クリスマスパーティー3
クリスマスの飲み物と言えばシャンパンを思い浮かべる。今回のパーティーにも用意されたけど、配られたのは先生方の大人達のみ。アルコールが入っているから高校生には配られなかったんだ。悲しいね。
シャンパンはアルコール度数が低いからか、実家のクリスマスでは普通にシャンパン飲んでいたんだけど、そこは教育機関だから厳しいね。
俺達高校生はグラスに炭酸ジュースで乾杯だ。うーんこの、真面目だな俺達はジュースで我慢するのは、実家ではちびっ子親父が子供にシャンパンはおろか、ビールまで勧めてくるからなぁ ……。
チンッ!
「カンパーイ! メリークリスマス!」
皆んな一斉に言ってグラスをコツンとさせ乾杯した。
「ちょっと中島っアンタのアレどうなっているの?」
「アレって言われましてもね?」
開始早々棘無先輩が突っかかってきた。アレのことですか? 分かってますよ。思春期の男子 ( オカマだけど ) は特に気になる話題。
下ネタ話ですよね?
「ちょっと言わせないのっ! 性転換しておち、いや、ちょっと下品だから棒よ、そう棒と玉。どうなったの?」
「…………」
クリスマスパーティーでその話題振る? デリカシーないなぁまあ、気になるのは分かってますよ。将来自分も手術でなくしたいんでしょ棘無先輩?
「なくなりました。ちょっと恥ずかしいけど性器は女性の物に変わりました。俺もこないだまで男子ですから、今でも困惑してトイレに行くのも悪戦苦闘です」
「羨ましい。どうして中島に完璧美少女になれて、アタシは不細工な男なのよっ心は中島より心は乙女なのよっ!」
…………棘無先輩はハンカチを噛んで悔し涙を流した。俺に対する嫉妬心半端ないですね。まあ、可愛そうだからフォローするか。
「棘無先輩も性転換能力備われば良いですね?」
「ちょっと中島っそれ嫌味? もうっアタシの能力はとっくに確定してるのよっ!」
「えっそうなんですか? 初耳です。ぜひ、先輩の能力知りたいです」
「………… 」
ちょっと先輩沈黙しちゃったよ。悪いこと聞いちゃったのかな?
「アタシの能力はさ、筋肉強化の能力、つまりマッチョになる能力ね …………」
「うわっ」
「ちょっと今うわっと言ったわねっ殺すわよ中島!?」
棘無先輩が拳をテーブルに叩いて言った。いやいや、乙女に憧れる棘無先輩の能力が寄りによって筋肉強化とは、女体化とは真逆な能力。
いや全くご愁傷様です棘無先輩。
「大変ですね先輩 ……」
「ちょっとなによその人を哀れむ言い方? アンタさあ、美少女になって調子に乗ってない? 分かるのよアタシの女の勘が?」
いや、貴方男でしょう?
「生理とかどうしてるの?」
「先輩っいい加減にして下さいっ皆んなのいる前で、デリケートな質問します?」
「そうですよっ女の子に聞く質問じゃないわよ棘無先輩!」
委員長が注意してくれた。ありがとう真面目な娘がいて助かった。
「でもまあ、そこは私も気になる」
「へっ? 委員長裏切るの?」
「中島君はさ、生理きた?」
うわっ女の子同士ってデリケートな話題普通にするのかな?
「…………ま、まだですけど …………」
「あ――そう? 辛いわよ――生理」
「いやぁ実際なってみたいと分からないです」
「そうよねぇ性転換による女体の仕組みは分からないけど、そろそろ月経の周期になってもおかしくないから中島君覚悟して!」「えっそんなこと言われたら怖いじゃん?」
俺は委員長に脅されて頭がクラクラして貧血気味になってテーブルにヒジを突いた。すると隣に座る凛花ちゃんがそっと手を添えてくれた。
「怖くないよ光輝君」
「ありがとう優しいね凛花ちゃん」
俺は優しい凛花ちゃんに感謝して見つめ合った。
「ちょっと! そういうことはよそでやりなさいよっ!!」
ドンッ!
テーブルを叩いて棘無先輩が注意した。ごもっともです。凛花ちゃんトロンとした目で見つめるのは辞めて、周りが勘違いするでしょ?
