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クリスマスパーティー

 

 時が経つのは早いもので明日はクリスマスだ。


 放課後になって俺は、すっかり打ち解けた凛花ちゃんに声をかけた。


「ねぇねぇ凛花ちゃん明日予定ある?」


 俺が聞くと凛花ちゃんは首を横に振ってから縦に振った。なるほどねぇ力は極力喋りたくないんだね?

 分かっている、凛花ちゃんにとっては喋ることイコール能力を使うことだからね。

 

「分かった。予定はないからオッケーなんだね?」


 すると凛花ちゃんはコクコクと首を縦に振った。知らない人がから見ればなんか言えよと思うかもだけど、事情を知っている俺はむしろそれでオッケーさ。


「じゃあ、凛花ちゃんのお家でクリスマスパーティーを開きましょう」

「はいっ!」

「あとねぇ近いうち引越し話だけど ……」


 俺は凛花ちゃんにそっと耳打ちして話した。引越しと言うのは誰かとは言わないけど、クイーン候補と言うだけで命を狙われていて、友達の凛花ちゃんも当然狙われる可能性があるんだ。


 今凛花ちゃんは、特殊能力対策課の刑事さん達に守られているんだけど警備する負担も大きいし、家に住むよりも学園内の洋館に住む方が安全だと俺は思う。

 だからクリスマスが終わったら、俺と凛花ちゃんで洋館に住むことは出来ないのかなぁと考え声をかけたんだ。


「あら、コソコソなに相談してるのかしら?」

「お前はっ!?」


 不意に背後から声をかけられたので振り向くと、諸悪の根源と言える新咲(しんさき)何某(なにがし)がニヤついていた。

 本性を知らなかった時の新咲の笑顔は素敵に見えたけど今は、意地の悪い悪女の笑みにしか見えません。


「なにを驚いてますの?」

「…………な、なんの用だ新咲?」

「あら、ずいぶんと警戒されてますのねぇ? まあ、いいでしょう。実は明日、来年自身の生徒会選挙に立候補記念をかねてのクリスマスパーティーを、イベント会場を借りて盛大に行うのですの」

「…………俺は行かないぞ」

「あら、誰が招待すると言いましたか貧乏人」

「ぐっ …………」


 そりゃセレブから見たら庶民は貧乏人さだけど、嫌味が過ぎるぞ新咲。


「ふふっ私が主催するパーティーに出席できるのは金持ち(セレブ)だけですわ、ホホ ……」


 チッ …………分かってはいたもののムカつく女だ。新咲はワザとらしく口に手を当て笑った。


「ふ――ん この貧乏人のうさぎ小屋でクリスマスパーティーねぇ?」


 新咲は腰を屈めて凛花ちゃんに顔を近づけそう言った。んっ? 今なんて言った?


「ちょっと待てっなんでお前が凛花ちゃんの家の様子を知ってるんだ?」

「あらっ貴女もそう思います?」

「いやっ違うっ凛花ちゃんゴメンね、うさぎ小屋なんて思ってないから」


 俺はとりあえず謝ると凛花ちゃんはコクコク首を振った。良しとりあえず誤解は解いた。後はこの性悪女をどうするかだ。


「だからなんで知ってると聞いてんだ?」

「おかしな事聞くわねぇ? だってあの施設を管理しているのは、私の父の会社の子会社よ」

「なっ!?」

「ふふ、貴女達、昨夜興味深いお話してたわねぇ?」


 ベッドの中での秘密の会話を聞かれていた?


「お前まさかっ凛花ちゃんの部屋に盗聴器を仕掛けたのか?」

「まさかぁふふっ言い掛かりですわ、例え仕掛けられていても私が仕掛けた証拠はあるのですか?」

「あるよ。だって今昨夜の会話とか俺と凛花ちゃんにしか知らない情報を話したじゃないか?」

「あら? そんなのカマかけたに過ぎませんわ。では、パーティーの準備が忙しいので失礼いたしますわ」

「おいっちょっと待て新咲っ!?」


 俺が呼び止めるも新咲は笑いながら教室を後にした。


 なんて事だよ、もしかしたら新咲に凛花ちゃんの秘密を知られたかも知れない。こうしちゃいられない。

 クイーン様に相談だ。


「凛花ちゃん心配しなくて大丈夫だから、今からクイーン様に相談しに行こう」

「 ? 」


 俺は凛花ちゃんの手を握って教室を出た。すると、廊下は俺を待ち構えていた生徒達で溢れかえっていた。

 忘れていた。俺は注目の的だったんだ。これでは洋館に行けない。どうしよう?


