謎の美女の行方
てっきり女風呂に白王子が不法侵入しているかと思って入ったけど、出会ったのは謎の金髪美女。
腰まで伸びたウエーブがかった金髪で、俺より年上っぽい大人びた顔立ちの美少女だった。
彼女は俺の顔を見るとそそくさと風呂から上がって行った。俺は彼女のこと知らないけど、彼女は俺の顔を知っていた素ぶりだった。
まあ、俺は有名人だから知っていて当然だけど、だからと言って顔みたら逃げるか?
「ちょっと怪しいなぁしかも最後に残したクセが強い口癖は白王子とよく似ている」
俺は一人つぶやくと急いで彼女の後を追った。
謎の美女は急いで身体もろくに拭かなかったのか、脱衣所の床が水浸しになっていた。それと一つカゴに綺麗に畳んであった白王子のスーツとブラジャー? が気になったので、急いで確認するとなかった。
てことは謎の美女が持って行ったのか?
「いや待てよ、そうなると謎の美女の正体は白王子?」
むしろ逆か? 白王子の正体が謎の美女だと思う。
俺は以前白王子の鍛えあげた胸板を見たから、親父が昔出会った女版白王子とは別人だと思っていた。
でも実際会ってみていくつか共通点があった。特に白王子のスーツを持って行ったのは怪しい。そこで考えられるのは能力によるもの。
親父が会った女白王子と同一人物であれば、不老の能力使いでもある可能性がある。まあ、それはどうでもいいけどね。
好奇心に駆られた俺は急いで着替えてから後を追った。
謎の美女が逃げ出してから5分が経過した。まだ間に合う。俺は受付メイドに声をかけられたけど無視して外に出た。
入り口の前で謎の美女がどの方角に逃げたか確認した。
「どうした?」
「ひやっ!?」
急に背後から声をかけられてびっくりして、おもわず悲鳴をあげてしまった。振り返るとそこには黒王子がいた。
あっ黒王子様と会話するのは初めてだ。緊張するけど今はそれどころじゃない。
「あっあのっ今金髪ロングの美女見ませんでしたか?」
「んっ金髪って君のことじゃなく?」
この人なりにボケてみたのかな?
「違いますっもっと大人っぽい女性です!」
「 …………なら、見ないなぁすまん」
「そうですか急に聞いてすみません。あ、黒王子様はこれからお風呂ですか?」
「ああ …………」
「……」
この人も凛花ちゃん並みに無口だな。 黒王子はクイーン様の警護があるからと言って大浴場のロビーに入って行った。
くそっ結局手がかりはつかめなかった。
「仕方ない凛花ちゃんのフルーツ牛乳もらって帰ろう」
と俺は振り返った。
「ワオ! こんな暗い場所でなにしてるんだいマイハニー?」
「んなっ!?」
なんと白王子とバッタリ会った。目の前で微笑んでるのは正真正銘男の白王子様だった。
「ちょっ …………」
ようく観察してみると確かに体格とか身長が男なんだよ。だからと言って騙される俺じゃないよ白王子。
憶測だけど白王子の能力は二つあって一つは不老? あと二つ目は性別を変える能力。まだ確信は出来ないけど可能性があるとしたらこの能力しか思い浮かばない。
後は直接確認するだけ。
「なあ、ちょっと上半身裸になってくれないか?」
「ワァオ! 大胆ね――?」
「うるさいっいいから脱げ!」
「分かりました。だけどなにもなかったらいくらハニーでも許しませんよ」
「うっそ、その時はキスなりしてもいいよ ……」
「ワオ! ラッキーです!」
…………こんのぉそれは潔白を証明してから言え。
白王子はジャケットとシャツを脱いで白のTシャツ姿になった。今のところ異常はない。ブラを着けていれば跡がくっきり現れるんだけど、それもなかった。
おかしい。どうなってる?
「オー外は寒いですねぇ」
Tシャツを脱いで上半身裸になった白王子は胸に腕を抱き寄せた。んっ怪しい行動。しかし隠しきれない鍛え抜かれた胸板を見た俺は落胆した。
何故? どうでもいい秘密を暴くのに熱くなり過ぎだなぁと思う。だけど、コレが変身によるものならば、髪の毛や身体を触れば分かる。
「ちょっと触ってもいい?」
「ワオ大胆っいいけどなんもなかった時どうするハニー?」
「わ、分かってる。キスぐらいさせてやる!」
「オウノーキスはさっき約束しました。コレは別の約束ですので、もし違ったら貴女の胸触らせて下さい」
「ちょっちょっと! そんなことしたら警察呼ぶよ!」
俺は警戒して胸を手で隠した。
「ふうっワガママなハニーですね。まあ、いいでしょう。ホラ確認して下さい」
「あっああ、触るぞ ……」
俺は白王子の髪の毛に手を伸ばした。いくら性別を変える能力でも身体は濡れているはずなんだ。白王子の髪に触れた。
「んっ?」
髪の毛ばサラサラだった。
ならばと、胸元を触ると肌は乾燥していて硬くたくましい筋肉だった。
「う、うそだろ? そ、そんなハズは ……」
俺は後ろに下がる。が、大木に突き当って止まった。
「気が済んだかいマイハニー?」
ゆっくりと白王子が俺に迫る。くっ近寄るなっヤメッ!
「んっ …………ふう、」
二度目のキス。
しかも、白王子はそっと俺の胸に触れた!
「んっむっぷはっ止めろ変態!!」
俺は白王子を引き剥がして距離を取ってから、両腕をクロスして胸をガードした。
「軽率でしたソーリー」
白王子は素直に謝った。当たり前だっボケ!
「謎の美女ではないと分かったけど、白王子との関係は?」
「謎の美女? 知りませんネ」
「嘘つくと許さないぞ!」
「おおっ怖いですね。それよりも彼女を待たせるのはよくないですよ」
「えっ?」
白王子が指差す方向を向いたら凛花ちゃんがいた。
「あっ …………り、凛花ちゃんいつからそこに?」
「5分前から」
「 …………」
凛花ちゃんに白王子にキスされている場面を見られた。終わったどうしよう?
「あ、あのね、凛花ちゃんこれは違うんだ ……」
「バカッ!!」
バッチィン!!
「痛っ!?」
凛花ちゃんは俺の頬をぶった。んー恋人同士じゃないのになんでビンタするの?
「ご、ごめんなさい凛花ちゃん …………」
俺はぶたれた左頬を手で押さえた。
状況の整理が出来ないけどと今は謝罪しようと思った。
だけど凛花ちゃんは無言で走り去ってしまった。そんな俺を見かねたのか白王子が近づく。
「あ、そんなぁ凛花ちゃん誤解だよぉ ……」
「マドモアゼル早く追いかけた方がいいですよ」
そもそも白王子のせいだろ?
「分かってるよっくそッ誰のせいでこうなったと思ってるんだ白王子っ覚えていろよ!」
謎の美女の行方を追う所じゃなくなった俺は急いで凛花ちゃんの後を追った。
ああ、今日はなんて慌ただしいクリスマスイブなんだ。