「楽しんでるかいマドモアゼル?」
グラスを持った白王子様がこちらの席まで来て聞いた。彼の目当てはもちろん俺だ。ついでに凛花ちゃんもだけど。
「なんですか白王子様ナンパしに来たのですか?」
ジト目で睨んで言ってやった。
「ワオッなんで分かっちゃったんデスカ? 貴女エスパー?」
「大体分かりますよ」
「ソーリーところで引っ越しの準備は終わりましたか?」
「ん、引っ越し? んーまだ荷物を置いただけで今夜は寝るだけですね」
「ちょっと引っ越しってなんのこと?」
俺と凛花ちゃんの事情を知らない委員長が聞いた。
別に隠しごとじゃないけど新咲の嫉妬による嫌がらせいや、(それ以上だな) 実際殺されそうになった。
その原因がクイーン候補だと白王子様に気に入られたこと。
「ちょっと早く言いなさいよっ!」
「えーとですねぇ ……」
もうっ委員長俺の事情も知らないで急かさない。
「彼女達はクイーン様に気に入られていて、今回一緒に住みませんかと誘われて引っ越すことになったのです」
白王子様が助け船を出してくれた。うんまあ、そう言う理由にしときますかありがとう白王子様。
「ふう――ん、アンタらいくらクイーン様に誘われたってこんな立派な洋館に住む気になったわねぇ? 私なら広すぎて四畳半の部屋で充分よ」
王子と会話しても物怖じしない態度の委員長はズバズバ思ったことを言ってから、骨付きチキンをかじった。
あっ俺も食べよう。唐揚げとかフライドチキンとか皿に盛った。つか、どっちもチキンだなぁ一つにしようよ。
「凛花ちゃん一緒に食べよ?」
「うんっ」
顔を合わせたら凛花ちゃん笑った。
「あら、二人共仲良いわね? もしかして付き合ってる?」
さっきから食べないで俺を観察していた棘無先輩がとんでもないことを口走った。
「棘無先輩っ妄想飛躍し過ぎですよ。付き合ってる? そんな訳ないじゃ …………」
「あら、どうしたの? 早く言いなさいよ!」
アンタは黙っていてくれ、それより横を見たら凛花ちゃんの目がふるふるして涙ぐんでいた。
あー凛花ちゃんは敏感だからすぐ察するのね。
「あ、あのね凛花ちゃん俺達友達でしょ? だから、付き合ってるってのは誤解を呼ぶと思ってさぁ」
「ううっ私は恋人でもいい」
ちょっと凛花ちゃん俺にしか聞こえない小さな声でなに言っちゃってるの? はあ〜結構面倒くさい。
「ワオッ!」
白王子様が両手を上げてワザとらしく驚いてみせた。本気で余計なことしてくる王子だな。
「アンタ百合? それとも王子様が好きなのどっち?」
なんかすごい剣幕で委員長に問いつめられた。どうでもいいけど百合って創作の中での言葉だと思うんだけどぉ、それ現実に聞く?
「はは、どっちだと思います委員長?」
「知らないわよっ! まあ、個人的には百合であって欲しい。でも逆に王子様派ならアンタはホモに認定するわ、だって元男だし、今も心は男でしょ? でっ本当のところどっちなの?」
委員長はそう聞いてから俺に指を指した。あれ、この人絡む絡むシラフでこれだから、酒飲ませたらダメな人間だ。
「そ、そりぁ俺は女の子好きですよ。こ、心は男ですからね。し、自然な答えじゃないですか?」
「オ――ノ――僕はフラレま――した」
白王子のオーバーリアクション疲れるわ! それより物静かな凛花ちゃんの方がいいね。
嫁にするなら絶対大人しい娘がいいよ。
「ふ〜ん で、部屋は別々?」
委員長は頬杖をつきながら気だるそうに聞いた。んっ酔ってます委員長?
「あ、えーとう―ん。困ったな ……」
俺は返答に困った。
「ちょっとなに悩んでるの? 早く言いなさいよ!」
「あーもうっ急かさないで委員長っ!」
「一緒」
えっ凛花ちゃんがボソッと言った。いや、皆んなおかしいってなんで物怖じせず正直に言っちゃうの?
そんなに俺を困らせたい?
「一緒って同じ部屋に住むのアンタ達?」
「まあ、そうなりました」
「危険だわ ……」
委員長はそう言ってグラタンをスプーンですくって食べ始めた。うんっ俺もそう思う。 ガワは美少女でも中身は男。
いつオオカミに変貌してもおかしくない。
さて、楽しいクリスマスパーティーはお開きになった。クイーン様は先生方と生徒会関係者に囲まれて話すことは出来なかった。
まあ、これからは同じ屋根の下で暮らすんだ。いつでも話す機会はあるよ。
◇ ◇ ◇
皆んなと別れて凛花ちゃんと部屋に戻るとベットに並んで座ってしばらくぼーっとした。
「凛花ちゃん寝る前にお風呂に行かない?」
この敷地内には住み込みの従業員も使っている大浴場がある。わざわざ屋敷から出て行かないとお風呂に入れないのはちと面倒だけど、凛花ちゃんと一緒なら楽しいかな?
んっ凛花ちゃんは首を横に振った。
「嫌なの?」
「裸を見られるのは恥ずかしい」
凛花ちゃんは下を向いて訳を話した。そっか、年頃だもんね?
「そうかぁ仕方ないないかぁじゃっ俺は先に入るね!」
俺は立ち上がって洗面器の中にタオルやシャンプー替えの下着を入れた。昔爺さんが言っていたなぁ家に風呂がなくて洗面器持って近くの銭湯に通っていたってさ。
ちょっとノスタルジックでいいんじゃない?
「じゃあ悪いけど凛花ちゃん、俺お風呂に行くね」
俺は凛花ちゃんを部屋に残して大浴場に向かった。




