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力を使うとお腹を空かす桜狐の姫は今日も僕に懐いてくれない~追放された底辺調伏師の僕はヒーローを夢見る~  作者: 滝藤秀一
第2章ー1 僕の幼馴染はご機嫌斜め

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第1話 僕の幼馴染は負けず嫌い

 あたしは笹木美優(ささきみゆう)

 ランク五段の調伏師で、現在は幼馴染の颯太とその神様ほたると同じチームに所属している。


 あたしが調伏出来なかったあの怪異を颯太とほたるが調伏したと聞いて――


 驚いたし

 納得したし

 悔しかった――

 でも颯太とほたるが無事でよかったと思った。




 颯太のことを周りは落ちこぼれだっていうけど、あいつが凄いのは誰よりも知ってるし、そう思っている。

 颯太は最初の時点では、あたしよりも出来ないことが多い。

 水泳もお料理も裁縫も。


 でも、気が付くといつも追いつかれて、いつの間にか追い抜かれている。

 努力し続けることで不可能を可能にするんだ。


 すぐ諦めるあたしとは大違い。

 どちらかというと、苦手なことや嫌いなことからは目を背けるあたし。


 調伏師になってもそれは変わらない。

 それでも才能があったのか、エリートなんて呼ばれていて周りの人より優れていたのは確かなのかもしれない。




 颯太は神降ろしも出来なかった。


 最初のころは少し落ち込んでいたみたいだけど、それでもあきらめないで――


 ある時から下さえも向かなくなった。

 その瞳は常に前を、先を見ているんだ。



 同じチームに入り、リーダーに毎日のように罵声を浴びせられながらも、出来ることを考えて怪異の目を自分に向ける盾役に活路を見出した。

 しかも生身で――

 普通、そんなことは思いついても実行しない。


 恐怖を克服し、怪異の動きを読み、毎回対峙してはその成長をあたしに見せつけた。


 どれだけすごいことをしているのか、本人も気づいてはいないようだったけど、あたしに言わせれば大器に満たされていく雫のように思えた。




 そしてついに神様に出会った。

 それも神霊でなく、肉体を持った無口で不愛想で小生意気な幼い狐っ子。


 桜火という強い火属性。

 今度は傍目からも日に日に強くなって、いつの間にか心も通じているような始末。


 また追いつかれ、追い抜かれるのかな――


 負けたくない。

 颯太のことは誰よりも認めてるけど、同時に嫉妬心に似た感情と自分には答えが出ない感情があるのは自覚してる。

 あたしは颯太のお姉ちゃんでなきゃいけない。

 その理由は自分でも思い出せない。うんうん、理解してないのかもしれない。




 颯太の神様はほたる。

 最近、彼女があたしに向ける視線は憐れみと蔑み。

 あの目は颯太が他人からよく向けられていた物と酷似する。


 チームには自分とそうたが居れば十分。あなたはただの足手まとい。

 そういわれている気がする。


 あの子には颯太とはまた違う負けられない感情が芽生えているのを自覚してきていた。


 負けられない、颯太に負けるよりさらにほたるには負けたくない。


 負けるもんですか!

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