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力を使うとお腹を空かす桜狐の姫は今日も僕に懐いてくれない~追放された底辺調伏師の僕はヒーローを夢見る~  作者: 滝藤秀一
第2章ー3 僕の幼馴染は答えを見つける

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第15話 僕と神様と幼馴染

 討伐ランクを上げた任務を見事にこなしたということで、調伏師協会では僕たちのチームが話題になっていたらしい。


 そのことに美優は心底ほっとしていたように思う。

 見えないプレッシャーはエリートである彼女にもあるのだ。

 一皮むけ、さらに力をあげたと生意気に僕は分析をした。


 僕たちは並んでリビングのソファに座っている。


「颯太、あなたには負けないから。今まで通り、いざとなったらあたしが守ってあげる。バーカ」


 少し恥ずかしそうに、何か普段より照れているように見えた。

 美優は可愛さも一段階上げたのか。

 誰かに恋でもしているのだろうか? 

 女の子は恋をすると綺麗になるなんて話をきいたことがあるのでそうなのかと思わずにはいられない。


「なっ、なに見てんのよ!」

「いつも通りだよ、僕は……」


 かあっと顔を赤くして、僕の足を踏みつけてくる。


「いってえ!」

「静かにしてなの」


 ごめんと僕たちは謝罪し、美優は口を尖らせて抗議してくる。

 足を踏まれたの僕なのに……


 ほたるは座布団に正座しながら、テレビ画面を食い入るように見つめていた。

 放送されているのは明日から映画が公開するファンタジーもののアニメ。

 僕の神様はハマりだしたようで、パソコンとスマホで予告編を何度もみたり、グッズも集め出したりしている。


「そうた、みゆ、明日が楽しみなの」


 独り言のようにつぶやいた言葉だけど、傍にいるからちゃんと聴こえてくる。

 明日は3人で映画に行く予定になっていた。

 ほたるは映画館初体験だ。

 楽しみという単語がほたるの口から聞けたことが僕は嬉しい。


「あたしはみゆうだってば。もう」


 この2人、あの戦闘以来やけに親密になったようだ。

 お風呂も二人で入るようになり、よく会話をしているのを目にする。

 ほたるは美優を認め、美優はほたるを認めてくれたんだと思うとなんだか嬉しい。



 ☆★★★☆



 僕にはやるべきことがいくつもある。


 両親の仇を捜し調伏すること。

 ほたるのお姉さん捜し。

 逃走中の元リーダーの拘束。

 神様と幼馴染を守り抜く使命。



 今の僕じゃすべてを成し遂げるのは無理だ。

 もっともっと力がいる。強くならないといけない。




 今日は春休み最終日。

 明日からは高校生活が始まる。


 今までは時間があれば神降ろしや身体強化のトレーニングをしてきた。

 神降ろしが出来なくても、調伏師としてやっていけるように。

 僕はこれだけやっているっていう意味もあったのかもしれない。

 そうすることで自分を守ってきたのかもしれない。


 でも、ほたるという最高の神様が傍にいてくれるようになった。

 人より劣っている僕は神降ろしが出来るようになったって、今まで通り空いている時間は訓練にあてないといけないかもしれない。


 だけど、僕はさ――

 ほたるの笑顔が見たいんだよ。僕の神様に幸せになってほしんだよ。


 だから、何かが食べたいと言われたら食べさせてあげよう。

 どこかに行きたいという言われたら、一緒に出掛けよう。

 悩んでいる顔をしていたら、解決策を練ろう。


 悲しみは一緒に全部背負う。楽しさも嬉しさも共有する。そう決めた。


「準備出来たの」


 階段から降りてきたほたるは白のワンピース姿だった。

 新しいのを買ってあげようかと聞いたんだけど、美優が着ていたお古がいいそうで――


「ワンピだけじゃ館内は冷えるかもしれないから、ほらこのカーディガンも着てなさい」

「……」


 こくりと頷き黄色のそれに袖を通す。


「ほたる、あの古い帽子はどうしたのよ? 耳隠したほうがいいでしょ?」

「……あれ痒いの」


 美優から目をそらし、ぶすっとした表情になる。


「新しいの買ってあげるから、とりあえず古いの被ってなさいよ。深くかぶらなきゃ平気でしょ」


 やはりオーダーメイドで作ってもらうか。


「……」

「ほらはやく持ってきなさい」

「……帽子ならこれがあるの」


 バツの悪そうな顔で美優がプレゼントした赤いコットン帽子を出して深く被る。

 上手くフィットしているようで、耳も痒くないみたいだ。


「なによ……それ気に入らなかったんじゃないの?」

「感情的になってしまっただけ。赤は好きな色なの……あ、ありがとうなの」

「っ!?」


 ほたるのありがとうは破壊力があるようで、美優は言葉を失っている。

 立ち尽くしている美優の手を小さな掌が掴み引っ張った。

 1歩、2歩と僕に近づき、空いている左の手で僕の右手をしっかりと握りしめる。


「2人とも急ぐのっ!」


 その横顔は暖かい笑みを浮かべていた。

 それを見て僕も自然と口元が緩んでしまう。


 ちょっとくらい立ち止まってもいいよね。

 だって今のこの時間は僕にとっても幸せな時間だから。


 神様と幼馴染と少し遠回りしながら、進んでいこう。

 もしかしたらそれは僕たちにとって近道かもしれない。

まだ続けたい気持ちもありますが、キリのいいところで一応の完結です。

番外編を近々投稿予定です。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

この下に評価覧があるので、評価していただくと番外編や自作のモチベに繋がります。

よろしくお願いします。

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