シンディー捜索
お酒を飲まない健全な高校生の飲み会こと励まし会が終わり。後片付けして帰宅する部員達を校門前で見送った。
最後尾にを歩く副部長がふと立ち止まった。
「あっそうそう」
用事を思い出したかのように副部長が振り向いて、俺に話しかけてきた。
「なんですか副部長?」
「これから僕も力を貸せないから一人で頑張って!」
「そんなこと言うために戻って来たのですか?」
クイーン杯の規約事項散々聞かされてきた。だから分かってるから俺は、思わず眉根を寄せた。
しかし、あんまりじゃないですか? 一人で解決しろって。
「分かってますよ。俺がっいや!あたしがクイーン杯に優勝すればよろしいのでしょ?」
「…………」
なんだよ副部長急に黙るなよ。き、気になるだろ?
「キャラがブレブレですよ光輝君。そろそろ演じる属性決めた方がいいですよ」
「なっそ、そうですか? ならあたしはどの属性がよろしいでしょうか?」
「……そのお嬢様風辞めて勝気なツンデレ風がいいと思うよ」
眼鏡のブリッジに手をかけた副部長が呟き立ち去って行った。ふ〜ん、副部長こと青王子はツンデレ好きだったのね。
◇ ◇ ◇
「さて、今夜はどうする?」
振り向き凛花ちゃんに聞いた。
「ひやんっ!」
おしとやかじゃなかったから脇の下を、凛花ちゃんからのお仕置きを受けた。
「ちょっと待って凛花ちゃん聞いて!」
「むう……光ちゃん真面目にやって……」
口尖らして顔真っ赤にさせた凛花ちゃんが俺に詰め寄る。怖いなぁ思わず後ずさりしたよ。
「あのね、あたしは今日からツンデレでいく!」
「……」
「だからさ、多少おしとやかじゃなくても許してね!」
「……光ちゃんそれで勝てるの?」
「んっか、勝てるさなあシンディー?」
「…………」
んっシンディー?
シンディーの姿が消えていた。まんまとそのスキを突いて逃げられた訳だ。くそっシンディーの正体掴むために探しだしてやる。
「凛花ちゃん。シンディーの正体知りたくない?」
「……別に……」
凛花ちゃんは首を横に振った。
「どうしてそこまでシンディーのこと気にするの? まさか光ちゃん好きなの?」
「えっ?」
何故今聞くそう言う訳じゃないんだよ。
「答えて光ちゃん」
「んっ…………………………………………………………」
不覚にも15秒ほど答えが出なかった。確かにシンディーのこと好きだけど恋愛感情ではなく、友達として好きなんだ。
ただ、その感情がいつ揺らぐかも知れない不安があったから答えが出なかった。
「……どうして答えないの?」
「あっごめん。俺が思うに、白王子とシンディーの共通点が多くてその謎が知りたい。だから凛花ちゃん協力して」
「やだっ!」
くうっ即答ですか、だよね。仕方ない一人で探すしかないか。
「それじゃ凛花ちゃんは部屋に戻ってよ。俺、いやあたしは一人でシンディー探すから」
「……そんなこと許さない」
凛花ちゃんは俺の手を握った。
鬼教官兼浮気監視役の凛花ちゃんが俺を一人にする訳ないと読みがあって、そう言ったんだ。
「ふふっじゃあ凛花ちゃんあたしと一緒に探しましょう」
「えっ光ちゃんどうしたの?」
イメチェンした俺に少し戸惑っている凛花ちゃんだ。でもさ、金髪ツインテに気の強そうな俺の顔はまさにツンデレに相応しいと思うんだ。
「ふふっこれから俺はイメチェンしたからよろしくね!」
「…………」
「あれっ?」
腰を屈め人差し指立ててノリノリで言ったけど、なんだか凛花ちゃん不機嫌そうな顔だ。明るい娘駄目?
「…………」
「凛花ちゃ〜〜ん聞いてるっはわっ!?」
なんでかな、お仕置き脇ツンされた。
「光ちゃん俺って使っちゃ二度と駄目」
「ああ、そう。そうだったわね。ごめんなさい凛花ちゃん。さあっ気を取り直してシンディー探すわよ」
「…………」
「凛花ちゃんまだなにか?」
恐る恐る聞くと眉一つ変えない無表情な凛花ちゃんが親指を見せた。はあっなんだ、上機嫌じゃないですか。
「さて、問題はシンディーがどこに消えたかよね?」
俺は正門に目を向けた。丁度正門を閉める警備員さんがいたから話しかけてみよう。
「あのっすみません」
「んっ帰るの?」
「あっいや、シンディーいや、金髪の女の子正門通りませんでしたか?」
「いんや、見ないねぇ」
「そうですか。分かりました。ありがとうございました警備員さん」
警備員さんにしおらしく頭を下げ礼を言ってから、凛花ちゃんの手を引いて捜索開始だ。まずは校舎かそれとも大浴場か寮代わりに使っている洋館に重点を当てて探すことにした。
そこでだ。三つの内どっち行くかなぁ……。
さっきまで楽しかった校舎を見た。消灯されて真っ暗闇な教室が不気味だったから、教室は後回しにしたい。
「凛花ちゃんとりあえず大浴場に行きましょうか?」
「…………」
「んっどうしたの急に黙って凛花ちゃっはわっ!?」
えっえ? 今度は凛花ちゃんの人差し指で胸ツンされてびっくりした。思わず両腕をクロスしてガードした。
ああ、女の子同士ってナチュラルに胸触ったりするの?
本当に心臓ドキドキだよ。今の胸ツンはお仕置きと言うよりご褒美だよね。
「光ちゃんえっち」
「ええっ違うよ誤解。あたしが言いたいのはシンディーと初めて出会った場所が大浴場だからだよ」
「…………」
「凛花ちゃん? はわああっ!?」
両脇くすぐられた。
「もうっ知らないっ光ちゃんの馬鹿っ!」
「えっちょっと凛花ちゃあぁん……」
大浴場での出会いと言ったのが不味かったかな? 不機嫌そうにそっぽ向いた凛花ちゃんをなだめながら俺達はとりあえず洋館に向かった。




