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副部長

主人公ピンチ回です。

 

 副部長が意味深な言葉を残してからあっけなく強姦魔の一人に取り押さえられた。今の思わせぶりな態度はアレか? 厨二病(ビョーキ)か?

 ちょっとまあ、頼りない副部長に一瞬でも期待した俺が悪かった。やはり、俺が凛花ちゃんを守るしかないんだ。


 俺は凛花ちゃんを抱きしめ強姦魔達を睨んだ。


「ひょうっツインテの()勇ましいねぇへへっ、たまらないねぇ気の強い女を屈服させるのが、コッチ来い!」


「くっ離せっ!」


 リーダー格らしい体格の良い男が俺の手首を掴んで強引に凛花ちゃんから引き剥がした。

 ぐっこのっ俺は抵抗して男のお腹に肘打ちを連打するも、ちっとも効いてない様子だ。


「おいっ大人しくしてろっ!」

「あっ、、、ん、ん、んん痛いっんん、、、くうっ!」


 ギリギリと手首を締め付け男は片手で俺を持ち上げた。ぎっ痛いし、苦しいけどジタバタするだけで逃れる事が出来ない。


「へっどうだ? どんな強がっても、所詮は女だ。男との前では無力だと思わねぇか?」

「んっぐぐぐうっはあっはぁ負けない。お前らなんかにっひぐっうっ!!」


 男はものすごい腕力で俺の右手首を締め付ける。ぎっ骨が砕けそうだ。

 

「んん――そろそろ楽しもうか? ふへへっコイツは滅多にお目にかかれない上玉だからなぁ♡」

「ぐうっやめろっ女はおもちゃじゃないっ!」

「ぐへへ、いんやおもちゃだね。お前ら無力な女共は男の前では無力な性玩具さ」


 ドサッ


「キャンッ!?」


 男は急に吊り上げた俺の右手首を離したから、尻もちついて落ちた。痛たた、、、もうっ乱暴なんだからあっパンツ見えちゃうじゃないっ!?

 俺は慌ててめくれたスカートを閉じた。


「兄貴っ俺も金髪ツインテの()やっても良いですか?」


 子分とおぼしき小太りの男がリーダー格に聞いた。今やってって言ったけど、やるとは色々な意味でとれるけど、やっぱり性的な意味だよね?


「ダメッ! まずは俺が楽しんでからだ」

「そんなぁ兄貴ぃ」

「仕方ねぇおめえらにはそっちの女をやるから我慢しなさいよっ!」


 ぐっ、やっぱりそう来たかっ!? 怯えて縮こまっている凛花ちゃんに三人の男達がズボンのチャックを下ろしながら近づく。

 駄目だっ怯えてるじゃないかっ! 俺は犯されても構わない。だけど、凛花ちゃんだけは見逃してくれ!


「んっ んっん、たっひぐっ ……俺の事はなにされても構わない。だけど、凛花ちゃんは見逃してっんっやっ!」


 リーダー格の男が俺の肩を掴んで笑った。


「うへへっ友達想いのかわい子ちゃんそそるねぇ♡ ごめんなぁそれ出来ないんだわ、大人の事情ってヤツでなぁ、俺の部下も欲求不満になるとなにしでかすか分からなねぇからさぁ、嬢ちゃんの友達借りるね?」

「うっひょ――――!」


 そう勝手な解釈でリーダー格はアゴで指示し、手下達は凛花ちゃんに襲いかかった。

 くそっショックが強すぎて凛花ちゃんが死んじゃうよ!


「さて、こちらも楽しもうとするか、ぐへへ嬢ちゃんスタイル良いねぇ顔も完璧だし、こんな美少女とヤレるなんて息子が喜んでますわ」


 股間を押さえチャックを下ろした。んっヤル気満々だな、やめっくっ! 男は俺の太ももにやらしくさすった。


「すべすべ綺麗な太もも♡ その先はどうなってる? ちょっと見て良いかな?」


 スカートの端を摘んでピラリとめくろうとするから、必死に右手を使って抵抗した。


「やっやっやめっ!」

「ぐふふっお嬢ちゃん、抵抗すると返って男を興奮させるんだよ?」

「あっきゃっ! んっ!」


 男は俺にのしかかり胸を触った。


「おっぱい大きいね♡ 見て良い?」

「ひぐっだっ駄目っ!!」


 バリッ!


「やだっ!?」


 抵抗虚しく男にネクタイを解かれ力尽くでシャツを開けられた。ボタンがパラパラと飛んで行き胸がはだけた。

 谷間と白いブラが見える。


「たまんないねぇJKのブラチラ♡ そろそろ本気で楽しませて頂きますねぇ♡」


 男は俺の胸に手を伸ばす。ああっもう限界っ呼び出しスイッチを部室に置いてきたミスで窮地(きゅうち)に立たされた。

 自業自得とは言え、頼みの王子様は助けに来ない。


「あ、兄貴ぃ俺も参加したいんだけど ……」

「なんだあぁ?」


 副部長を羽交い締めにしていた手下が言った。そうか、副部長がいたんだ。なにやってんだか本当に頼りない。


「仕方ねぇなあ、男はいらねぇから始末しな、側は川だろ? 適当に処理してから死体を流せ」

「分かったよ兄貴っその後参加しても良い?」

「構わねぇ、ただ、しっかり殺せ(やれ)よ!」

「へ、へいっ! そう言う訳だ兄ちゃん死んでもらうぜ!」

 

