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繋いだその手を

 

 楽しかった冬休みはあっと言う前に過ぎていき、今日から三学期の初日。はっきりいって気が重い。

 何故なら憂鬱(ゆううつ)の原因は女体化にある。


 思えば女体化してからの初登校は嫌で仕方なかった。危うく登校拒否するところだった。そうならなかったのは親父の前向きな意見のおかげ。


 ありがとう。


 俺は目をつむってアドバイスをくれた親父に感謝した。すると頭の中からつるぺた幼女な親父の姿が浮かんだ。

 ああ、未だに断崖絶壁は頭から離れないな。俺はロリコンじゃないから興奮しなかった。当たり前だっあれのガワは美幼女だけど中身は親父だ。欲情したらヤベー息子だよ。


 実家通いと違って、学園の敷地内に住んでいるから遅刻の心配が全くなくなった。だから、授業開始20分前に部屋を出れば余裕で間に合う訳。

 ただなぁ、知り合い以外の生徒達は俺と凛花ちゃんが同じ部屋で生活しているのは知らていない。だから、毎日一緒に登校したら怪しまれる。


 それにいつも敷地内から凛花ちゃんと登校すると、いずれ生徒に目撃されるのは時間の問題。

 だったらいっそのこと皆んなに知られた方が楽なのは、性転換を初日で知られた俺の事例からして明らかだった。


 まあ、それについては今心配しても仕方がない。

 俺達は食堂で朝食を食べてから一旦部屋に戻って歯を磨いて制服に着替えた。



「そろそろ行こうか?」


 鏡の前でネクタイを締めてから、振り返って聞いた。すると凛花ちゃんはリュックを背負って準備万端だった。

 はは、逆に俺を待っていたんだ。聞いてごめん。


「はい」


 凛花ちゃんが俺に右手を伸ばした。こんな朝から握手ってそんなに新学期が嬉しいのか?

 俺は嫌な予感しかないから、新学期に対して正反対な気持ちだ。



「あっどうも……んっ凛花ちゃん?」


 しょうがないから俺は握手したよ。


「んっ?」


 握手すると凛花ちゃんは手を離さない。3分経過したけどラーメン食べ時の時間だ。もしくはンンンラマンの活動時間が過ぎたところだよ。

 もしかして永遠に俺とお手手繋ぎたいのか?


 そしたら化石になっちゃうよ。まあ、冗談はさておきいつまで手を握っているのかな?


「光ちゃん行こっ♡」

「ちょっと!」


 凛花ちゃんは手を繋いで歩き出した。この子そんなにマイペースだったけ?

 それは流石に不味い。凛花ちゃんと有名人の俺が手を繋いで歩いているところを、なにも知らない生徒達が見たらあらぬ噂をたてられる。

 百合漫画みたいに、あら、素敵ですわと生徒から温かく見守られる訳がない。


 俺はちょっと困った顔していたら、凛花ちゃんが顔を覗きこんだ。


「どうしたの?」

「あ、いや、あのさっ流石に手を繋いで登校するのはやめない?」

「嫌なの?」


 あっ凛花ちゃんが子リスみたいな顔になって瞳が潤んだ。むっ駄目だよっ同情誘ったって。


 でも不味い不味いっまた泣かせちゃう。だから俺は彼女の肩を掴んで子供をあやすようになだめた。


「いや、誤解だよっちょっと聞いて俺さ、有名人だから手を繋いで登校したらさ、当然凛花ちゃんにも注目が集まる訳。そうなるとこれから凛花ちゃんはどんな目に遭うか分からないよ」


 自分で言うなとツッコミたくなったけど、有名人なのは事実なんだ。だって男が美少女に性転換したんだよ。

 性転換の能力はたまにあるみたいだけど、美少女になるパターンは珍しいそうだ。大抵は残念な容姿になるらしい。それじゃ夢も希望もないね。



「……分かった。手は握らないけど一緒に歩いてもいいでしょ?」

「もちろんさ、本当ごめん凛花ちゃん」


 俺は可愛いくウインクして謝った。とっさにでた女の子らしい仕草に自分でも驚いていた。

 すると凛花ちゃんは笑顔になった。


「大丈夫。だけどいつか皆んなに認められて、手を握って登校出来たらいいなぁけほっ……」

「あっ大丈夫凛花ちゃん?」


 俺は心配で彼女の両肩をつかんだ。忘れていたけど、凛花ちゃんは障害持ちで声が出ないんだけど、能力によって1分間だけ話すことが出来る。

 でも、それ以上喋ると身体に負担がかかって今みたいに咳き込んでしまう。だからほっとけない。好き嫌い関係なく(本当は好きだけど……)俺が側にいてやらなくちゃいけないんだ。


「だ、大丈夫だから心配しないでけほっ、これでもなんとか学校には通えるんだっけほっ」

「本当に大丈夫…………」


 ああもうっ俺は凛花ちゃんのためにと思って手を繋ぐのをやめたけど、それは間違っていた。

 手を繋いでやらなくちゃ駄目なんだ。周囲の目なんて気にするな。例え陰口言われやがらせ受けても俺が守ってやる!


 ああ、そうさ、どんな困難にも俺は立ち向かってやる。俺を支持する人達もいるし、なによりいつも側に凛花ちゃんがいる。

 だからやれるさっ!


「凛花ちゃん遅刻するから行こっ!」


 俺は手を差し伸べた。


「うんっ」


 凛花ちゃんは俺の手を握りそのまま歩いた。肌寒い11月の早朝なのに手が汗でにじんだ。

 ごめんね凛花ちゃん。最初手を離して。

 でも。


 決めたんだ。どんな困難がきても君の手は決して離さない。


生徒会選挙と時期クイーンのイベントの前に学園物によくあるイベントの話を考えております。

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