寝る前の怖い話
ちょっと息抜き回です。ほんのりした話です。
凛花ちゃんとの共同生活からしばらくして大晦日をむかえた。
やることは特になくて寝ることになった。(勉強しろよ!)
例によってベッドは一つしかなくて、俺は窓ぎわで寝てその横に凛花ちゃんが寝て逃げられない使用だった。全く嬉しいのやら困ったものやらだ。
眼鏡を外した凛花ちゃんは寝っ転がりながら見つめていた。ちょっと不味いよそのムードありげな雰囲気。
「して」
「ちょっと!」
この子いきなりなにを言ってるんですか?
してって簡略し過ぎてソッチの方かと思うでしょうに!
「なにを?」
「んっ?怖い話して」
ああ、良かった。ソッチの話かぁ、ちょっとびっくりしたけど健全な要求でしたね。いいでしょ怖い話ならいくつか自身が体験した話もあるからね。
コレからは毎日凛花ちゃんに怖い話を披露しなくちゃいけないのかな?まあ、別に体験談がなくなってもネタはネットから拾えばいいんだけどね。
まあ、体験談とは言っても大した話はないんだけど、凛花ちゃんは凄く期待した顔で俺の顔を見つめていた。
やめて、期待されても困るから。
「んじゃあ、俺がまだ男の身体だった時代の話をするよ」
「うんっ期待してる」
「…………」
凛花ちゃん期待はしないでよ。
「ねえ凛花ちゃん金縛りに遭うことない?」
俺は唐突に聞いた。すると凛花ちゃんは怯えるように首を振った。うーん、怖がらせてしまったか?
でも、怖い話は怖がらせてなんぼですから話を続けた。
「金縛りって急にきてビクンと上半身に誰かがのしかかってくる感覚で動けなくなるんだ。それでね、怖いから目をつむるんだけど金縛りをかけてる奴のビジュアルが脳裏に浮かぶんだ」
「それってどんなオバケ?」
凛花ちゃんさあ、言っとくけどハロウィンみたいな可愛らしいオバケじゃないよ。
「俺が見たのは、暗い表情の若い男が覆いかぶさっていたり、鎧武者のシルエットだったり、綺麗なお姉さんに身体舐められたりしたな」
「光ちゃん……」
「んっなに凛花ちっ痛っちょっとなんで今太ももつねった?」
俺はつねられた痛さに飛び上がった。凛花ちゃんは口を尖らせて怒った表情。なんだよ綺麗なお姉さんのオバケに嫉妬したのかな?
とは言ってもさぁその時俺まだ男だぜ?男時代の出来事も嫉妬してくれるのかな?
それだと嬉しいけどね。
「仮に幽霊がいるとしたら、人はどうやって実体のない幽霊を見ることが出来るのか俺なりに思ったよ。それは多分脳内で見てるんだと思う。だって大体急に目覚めてから金縛りに遭って怖くて目をつむると幽霊の映像が浮かぶんだ。それって脳内で見てるんじゃないのかな?」
俺はつい熱くなって力説すると凛花ちゃんはキョトンとなって俺の顔を見つめていた。
ちょっと分かりにくかったかな?
「上にのしかかられる感覚が分からないから私にやってみて」
「えっでもいいの凛花ちゃん?」
「ヤッて!」
「…………」
凛花ちゃん言い方。
「仕方ないなぁじゃあ凄くリアルに再現するね」
と言って俺は一旦ベッドから出て凛花ちゃんに布団を被せた。それから俺は右足をベッドにかけて上に上がった。それで凛花ちゃんの上に覆いかぶさり首元の布団をキュッと両手で押さえ、それから首を絞めた。
「 ! 」
凛花ちゃんは余りの恐怖に声も出なかった。そう、本当の恐怖って声が出ないんだよ。まあ、大抵は首しめられたりして声なんか出せないんだけどね。
ちょっと再現がリアル過ぎたのか凛花ちゃんは涙目になって俺を睨んでいた。
不味い、早くよけないとビンタが飛んでくる。
「わっわっ分かったよ凛花ちゃん!」
俺は慌ててベッドに降りた。
「光ちゃんと一緒なら大丈夫だよね?」
「んっ?ああ、もちろんいつも側にいるから安心して凛花ちゃん」
「良かった」
凛花ちゃんは涙を拭きながら言って起き上がってベッドを開けた。
「光ちゃん風邪引くよ早く入って」
「あ、うん」
俺はベッドに横になると凛花ちゃんが身を寄せてきた。うわっくすぐったいけど温かい。
「怖い話もっとあるの?」
「そらあるさ、でも、今日はここまでにして寝ましょう。それに明日の朝初詣でに行かない?」
「行く」
「だったら学園の近くに神社があるからお参りに行こう」
「うん」
こうして元旦の日は凛花ちゃんと初詣でに行くことになった訳だけど、誰にとは言えないけど俺達は狙われているから外出するには王子様の助けが必要だった。
そこでどの王子がいいのか考えた。
まず白王子は何故か学園の外に出られないらしい。なら黒王子はと言いたいけど彼はクイーンの警護に忙しい。
となると、赤王子と黄王子か?
うーん 赤王子はちょっとチャラいかな?黄王子はやんちゃだし凛花ちゃんと落ち着いて初詣でに行きたいから、消去法で青王子かなぁ?
無難っちゃ無難だしね。青王子の正体は盆栽部の副部長だから一番気が楽なんだよね。
そうと決まったら俺はスマホを取り出し副部長宛てにメールを送った。
メールを送ったのは深夜0時と言う非常時極まりないけど、別にいいよね副部長は優しいから。
「さて、凛花ちゃん寝よか?」
「うん、光ちゃん抱いていい?」
「ええっ!?」
ギュッ!
「スースー」
凛花ちゃんは俺に抱きつきそのまま寝てしまった。
「なんだよ凛花ちゃん、俺は抱き枕代わりかよふあぁぁっ」
俺はなんだか安心してからあくびをして掛け布団に潜り込んで寝た。
明日は凛花ちゃんとの初詣だから早起きしないとね。




