるな。
「……貴女とても卑怯デス」
ふんっそれは誉め言葉だよ白王子いや、シンディー君。こうして白王子を加えシンディー捜索を再開した。おそらくシンディーは見つからないだろうね。だって本人が一緒にいるから。




