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「ふざけるなぁぁぁぁ!!!!!」
メイド服の少女の怒りの叫びが森に響き渡るのを聞きながら、私は破壊して鎖だけになった元はペンダントだったものを捨てる。
<主よ。火に油を注いだようだぞ?>
<そのようだな>
<うむ。あの作戦は我にも予想外だった。
あのような柔軟な作戦が主にでもできるとは驚いたぞ>
<正攻法で勝てる相手じゃないから奇策をとってみたんだ。
でもスノウがいたからこそできた作戦だよ。ありがとう>
姿を現しているスノウの頭をなでれば嬉しそうに頬にすりすりしてくる。
「こっちを無視してほのぼのするな!!
よくも汚らしい獣を私の顔に・・・」
少女の怒りは凄まじい。
確かに私のとった作戦はティムは柔軟だと言ってくれたが、奇策と言うよりある意味幼稚な作戦かもしれない。
だけど素早くペンダントを壊すには卑怯と言われようともこの作戦しか思いつかなかったのだが、少女に接近戦で対峙してる最中にスノウに少女の顔の上に突然落ちるように指示しただけだ。
突然視界がふさがれた少女が慌てた瞬間にペンダントを奪い壊した。
うん、我ながら卑怯だ。
スノウと意思疎通ができるからこその作戦だが、こうも上手くいくとは思わなかった。
その結果、怒り狂ってる少女がいるわけだが。
「失礼な。スノウはもふもふでかわいい精霊だ。
汚らわしい獣ではない。
私にとっての勝負はペンダントを壊すことができるかだ。
私達の勝敗が相手を倒すとそちらが思い込んでただけだろう?
それに目的の為に手段を選ばないのは其方と同じはずだが?」
悪びれもなく堂々と言う私に少女の顔はすっかり鬼の形相だ。
<さらに挑発してどうするのだ>
<スノウを汚らわしい獣何て言うのが悪い>
「そう。わかったわ。どんな手段を使ってでも貴女を倒すわ」
「娘よ、帰るぞ」
高らかに宣言する少女に対して、契約精霊は少女の腕を掴むと姿を消した。
突然の出来事に何が起こったのか把握することができなかった。
ティムも呆気にとられているようだ。
<ねぇティム?今更だけど何故この森に入れたのだと思う?
それとも風の精霊なら簡単に出入りできるものなの?>
<否。この森は精霊だけなら容易く入れるだろう。
されど人が居れば簡単には入れぬはずなのだが>
<ここから出るのも難しいってことね?>
<うむ。森のどこかも分からぬが近くに水の気配を感じる>
<ではそこに向かってそこで改めて先を考えよう>
私がそう提案した時、パキンッと何かが割れる音を感じた。




