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身体検査

 

 親父の名は鉄二郎。

  ずいぶんと(おとこ)らしい名前だけど性転換能力のおかげで違和感しかない。

 親父が金髪美少女に性転換してから10年の時が過ぎた。なのに未だに10歳くらいのあどけない少女の見た目だ。

 

 つまり、親父は歳とっていないと言うことだ。


 不老不死と言う言葉が頭に浮かぶけど不死身なのかは不明だ。分かっていることは不老だということ。


 疑問に思うことは、能力は一つだけしか与えられないということで、以前親父から聞いた話によるとまれに能力を二つ授かる人間がいると聞いた。

 ただ、二番目の能力はあくまで補助的な能力らしい。


 話は戻る。

 特殊能力対策課本部に親父がいたのは呼ばれて来たのであれば納得するけど、それにしても早すぎる。

 だって俺より先にきてるってありえるか?


 それに親父はスーツなんか着ちゃって、いっちゃ悪いけど大工の親父には必要ない装いだぞ?

 俺が不審がってジロジロ見ていると、ようやく小さい口を開いた。


「まあ、良かったじゃないか」

「はぁっ?」


 災難にあった息子に対してかける言葉がそれか? 俺は怒りで親父をぶん殴りたい衝動にかられたけど、見た目がか弱い少女なので出来なかった。

 ずるい。


「なにが良かったんだ親父?」

「んっ? だってほら、性転換した事実を学園内で知れ渡ったんだから、こそこそ事実を隠す必要がなくなっただろ?」

「……そ、それはそうだけど、でもよっ登校するのが滅茶苦茶恥ずかしいぞ!」


 クラスの皆んなに不本意ながらカミングアウトするみたいな感じだ。


「まあ、そこは慣れだよ」

「適当に言ってくれるな、そもそもなんだよこの性転換能力は?」

「それねぇウチの一族。特に男子が受け継ぐ能力で皆美少女に性転換しちゃってるんだわこれが……」


  ……通りで年末に親戚一同が集まる会の度に知らないとびきりの美少女が毎年増えていく訳だ。その美少女の正体は親戚のおじさんだったりするんだ……考えただけでちょっとやだね。


「遺伝ってのは分かったけど、なんで親父が特殊能力対策課にいるんだ?」

「なんでって俺が特殊能力対策課の課長だからだよ」

「はあ――っ親父大工じゃなかったのかよ?」

「アレは嘘だ。性転換してから俺はその能力を政府に買われ課長にまで上り詰めたんだ」


 能力を買われたって性転換がか? いや、真面目に考えると不老不死が関係しているのかな?

 まっ理由はどうあれ今まで家族に黙っていたことは許せねぇ俺は親父に詰め寄ると刑事? 達がガードした。


「チッどけよあんたら!」

「そうはいきません。いくら課長の息子いや、はははっ今は娘さんだったな。娘さんでも課長に手を出すのは阻止させてもらいます」


  ……笑えねぇよ。このガタイの良い角刈りの刑事。名前なんていうんだ? 後で親父に聞いてクレーム入れてやる!


「大体なんで俺が連行されなきゃいけないんだ?」

「う――ん それはなぁ覚醒者は一度特殊能力対策課で身体検査される必要があるんだな」


 親父が子供みたいに座る椅子を回しながらいった。まあ、見た目も子供だけど。

 ちょっと待って身体検査って聞いてない!


「もっもういいだろ?」

「いけませんお嬢さん」

「チッあくまでも俺を帰さない気か!?」


 刑事達に出口を塞がれた。非力な美少女に性転換した俺では太刀打ち出来ないから諦めてしゃがんだ。


「はしたないパンツが見えるぞ」

「うるさいっ親父。一体どうなってんだ? 体はともかくトランクスまでも白のショーツに性転換するなんておかしい?」

「そう言うものだと割り切った方がいいぞ。だって数ある能力の中で、体を金属に変えたり手から黄金出したりと不可思議な事例ばかりで深く考えたら負けだぞ」

「……摩訶不思議な神が授けた能力だと言い訳か?」

「そういうこと♪」

「はあ――っ分かったよ」


 がっ、俺は納得して帰ろうとしたら刑事達に囲まれた。


「済まないが規則なので今から身体検査を行いますから保健室にご同行願えますか?」

「はあっ保健室にぃ全裸になれと?」

「そうなりますね」

「…………」


 このガタイの良い(おとこ)達の前で裸をさらせと?


 絶対やだ!


