07
私達が話し合いをしてから2日後、とんでもない事が起きた。
その日は朝から嫌な噂が流れていた。
ジアーナが5人の男子生徒を侍らせていると・・・。
レナートは今日も授業に出ていないし、ジアーナもいない。
授業が終わっても2人を見ることはなかったが、噂だけは広がっていく。
噂を確かめる為にも探そうかと思っていると、ナーシャ先輩の風精霊がいつもの場所に集合と連絡をくれた。
多分、噂の件だろう。
集まる前に確かめなきゃと目的もなく歩いていると反対側からジアーナと共に歩く男5人の姿があった。
なっ!?噂は真実なの?
でもヴァジム先輩とキリル先輩とエフィムは目の焦点がおかしく、レナートとフロルからは覇気が感じられない。
ありえないレナートの姿に私は驚き思わず声をかけるが、こちらに向きもせず私の脇を通って行く。
「レナート!!」
私は慌ててレナートの腕を掴むが、そのまま固まってしまった。
レナートの私を見る瞳には何の感情もなく、汚らわしいものを見るような視線だった。
「アデリーナさん?レナートから放してちょうだい。
レナートはもう貴女に用なんかないわ」
ジアーナのその言葉にレナートは私の腕を払い、そのままジアーナの後についていってしまった。
あまりの事に私はその場で立ちすくんでしまった。
何で?どうして?一体何が起きたの?
「主?主!!」
「え?ティム?何で?」
此方が呼ばない限りは精霊達は精霊界で待機している。
そんな契約精霊が突然姿を現れたことに驚いてしまう。
「精霊達の中でも最近の彼等の様子は話題になっておったのでな。
呼ばれなくても主の側で様子を見ておったのだ。
それより主、今はここを移動しよう」
自分の契約精霊が姿を消して側にいたことに全く気付かなかったとは、まだまだ修行が足りない。
そして気付けば今のやり取りを見てた生徒がちらちら私を見ている。
ティムの言う通りに私は急いで補佐メンバーが会議に使っている部屋に向かった。
「ねぇ、ティム。貴方からみてレナート達はどう見えた?」
部屋につくなりティムに質問するとティムの顔は幼子の顔に似合わない程の険しい顔をしている。
「人間の事はよくわからぬが、アクアの気配を全く感じなかったのだ。
彼奴は常日頃契約者の周りにくっついておった。
それが精霊界にもこちらにも気配を感じぬ」
アクアはレナートの契約精霊だ。
その精霊の姿が全く感じられないと言うのは今まではなかった。
どういう事かと聞こうと思ったら扉が開き、マイヤ先輩とナーシャ先輩が来た。
「こんにちは。先輩方」
「ごきげんよう。あの状態は一体どういう事ですの!!」
「やっほー。びっくりだよ。ほんとどうなってるの?」
入ってくるなり叫ぶ2人に私は頷くことしかできない。
「ティムがアクアの気配を精霊界にもここにも感じないと言うのです」
私の言葉に2人は驚いてティムを見るがティムは険しい顔のまま頷くだけだ。
「失礼しますわ、お姉様方」
珍しく慌てて入って来たルフィナとその後ろから王子のシードルが来たことに私達は慌てて騎士の礼をとった。




