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「初食堂」記入者:犬間 琴
「まことさんやなぎさんっ」
この声はありす。初登校日から一週間がたち、あたしと凪とありすは一緒に過ごすことが多くなった。
「なーに、ありす」
「私、食堂に行ってみたいのよ!」
そういえば、一度も食堂に行ったことはない。
「俺もまだパン買ってないし、行こうか食堂」
「そうだねぇ、行ってみようか」
ありすはぱぁっと目を輝かせた。早く行こう、早く行こうとぴょんぴょん跳んでいる。とても微笑ましい光景だった。
食堂に着き、食券を買おうとした時、
「この機械は一体…!?」
ありすが食券機を珍しがった。予想はしていたけど。
「ここにお金入れて、出てくる食券をあっちのカウンターの人に渡すんだよ」
「なるほど…」
説明してる間に凪が買い終わった。
「はい、次ありすどーぞ」
「はい、やなぎさん…でも、あの」
「?」
「この食券機はカードを使えるのですか?」
「カード…?」
「私、お父様から頂いたプラチナカードしか持ってなくて…」
「プラチナカード…??」
私は思う。
この子の現実離れはこの3年間でどうにかなるものなのだろうか、と…