  「流石に男に身体検査受けるのはやだよねぇ? なんなら俺が身体検査してやろうか?」


 無茶言うな親父。美少女の姿とは言え親父に体のすみずみまで見られるのは絶対嫌だ。

 むさい男もヤダ。親父もヤダ。残る第三の選択肢は綺麗なお姉さんしかいないよなぁ……。


「綺麗な女医さんならいいけど……」


 俺は上目遣いで恐る恐る聞いたら親父はいるといったので、身体検査を受けることを了承して保健室に向かった。

 

  「あら――べっぴんさんね――早速服を脱いで下さい」

  「…………」


 出迎えてくれたのは確かに女医だった。

 だけど、恰幅(かっぷく)の良いおばちゃんだった。それもちょっと嫌だな。


 俺は全裸にされて検査台の上で四つん這いにさせられ、アンナところやコンナところまでくまなくチェックされた。

 くっ甘い思いを期待してたのにこれでは屈辱だ。


 身体検査の結果は社会適応可能な能力と判断されて証明書を発行された。つまり、俺の能力は登録済みで政府から紐つけされてることなんだ。

 監視されてるのはちょっと嫌だな。


  「要注意能力とは判断されなかったけどアレだな」

  「なんだよ親父アレって?」

  「光輝鏡見た?」

  「見たよ。俺すんごい美少女になっていた……」


 今でも自分でいってドキドキしている。だって理想の異性の容姿に自分がなっているんだ。 家に帰って色々試したくなっていけないこと考えちまう。


「金髪ツインテールでスタイルバツグンの超絶美少女で不老不死ときたら、そら不届き者に狙われるよなぁ……」 

「んっ親父今しれっと核心的なワードいわなかったか?」


 俺の指摘に親父は口を隠した。


「あっやべっつい喋っちゃった。今の話聞かなかったことにしてよ!」

「…………出来るか! 要は俺は犯罪組織にとっては格好な永遠に使える性玩具になるんだろ?」

「そうだ。光輝は老けない死なない ( 多分 )から、 半永久的に楽しめる性玩具として狙われるであろう。もちろんまだ犯罪組織には知られていないが、いずれ知られるかも知れない」


 なんだよその不安をあおる曖昧な言い方は?


「シャレになれないことを言うなよ親父…………」

「いや、割と本気だぞ!」


  だから真顔で言うなよ。


「だから、お前は今日から政府の監視下に置かれるがいいか?」

「分かったよ。従う」


 俺は従うしかなかった。犯罪組織に目をつけられるより政府の監視下に置かれた方が安全だと判断した。


「そうかぁ覚悟を決めたか、、、ところで明日は学校休むか?」

「あ、う――ん」


 幼女の姿した親父に心配されてなんとも言えない気持ちになった。


「冗談言うな親父。学園中俺の事知れ渡ったんだ。一日休んだらズルズルと学校に行きたくなくなるから行くぜ!」


「ほ――――っ(おとこ)だねぇププ、今は女の子だけど」


 …………笑えねぇよクソ親父。


 ようやく解放された俺は一人急ぎ足で実家に戻った。それは、オシッコしたくて我慢の限界だったからだ。

 ドアの鍵は空いていた。母がいるんだ。母は事情を知ってるから見ず知らずの美少女が入って来ても不審者とは思われないと思うけど……ちょっと緊張する。


「あら大変だったわね?」


 台所から母の声がしたけどその前に漏れそうだったので、真っ先にトイレに入った。

 カチリと鍵を掛けてドアにもたれて深呼吸し前を見すえた。そしていつもの便器が異質に見えた。

 


 俺はスカートをめくったら見慣れぬショーツが見えたのでたまらず手を離した。

 童貞だった俺は女の子の大事なところを見るのは初めてだから緊張したんだ。ははっ自分の体なのにな。

 

 だけど、これ以上我慢したらお漏らししちゃうからしよう!


「オシッコしたいけど……どうやって女の子は用を足すんだろう?」


 性転換したばかりの人間に最初に突きつけられる悩ましい問題だ。だけど、生理的な問題を克服する必要はある。

 

「ふっやましいことはない。俺の体なんだからな!」

 

 と、自分に言い聞かせショーツを下ろして初めて女の子の大事な部分を見た!


 そこにはある物がない!


 ある物とは、 男の竿がない。( 当たり前だ! )


 見慣れた突起物がなくなり、ツルツルになったアソコを見て顔が赤くなった。ちょっと童貞の俺には刺激が強すぎる。 

 ああっそんなことより我慢の限界だ。オシッコするぞ! んっ女の子は座って用を足すんだよな?


 俺はショーツを下ろして座ってなんとか用を足した。

  後処理でトイレットペーパーを使うのは、潔癖性の俺は男の時も先っちょを拭いていたから違和感なく出来た。


「ふうっ …………」


 トイレから出た俺はため息をついた。


「明日から女子高生デビューかぁぁぁぁユウツだ……」


 トイレから出た俺は洗面所の鏡に映る美少女の顔を見て期待より不安が上回りため息しか出なかった。


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