11
私が姿を消したスノウと共に街の調査をしていたのは記録してもらうためだ。
記録と言うのは精霊なら誰でもできるスキルだが、これに関しては光属性の精霊が一番得意なのだ。
なので、スノウが撮った記録とルフィナの光精霊が撮った記録を見て全員が黙った。
ルフィナも私と同じような事を言われていたが、相手は執事服を着た少年だった。
マイヤ先輩とナーシャ先輩とルフィナは彼らが洋服を着ている事とそれが見たこともない服だと首を傾げている。
ふと王子を見ると王子も私を見ていた。
今の反応で私も王子もお互いが記憶持ちであると言ってしまったようなものだ。
この世界は少し不思議な世界なのだ。
何が不思議かと言うと服装だ。
王族だけは国によって服装が異なるが、それ以外の人たちはどの国でも男性は漢服のようなもので、女性は洋風な着物だ。
なのに騎士服と教会の服装は生前の世界と同じ。
分かりやすく言うならば洋装と分類されるのを切るのは騎士関係の人達と教会の人達だけだ。
そう、この世界には生前の世界で想像するメイド服や執事服は存在しないのだ。
なのに私達が遭遇した者達は着ている。
考えられることは1つ。
記憶持ちが裏にいる。
該当人物はただ1人。
消息不明と言われている隣国の王子ガヴリイルだけだ。
「彼等も謎だけどさぁ。2人とも共通してあのお方っていってるよね?
でね?私が掴んだアクセサリーの出所が厄介なんだよね。
中央広場の露店なんだよ。
ジアーナが最近よく行ってるのはそこだけ。
不思議なのは中央広場なのにジアーナ以外の客は2人だけ。
マントを羽織ってるから中の服装はみれないけど背格好は似てるよ。
だからこのアクセサリーを売ってるのがあのお方なのかなって思うんだ」
そう言いながらナーシャ先輩は風魔法でみた様子をみんなに見せる。
風属性の高位精霊だからこそできる術で過去に会ったことを見ることができる。
かなり高度な技で高位の精霊を持っていても術者の技量がいまいちだと失敗することもある。
それを難なくやってしまうナーシャ先輩は本当にすごい。
ナーシャ先輩が言うには”最近の出来事だからうまくいっただけで、これが数ヶ月前とかだと無理だよ”と笑っていた。
「おかしいわ。私、中央広場でお店を出す人のリストをもらいましたの。
そのリストにこの男のような髪色はいなかったはずですわ。
それにこの映ってる場所は販売禁止区域でしてよ?
そんな場所で販売をしてたら警告がいくはずですわ」
中央広場は首都にある大きな公園で、お店を出す資金はないけど品物を売りたいという人たちが自分達が作った品物を売ることが出来る場所だ。
ただし、事前に許可が必要で場所も決められた場所でしか販売が出来ない。
常に販売時間帯は見回りの警備も配置されているから、違反をしていれば警備員に警告されてリストにも載るはずだが、マイヤ先輩がもらった資料には最近の違反者は0となっている。
それに映っている場所はとても目立つ場所であり、だれも気付かなかったと言うのはありえないだろう。
これ以上の事は自分達にも限度があると判断した王子が王に相談するという事で今日は解散となった。




