17
<主よ。非常にまずい事態だぞ。
やはりあの男の側にはリアンの気配がする。
あれに対抗するのははっきりいって無理だ。
だが、ここで逃げれば結界石は破壊されこの国は窮地に陥るだろう。
応援が来てもどうなるか我にも予想はできん>
どうみてみ絶望の未来しか予想できないが、ここで諦めるわけにはいかない。
「ガヴリイル王子、貴方は知っているのでしょう。
フォルトゥーナの乙女~復讐への誓い~の内容を・・・」
「やっぱりあんたも記憶持ちか。
なら、話は早い。俺はこの世界全てを手に入れる。
あんたも協力しろ」
私の問いにニヤリと笑いながらとんでもない答えが帰って来た。
そしてこの言葉と隠しキャラの精霊がいるということは100%確実に言える。
ガヴリイル王子はゲーム開発関係者であると。
”フォルトゥーナの乙女~復讐への誓い~”はまだ未発売のゲームであり、小説だ。
幻の隠しキャラのヒントの為に過去の禁呪が使われてた頃の時代の物語が来春販売予定と設定資料集に予告として書いてあったのを思い出しのだ。
ゲームと小説で視点を変えたストーリーが楽しめますって書いてあったのを記憶している。
私がその内容を知る訳がない。
だけどゲーム開発関係者なら知ることが出来るのでないかとふと思ったのだ。
シードル王子にもこの可能性の話を伝え、できれば外れて欲しいと私達は願っていたのだが、残念ながら叶わなかったようだ。
ティムの言葉以上にまずい事態になったと泣きたくなるがまずはこの事態にどうにかしないと駄目だろう、
と言っても何しても結末は同じな気がしてしまうが、弱気は駄目だとガヴリイルを睨む。
「お断りします」
「振られたな、リル」
「うっさいぞリアン」
不思議な髪色をした少年がガヴリイルの隣に立ち、面白そうにこちらをみる。
これが噂の幻の隠しキャラなのか。
思わずその姿を見つめているとティムが突然姿を現した。
「何故、其方の封印が解けているのだ。
王はまだ眠りについておると言うのに・・・」
どこか悲しげに問うティムをリアンは見ようともしない。
「こいつを起こして契約精霊にしたのは俺だ。
仕組は知ってたからな、そんな難しい事じゃなかったぞ。
で、アデリーナ。今ここで死ぬか、俺達と共に世界を手にするか。
もう1度考えろよ」
殺気と共にこちらに問う言葉に私だけでなくティムやスノウまで怯んでいる。
言葉に嘘はないだろう。
ここで断ったら私は間違いなく死を迎える。
私の答えるべき答えは決まっている・・・。




