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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十話:僕たちのレトロゲームは知識の塔に満ちている
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――この日は僕がとても機嫌が悪かった。

小学生のある日、僕は自宅で大翔と顔を赤くして向き合っていた。

怖い顔で、僕が大翔を睨みつけていた。

だけど大翔も顔を赤くして僕に言いかえしてきた。


「僕に内緒でゲームを勝手に持って行ったな」

「いいじゃないか、減るものじゃないし」

「なんだと!」

僕と大翔が険悪に言い返していた。

掴みかかっては、僕は激しく詰め寄っていいた。


「まあ、広哉も大翔も落ち着いて」

僕の部屋には加布羅兄さんがやってきた。


「けど大翔のヤツ……勝手にゲームソフトを持って行ったんだぞ」

「いいじゃないか、減るものじゃないし」

「あれは僕が買ったものだ。大事なものなのだぞ」

僕はまだ大翔と激しく言いあった。

その中に、加布羅兄さんが再び中に割って入ってくる。


「まあまあ大翔、何を持って行ったんだい」

「あのソフト」

「だからソノサンのガキはダメだって!」

大翔の指さしたのはソノサンのガキ。

「それだけじゃない、魔田村もだよ」

「ますます許せない!」

「ちゃんと返すよ、約束もしたんだから」

「そんなのダメに決まっているんだろ!」

それを見た加布羅兄さんは、大翔の頭を撫でていた。


「大翔はちゃんと謝ったのか?」

「えと……兄貴は」

「勝手に持って行ったのは大翔が悪い」

「うん……ごめん」

素直に大翔が謝った、だけど僕は到底納得できない。

僕はさらに厳しい目を送っていた。


「僕は大翔が勝手に持って……」

「広哉もお兄ちゃんなのだから、抑えるんだ」

「けど……」

「広哉はもう少し大人だと思ったけどな」

加布羅兄さんに言われてしまうと、僕は少し怒りが収まった。

振り上げた拳を下ろして、僕はうつむいてしまう。


「分かった……許すよ」

僕の観念した顔に、加布羅兄さんは笑顔を見せた。

結局僕は加布羅兄さんに言われると、いつも叶わなかった。

それはゲームでも人としてもかなわなかった、今日までは――



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