03
補佐をする少女達は火がルフィナ、風がナターリヤ、地がマイヤ、水がアデリーナの4人。
ゲーム上ではアデリーナ以外はそぞれ基本の高位精霊と光の中級精霊を召喚している。
アデリーナだけは光は低級の光精霊の召喚となっていた。
アデリーナは他の補佐に比べて自分は劣っていると思い、負けない為にも常日頃頑張ってきたがヒロインがあっさりとレナートのサポートをしてしまったり、自分が苦労してできたことを簡単にやり遂げてしまうヒロインに嫉妬して、嫌がらせが日に日に増してしまうのだった。
レナートルートに入ってしまうとどのエンディングを迎えてもアデリーナは嫌がらせの罰として魔力を封じられてしまう。
魔法が当たり前の世界で魔力を封じられるというのはどういう事かおわかりだろうか。
家からも見放され、仕事に就くこともできず、野垂れ死の末路しかないのだ。
そう、言わば死刑と同意語。
そんな未来はごめんである。
というか何故にアデリーナだけがこんな設定になっているのか疑問だ。
7歳の時に記憶を思い出した私はそれがアデリーナであっても魔法が使えると喜んだ。
死神からはゲーム補正はないって聞いてたから、要は嫉妬しなければいいのよねと魔法に剣に頑張って学んで12歳の契約精霊の儀式には光の精霊が中級の子が来てくれた時は喜びましたとも。
歓喜の舞を踊りたくなった程だよ。
未来は変わるんだって信じた瞬間でもあるけど、何より嬉しかったのが努力が報われたと言う事かな。
だから私はその後も魔法を磨くことに専念し、ゲームの内容よりも魔法が使える世界で魔法を使いまくる事しか考えてなかった。
きっと大抵の人ならば魔法が使えると聞くだけで喜ぶんじゃないかな?
私だけじゃないと思うんだよね。
恋はいつでもできるけど魔法はそうはいかないと。
おかげで現在私の女子力は0であると言われてしまっても仕方のない状況。
裁縫は生前同様壊滅的、料理は生前は得意だったのに失敗の連続・・・。
おかしいよね。何が悪いんだろう・・・。
うん。もう魔法に生きるしかないって事だよね。
死神からは記憶持ちは5人で女性は私だけと言う変わった組み合わせで、私以外は攻略対象だよと教えてもらっていたけど、関係はないと気にしたことはなかった。
それにヒロインと2人の王子とエフィムとレナートと私が同い年、フロルとルフィナがヒロインより1つ下、ヴァジムとマイヤが2つ上でキリルとナターリヤが1つ上という事で、王子とは接点ないし、レナートとは接点が多いもののそれ以外の攻略対象者とは接点はあまりないので記憶持ちの人を気にする機会もなかったのよね。
そんな私でも気付いたことは1つある。
隣国の王子が12歳の時に消息不明になっているのだ。
契約精霊の儀式を行うために儀式場に向かう途中で何者かに襲われ行方不明となり、未だに見つかったという情報は聞いていない。
ゲームでは襲われたというイベントはなかったはずなので、隣国の王子は自分の意思で行方不明になったとしか思えない。
可能性としては記憶持ちで何らかの理由により姿を消したのかと私は考えたけどもそんな事をする理由も思いつかないし、隣国の情報は滅多に入らないので詮索はやめることにした。
魔法が使えることが嬉しかった私にはその裏で予想もしないことを考えてる人がいようとは思いもしなかったのだ。
この時にもっと調べておけば何かがかわったのだろうかと後に私は思う。
そしてとうとう乙女ゲームの開始の日が訪れた。