「ちょっと退きたまえ君達」


 んっ聞いた声。生徒達がサッと道を開けた。その道を優雅に歩く白王子の姿が見えた。


「白王子っ!?」

「オウ、僕のマイハニー昨夜は大変だったねぇ? 怪我はなかったかい?」


 白王子は両手を広げて抱きつこうとしたから避けてやった。空振りした白王子は机に手を置いてから、澄まし顔で髪を触りながら誤魔化した。

 流石王子様華麗な仕草だね。


「ああ、心配ない。それより王子っ今からクイーン様の元に行きたいんだけど ……」


 俺はそう言ってから、困った表情で廊下を見つめた。相変わらず廊下は生徒で溢れかえっていた。

 こんな人気なんて未だに信じられないんだ。俺から困惑してると、


「オーケーじゃあ窓から出ましょう」


 白王子が窓を開けた。


「あ、そっか、一階だから窓から逃げれば良いのね?」

「イエス! さっマイハニー」

「ちょっと! いいって!」


 白王子は俺を抱っこしようとしたから逃げた。


「ホワイ?」

「あ――もうっ抱っこされなくても出られるよっ!」


 白王子は両手を肩の位置に上げ首をかしげた。一々不思議がるなっ! 突っ込まなくちゃいけないから疲れるな。

 上履きで外歩くのは校則違反だけど仕方ない。俺達は窓から出て校舎裏に向かった。


 クイーン様が住む洋館にたどり着くとメイド長が出むかえた。メイド長は俺に気がつくとレンズごしの鋭い視線を刺すように向けた。

 メイド長はやっぱり苦手だ。


 クイーン様の部屋は三階にあって決まってないらしい。要は暗殺や襲撃を防ぐために毎日使う部屋が変わるらい。

 ふ――んっクイーン様って大変だね。あ――俺は絶対クイーンなるなんて嫌だからな!


「また会えましたね光輝さま」


 書斎机の椅子に座るクイーン様が上品な笑顔で出むかえた。相変わらず清楚で知的な女性だよ。

 俺とは大違いだ。


「実はクイーン様相談が …………」


 俺はクイーン様に凛花ちゃんと安全のために洋館に移り住みたい希望と、凛花ちゃんの家に盗聴器が仕掛けられたことを話した。

 黙って俺の話を聞くクイーン様。頼れる存在はクイーン様と5王子だけ( 親父もだけど ) 、なんとか事情を説明して俺はひとまず落ち着いた。


「分かりました。今回はお友達の命にも関わる事態なので、特別に部屋を二つ用意しましょう」

「あっ助かります!」


 すると、凛花ちゃんが申し訳なさそうに手を上げた。


「あ、あの、部屋は一つで良いです。出来れば広い部屋」

「えっ凛花ちゃん洋館に住むの嫌なの?」


 俺が聞くと凛花ちゃんは慌てて首を横に振った。


「違うのっ私は光輝君と一緒の部屋に住みたい!」

「まあ、大胆」


 クイーン様は凛花ちゃんの申し出を驚いたけど、心良く了承した。おいっ俺の意見は?

 まあ、そんな訳で俺は凛花ちゃんと同じ部屋で暮らすことに決まった。


「今回は異例中の異例です。今後、そのような申し出の場合は、ご自分でクイーンになってから行って下さいね」

「は、はい …………」


 クイーン様に強く念を押された。今後は従うしかないけど、そんな事態にならない事を祈るよ。

 

「あ、後ですね …………」


 俺は人差し指を合わせて上目遣いでクイーン様の様子をうかがった。


「貴女ね …………」


 側で見ていたメイド長がなにか言いかけたけどクイーン様が手で制した。もー怖いよメイド長。


「構いません。用件を聞きましょう」


「え――と、明日凛花ちゃんの家でクリスマスパーティーを開きたいのですが、クイーン様もどうですか?」


「貴女ねっおこがましいですわよ!」

「宜しいわメイド長。ですが流石に私と白王子は学園の外に出る事は出来ません」

「そうですよね、分かりました」

「待ちなさい。良かったらココでクリスマスパーティーを開きませんか?」


 クイーン様は下を指差して言った。


「えっでもっ ……」

「構いません。ついでに荷物を屋敷に運ばせますよ」

「…………よろしいんですかクイーン様?」


 俺が聞くとクイーン様はにっこり笑ってうなずいた。それを見ていたメイド長は「まあっ」と呆れたように言った。

 無視無視 ……。


「食材はこちらから用意しましょう。ですから引っ越しの準備を進めて下さい」

「分かりました」

「はい」


 こうして引っ越しとクリスマスパーティーの会場と参加メンバーが決まった。


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