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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
九話:僕たちのレトロゲームに得意なゲームならば勝つ意志がある
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自宅で僕がいつも通りゲームをしていた。

最近は、ファ○コンはいつも動いていた。

これもオシリスゲームが原因だろう。

そんな僕がゲームをしている自分の部屋に、来客が来ていた。


「ここがそうなのね」

「今日は忙しいんだ」

僕は制服から、いつも通りの黒いシャツに着替えていた。

今日も暑くて、もうすぐ夏休みの室内はジメジメ。

エアコン稼働している部屋でゲームをする僕の隣には、興味深そう教楽来がいた。


「お前は何しに来た?」

「私は毬菜の姉よ、毬菜を心配してきたの」

「その割には毬菜はまだ学校だけどな」

「そうね、残念だわ」

いつも残念そうな顔を見せない教楽来、相変わらず淡々としていた。

そんな教楽来を背に、僕はずっと『ソノサンのガキ』をしていた。


「このゲームね」

「ああ、今度のオシリスゲームだ」

「なかなか難しそうね」

「難しいだろうな、石の出し消しとタイミングが重要だ」

「でも、楽しそう」

教楽来の言葉に僕はちょっとだけ照れていた。

四つん這いになって僕の方に近づいてきた。


「楽しいさ」

「それはよかったわ」

「このゲームをやって、僕はいろいろ忘れていたんだ」

「忘れていた?」

「楽しむということを」

ゲームは七面に来ていた。相変わらず敵が現れて行く手を阻む。

しかもゴールまでの扉がずっと上の方に見えた。


「すごいところにあるのね」

「石を出し消ししてあそこまで向かう。

敵をかわして鍵を取って扉に行くのだけど、結構難しいぞ」

「敵の数が多いのね、画面は一画面?」

「ああ、この画面しかない。逃げる場所もここしかない」

「なんか上の方にある赤い玉みたいなのは?」

「それは火の玉、これで敵を攻撃できるんだ」

「そうなの、へえ」

「主人公は魔法使いだからな」

教楽来と話をしながらも、僕は敵をかわして鍵を取っていた。

敵のかわし方も慣れていて、なんなく魔法使いの主人公をあつかっていた。


「幸神君は魔法が使えるようになったら、どんな魔法が使いたい?」

「前にも行ったが、運命を変える魔法だ」

「透明になる魔法は?」

「なんだよ、それ。温泉覗く系の魔法だろ、それは」

「私は貴方を覗きたいわ」

そう言いながら目をたるませて教楽来が言ってきた。

僕は不思議そうな顔で、教楽来を見ていた。


「ばかばかしい」

「それでもあなたは毬菜の素性を知らないでしょ」

「ああ、あいつは通り魔だろう」

「そうなの?」

「本人が言っていた、使用した凶器も出てきている。

まあその凶器が殺傷能力はあるわけではないのだが」

「それは不思議ね」

「コントローラー、毬菜に撃たれた人間がすべてそうだ。

香春、求菩提、夢利無……それから大翔」

「そうなの、随分と調べているようね」

「謎が多いからな、僕の相棒は」

「あっ、お姉ちゃん。広哉のところに来ていたんだ」

そう言いながら急に僕の部屋に毬菜がやってきていた。

いつも通りのセーラー服姿でにこにこ笑っていた。



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