第3話 ディスカッション
第3教室に集まった初等クラスの生徒は、20人あまりであった。少人数でのディスカッションが望ましいという理由で、生徒は15の教室に分散しているようである。つまり、この学園の初等クラスの生徒は300人前後というところだろうと推測される。第3教室には6つのグループの生徒が参加していた。もちろん1つは、彗星ら3人である。
オブザーバーの先生は昨日案内してくれたあの小柄な男性であった。カビウも付き添いとして付いていた。本来ならば付き添いは不要なのであるが、初回のディスカッションということでカビウも学びのために付き添うことになったらしい。
小柄な男が、ディスカッションの初めに、
「今日は、新しい友達が増えてくれたから皆自己紹介をしてくれないかな。他の生徒たちには追々紹介するつもりなんだ」
「は~い」という声がいくつも聞こえた。
「最初に新しい友達からお願いしようかな」
「JPS出身の彗星です。種族は超能力族だと思います。よろしくお願いします。一人は順で超能力族、一人は水姫で魔道族のはずです」
「え、JPSのSって科学族じゃないの?」という囁きが僅かにもれた。
「では、他の5つのグループのリーダーにも自己紹介してもらおうかな」
「C4S(中国、四川)出身で、科学族の5人です」
「RUP出身で、超能力族4人です」
「THM出身で、超能力族2人と魔道族2人です」
「KW( クウェート) 出身のSPM混成で科学族1人、超能力族1人、魔道族1人です」
「MXM出身で、魔道族5人です」
「では、始めようかな」といって、小柄な男は壁際の自分の席に戻った。後は、生徒たちが自由にディスカッションを始めるようである。
C4Sのリーダーが口火を切った。
「今日のテーマを主張と謝罪の関係にしたいけど、みなさんどうですか?」
「はい。それでいきましょう」という声がほとんどであった。
驚いたのは彗星で、(主張と謝罪?これが初等クラスのディスカッションのテーマなの?)とこの学園のレベルの高さを感じたのであった。
カビウも驚いて、小柄な男に小さな声で質問していた。
「こんな子供たちのテーマとしては高度過ぎませんか?」
「いいんですよ。テーマは高度ですが、中身は幼稚で単純ですから。ああ、それとわたしの名前はシゲルヤといいます。この子たちに求めているのは、自分の頭で考えることと一定の基準を満たして中等クラスに進級することです」
「一定の基準?」
「はい。でもその基準はカビウさんにも教えられませんよ」
C4Sのリーダーが発言していた。
「わたしの集団では、謝罪は敗北と同じと教えられているけど...この前のディスカッションでも結論がでなくて...」
「でも、主張はするんだろ?」と RUPのリーダーの発言である。
「そうよ」
「主張と主張がぶつかったら?」
「負ける前に相手の主張に賛同するかな。でなければごまかすかな」
「わたしの集団では、インシャーラ(神のおぼしめしがあれば)といって、主張の勝ち負けはないわ。だって、主張は人がするものでしょ。神様に決めてもらうのが一番だわ」というのは KWの女の子であった。
「僕の集団では、子供の主張は認めてくれないな。みんな大人が決めてしまうから」 MXMの一人が言った。
「いつでも自分の行いに謝罪していますよ。逆に主張することには勇気が必要です」 THMのリーダーの発言である。
そんなこんなで各集団は、まとまりのないディスカッションに入っていくのであった。
「新しい人たちはどう思う?」いきなり彗星らに火の粉が降りかかってきた。初日だからというわけで彗星は様子見即ち傍観者のつもりだったのである。
「主張って、そもそも何?勝負なの?負けたら謝罪しなくちゃならないの?」かろうじて彗星は発言した。
みな、シーンとなったが、
「そうよね。大体テーマがおかしかったのよ」
「そうだ。そうだ」という声が大きくなった。
結論として、結論はなしということになった。
「ね。こんな感じなんですよ」
「でも、ここまで考えてるなんてやはり高度だわ。JPPではこんな教育はしないから」カビウは何か考えるものができたようであった。