 手下は嬉しそうに副部長の顔を除き込んで言った。定番すぎる三下の台詞。順番的にはヒーローが駆けつけるが、無常にもヒーローは助けに来ない。


「あっあっちょっと待って! せ、せめて死ぬ前に水を飲ませて欲しいんだ!」

「んっ水?」

「僕のバックにペットボトルが入ってます、出来れば渡して欲しいです ……はいっ」


 リーダー格の足元にリュックサックが落ちていて、気付いたリーダー格は蹴り飛ばして手下の元に送った。


「ちょっとぉ水くらい飲ませてやれ」

「へ、へいっ分かりやした」


  手下は副部長を押さえながらしゃがんでバックを持ち上げ、中に手を入れてペットボトルを取り出した。

  なんの変哲もないミネラルウオーターだ。


  「あ、ありがとうございます。す、すいませんが、飲ませて頂きたいのですが ……」

  「ああっ? 仕方ねぇなぁほら飲め!」

  「んっんぐっんぐっ」


 なんだかんだ言って手下はペットボトルのフタを開けて、副部長に飲ませた。


「ほ、ありはとうございまふっ」


 副部長お礼を言うならまず、水を飲んでからにしろよ?


「ピュッ」

「ぎゃあっ!!」


 んっ! 副部長は口に含んだ水を押さえつける手下の顔に飛ばした。何故か両目を押さえてのたうち回る手下。


「痛いっいでえっ! 両目が潰れるっ!?」

「高水圧の水弾丸だ。んっ頭部まで貫通したか ……」


 副部長は眼鏡の中心を押さえ冷静に言って、もがき苦しむ手下を見下ろした。


「ちょっと今なにをしたっ!?」


 異常に気付いたリーダー格のが叫んだ。しかし、さっきまで怯えていた副部長は物怖じせず近づく。


「水を飛ばしただけですよ」

「なぁにいぃ? チッ意味が分かんなねぇけど本気で死にてぇんだな? おいっおめえらっお楽しみは後でだ!」

「へいっ!」


 凛花ちゃんを襲ってた三人の手下達が行為をやめて立ち上がった。当の凛花ちゃんは脱がされていた最中で、まだ行為にいたってなかったのは幸いだ。

 だけど、頼りない副部長がピンチだよ!


「おいこらっ! 武器を隠してんのは分かってんだよ! 出しなっ!」


 手下の一人が副部長に凄んで汚い顔を寄せて脅す。でも、副部長は涼しい顔で動じない。


「武器ならさっきから持っている」


 副部長は手にしたペットボトルの水を手下に見せた。


「はあっ? 水をだとぉ? オメ、舐めてんじゃねぇ!」


 バシッ!


 バシャッ!


 手下はペットボトルを持つ手を叩いた。当然地面に落ちて水がこぼれ出すけど、副部長はニヤリと笑みを浮かべた。

 んっ? こんな時に厨二病入ってるよ。


「オメエは終わりだよ」


 ギンッ!


「ひぎっ!? 手っ俺の手がっ!?」


 手下の右手が突然スパッと切断されて、ポトリと床に落ちた。


「ぎいいって、てめぇやっぱり武器を隠し持ってるなっ!?」


 手下は右手の切断面を押さえて苦しそうに言った。


「はあ〜よく見て下さいよぉ、さっきからホラ、武器持ってるでしょ?」


 そうため息混じりで言った部長の手のひらの上で高速回転する円形の刃。高速で刃物なのか俺は判別出来ない。


「ヒイッなんだよお前っまさかっ能力者っ!?」


 手下は異常に気付きうろたえてから、右腕を押さえ逃げ出した。


「おいっ逃げんなっ!」


 リーダー格の制止を無視して手下は出口に向かって走り出している。


「逃がしませんよ。行けウオーターカッター!」


 ザシュッザシュッ!!


「ぎひっ!?」


 副部長の手のひらから離れた高速回転する二つの円形刃が、逃げる手下の足首を切って転倒させた。

 戦意を消失した手下は体を痙攣させて動かなくなった。


「て、てめぇは何者だっ?」

 

 リーダー格は副部長がただ者ではないと気付いた。俺も気付いたが ……何者?


 頼りない副部長の雰囲気がガラリと変わった。眼鏡の奥から覗く鋭い眼光。

 厨二病かと思っていた思わせぶりな態度は本物だった。


「何者? 僕は竜神高校二年、盆栽部副部長にして、ついでにクイーン様を警護する5王子の一人。青王子にして能力は水使いだ」


 えっ副部長が能力者で青王子だったの? でもついでって、クイーン様より盆栽部の方が重要なんだ?

 とにかく俺は知らずに王子様の側にいたんだ。だから安心したのか、へなへなと体勢を崩してしゃがみ込んだ。


「ちょっと待ってね光輝君。今片付けるから ……」


 副部長は眼鏡の中心を押さえレンズを輝かせた。


「………… 」

  頼もしいけど、やっぱり厨二入っている …………。


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