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クリスマスパーティー当日

 

 凛花ちゃんが借りている入居施設の契約はまだ生きてるけど、とりあえず早く安全な場所に移り住んだ方が良いとクイーン様に言われ朝から荷物をまとめた。

 俺も当然手伝った。凛花ちゃんは気を遣って断ったんだけど、良いって俺のことは後からでと言って手伝った。


 自分の荷物はさ大した物もないし、親父に頼めば洋館まで運んでくれるさ。


「良しとっこれで終わりかな?」


 一番最初に大事なぬいぐるみをダンボールに詰めて次に下着と洋服を詰め、勉強道具と生活用品を詰め後は運ぶだけだ。

 私物が少ないこともあって、案外早く引っ越しの準備が出来た。

 その荷物を警察のご好意でパトカーに詰め込んだ。近所ね住民は見てたら、ガサ入れかと驚いたと思う。



「さて、荷物の配置は明日からにしてパーティーに出すお菓子を買いに行こうよ凛花ちゃん」

「うん」


 パーティーの料理はクイーン様が用意すると言っていた。そうだよね、あれだけのメイドさん達がいるんだ。頼って欲しいよねメイドさん達。

 厳しそうなメイド長の指揮の元に豪華な料理が並ぶけど、気軽に食べたいスナック菓子は並ばなそうだから、今から凛花ちゃんと二人でスーパーで買い出しだ。


「あっ待って僕も行くよ!」


 ちょっと陽気で小柄で童顔の黄王子が呼び止めた。


「二人共は何者かに狙われているから勝手に出歩いちゃダメ!」

「じゃあ、ボディーガードになってくれる?」

「もちろんさ!」


 黄王子は陽気に返事をして俺と凛花ちゃんの手を握って歩き始めた。ははっ両手に花ですか?

 でも、横一列になって歩くのは、他の歩行者の迷惑になるから止めようね。


 近所のスーパーアデサンにたどり着いた。ごく普通のスーパーだけど変な名前だな? まっどうでもいいか。


「なに食べたい?」


 俺がカゴを持って凛花ちゃんに聞くと、


「僕カップリコが食べたい!」


「………… 」


 黄王子が返事した。

 ちょっと凛花ちゃんに聞いたんですけどね。あ、カップリコと言うのは、コーンのカップの上に苺味のチョコレートがのった日本人なら一度は食べたことがあるお菓子。

 ちょっと子供が喜んで食べるイメージだけど俺は好きだよ。


「あ、はいっジュース買いましょう」

「そうだね、あのメイド長シャンパンなんか用意してそうだけどジュースはどうかな? 俺達高校生だからな」


 ちょっと荷物になるけど500ミリペットボトルジュースを4本カゴに入れた。こんぐらいでいいか? 足りなくなったら買い足せばいいし。

 後はスナック菓子とスイーツを選んで終わりにしよう。


 買い物を終えると両手がふさがった黄王子が俺に一袋持ってと言った。


「ちょっとレディに持たせる気ですか王子?」

「いいじゃんよおっ僕より背が高いんだからぁ」

「失礼ですねっまあ、黄王子が小さ過ぎるんですよ!」

「なにお――っ言ったなっ …………待って光輝ちゃん」


 黄王子はなにかの気配を感じて俺達を止めた。彼はジッと視線の先を見つめた。その先は曲がり角になっていて、ちょうど身を隠せる塀がある。


「おいっ隠れてないで出て来いよ!」


 黄王子が誰かに話しかけると曲がり角の道に影が動いた。


「怖いなぁ怖いなぁ …………」


 ちょっと何言ってるか分からない腰の低い男が現れた。そいつはスーツ姿に口髭を生やした白髪混じりのおじさんだ。


「お前刺客か?」

「うわっおおっと!」


 黄王子が聞くと男はビクッとしてこちらを向き、目を向いて驚いた。…………驚くのはコッチの方だ。


「ワタシね、ジュンイチと申します。ええ、丁度この辺りで一人でね、じぃ――っと待っていたんですよ。ええ、だけど、……だ――れも来ない」


「………… 」


 当たり前だ。


「でもね、コレが出るんだ。気がついたらフッとね君達の姿が見えたんで、おおあっと! 驚きまして、ワタシの額から汗がダラダラ出ましてネ、そんな話もあるんです。ええ」


 よく喋る刺客だ。職業は噺家(はなしか)か?


「もうっまどろっこしいなぁおっさん刺客だろ? 僕達忙しいの、用があるなら早くしてくれる?」

「分かりました。坊やには用がないから消えてもらいましょう。ええ …………」


 ジュンイチは懐から小型ナイフを取り出した。あれっ能力者じゃないの?


「単なる殺し屋か …………僕も舐められたもんだ」

「怖いなぁヤダなぁその自信。だけど、両手が塞がって避けられますかねぇワタシのナイフ?」


 ジュンイチはナイフを黄王子目がけて投げつけた。それは一瞬のスピード黄王子に振り向いた時には心臓に到達しているハズだった。

 だけど、ナイフは刺す5センチのところで、空中停止した。


「う――あっううわっ!! ワタシのナイフが止まった?」

「ガッカリだよ。刺客だからどんな能力だと期待したけど、単なる技だね」


 クイッ


「おおっとぉ!?」


 ナイフが方向転換し切っ先がジュンイチに向いた。ジュンイチはちょっとオーバー気味にビクついた。


「1分数えるから逃げた方がいいよおじさん」


 黄王子の警告を聞いてジュンイチは「ハッ」として一目散に逃げ出した。


「59、60そろそろ1分かな?」


 黄王子は俺の顔を見て聞いた。俺に聞くなっ「はい」と言ったらあのおっさんに悲劇が下される。

 なんか俺が命令を下したみたいになるから、ちょっと苦笑いした。


「うんっ1分過ぎたね。じゃあ、忘れ物返すね」


 忘れ物を返す親切な少年の行為は、状況によっちゃ恐ろしいものだと感じた。

 サイキック能力によってナイフがジュンイチめがけて飛んで行き、曲がり角を通ってしばらくしたら男の悲鳴が聞こえた。


「やったね!」

「…………いや、ちょっと笑えない」


 恐る恐る曲がり角をのぞくとその先にジュンイチがうつ伏せに倒れ、お尻にナイフが刺さっていた。

 ありゃ――コレは痛いよ。


 俺は直ぐ親父に連絡して刺客の確保を要請した。あ――もうっ余計な時間がかかっちゃうよ。


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