表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
一話:僕たちのレトロゲームはスタートボタンで始まることもある
9/129

009

エレベーターで地下二階まで降りた。

僕はここに来る理由もないし、来る意味もない。

静かに闇だけが広がる鉄筋コンクリートの広場、駐車場。

平日の昼間だから車もほとんど止まっていない。

よって聞こえる足音は、僕達のモノしか響かない。

先頭を歩く毬菜が、僕の手をずっと離さないままここに連れてきた。


そのまま毬菜に導かれるまま、大きな壁の裏に回っていく。

顔をこっちに向けないが、耳は少し赤かった。

だけど僕はまだ理解していないことが多い。


(何をさせるつもりだ?)

壁の裏には車一台分しか止めるところはなく、真正面以外はすべて見えない。

袋小路の駐車場は、まさに鉄筋コンクリートの個室。

そこで毬菜が振り返った、やはり顔が赤くて照れていた。

セーラー服の小さな毬菜は、照れた姿で赤いスカーフに手をかけていた。


「静かにして」

手を放して、指を立てて僕に合図をしてきた。


「お、おう……」

ただならぬ気配に、僕は息をのんだ。そんな毬菜は急に笑顔を見せた。

赤く照れた顔も徐々に冷めていく。


「何をするんだ?」

「いいから……今からちょっと楽しいことをするからね……」

そして、教楽来妹はいきなりセーラー服のスカーフを外した。

そのままセーラー服の上着を脱いでいく。

「ええっ?」

僕が声を上げようとするが、思わず口を押えた。

ゴソゴソと脱いだセーラー服を、右手で丁寧にたたむ。


「全部脱がないと……ダメかな」

「おい、何を……」毬菜はいつの間にか、白いシャツ姿になった。

体の線が、薄いシャツでよりはっきりと見えるようになった。

かなり控えめな胸だけど、胸もちゃんとあった。


「あたしの体で、ドキドキするのかな?広哉」

毬菜は、まるで僕を誘っているかのように上目づかいで見てきた。

僕は毬菜の迫力に押されて、息をのんでしまった。


「なんで、こんなところで服を脱ぐんだ?」

「大事なのっ!服があるとなにかと邪魔でしょ」

「わけがわからん。だが……僕は見ない」

「広哉は童貞さんなの?」

いきなり毬菜が色っぽく言うと、僕は慌ててしまった。


「な、な、何を……今の中学生は進み過ぎだろ……だから」

「騒がないで、あたしもバージンだから。あまり騒がれると恥ずかしいんだよ」

「そっか、ごめん」

僕は反射的に毬菜に謝った。それでも毬菜は脱ぐのをやめようとしない。

今度は、上着のシャツのボタンをゆっくり外していた。


(何なんだよ、こいつは?急に脱ぎだすし)

心の中で思う僕は、胸はドキドキしていた。思わず背を向ける。

どうやらシャツを脱ぎ終わったようだ。見ていないぞ、僕は。


「広哉が童貞さんならしょうがないね、ゆっくりこっち向いて。

逃げたりしたらダメだから」

「おい……やめろ!」

毬菜が必死に僕の体を、回そうとしていた。

何とか僕は見ないように抵抗するが、毬菜が両手を掴んで僕を無理矢理むかせた。

なんだろう、毬菜はたまに強い力で回してくるな。


「ねえ、顔を上げて」

「いや……まずいだろ。シャツ脱いだんだろ」

「うん、ブラだけだよ」

「じゃあ……まずいだろ」

もちろん僕は顔を上げる勇気がない。

上げた顔の前には、きっとさっきであった毬菜の下着姿が見えるのがわかる。

いくらなんでも、年下の女の子の下着姿を見たら補導モノじゃすまないぞ。


「うー、顔を上げてくれないんだ。勝負下着にしたのに」

「そういう問題じゃない。どうしても顔を上げられない」

「分かったよ。じゃあ右手を水平に上げて」

そういいながら今度は毬菜が僕の右手を掴んできた。

拳を握ったまま、右手が水平に上がっていく。


「な、何を……」

「静かにして、私の胸を……いっぱい触って。右のおっぱいだけ」

「やめ……毬菜」

だけど僕がためらう瞬間、毬菜が無理矢理僕の手を自分の胸につけてきた。

一瞬にして僕の頭から無数の汗が噴き出た。


(やばいやばいやばいっ!)

頭の中で連呼し、心拍数がさらに上昇。

なにより僕の右手には、教楽来妹の胸の柔らかい感触があった。

シャツ越しじゃない。完全な素肌……でもなくブラジャー越しだ。


そこから、僕の手は毬菜の小さくてもやわらかい胸をはっきり感じた。

顔を上げないが、僕はずっと顔が赤いままだ。

もちろん毬菜の顔を見ることはできない、どんな顔をしているのかわからない。


(やばい、ドキドキする)

顔から汗が流れて、小刻みに震えた。そんな毬菜の胸はとてもやわらかかった。

ようだが、ちょっとだけ堅さもあった。楕円形の小さく硬いものを右手ではっきり感じた。


(なんだ……堅い)

僕の指先にはかすかな感触があった。

「そう……そんな感じ。あっ!」

毬菜は色っぽい声を上げた、子供っぽさはなく大人のような妙な色気だ。


「思いっきり触ってあたしのおっぱい。お姉ちゃんのと違って小さいけど」

「だから中学はそんな遊びが……」

「これは広哉だけ……うん。その堅いの」

毬菜が僕の手を動かして、右手を胸に押し付けていた。

それと同時に、胸に感じる堅さのあるものがボタンの様に押されるとへこんだように見えた。


「ああっ、いい感じ」

そう言いながら、僕の目の前が光に包まれた。

まばゆい光に、思わず僕は顔を上げてしまった。

そこには青白い光を放つ毬菜がいた。

上半身ブラジャーの毬菜が、光に包まれて大きな光の束が見えた。

そして、その光の束が映像になってオシリスの顔が見えた。


「了解した、これよりオシリスゲームの参加を認めよう。

プレイヤー幸神 広哉及び、コントローラー教楽来 毬菜の参加認証……クリア」

「なんだこれは」

「認証確認、プレイヤー名『HIGH SCHOOL・M』了承。

ゲーム情報システムを、コントローラーにダウンロードします」

聞こえる声は機械的な声だ。

光がさらに毬菜を包んで、いつの間にか僕の右手を離していた。


やがて無数の光の渦が毬菜の全身を取り囲んで、いくつもの輪に変化。

全身をつつむいくつもの輪が毬菜の体に吸い寄せられていくのが見えた。

それから間もなくして、輪が全部毬菜の体の中へと消えて行った。

僕が見た青白い光は全て消え、真っ暗な地下駐車場の暗さに戻った。

呆気にとられて、僕は毬菜の方を見ているしかなかった。


「ふうっ」

当の本人の毬菜は、なぜか僕に笑顔を見せてきた。

毬菜は下着姿で、ブラジャーは赤いレースつきだ。


「えと……毬菜っ!下着姿」

「ああっ、いいんです。広哉には見られても全然かまいませんから」

毬菜はあまり気にしていない、だけど僕はものすごく意識していた。

まかりなりとも女子の下着姿をこんな間近で見てしまった、背を向けて視線を逸らすしかない。


「広哉が触ってくれたので、無事コントロール契約ができました」

笑顔で、シャツを着ている音が背中越しに聞こえた。

ゴソゴソシャツを着る音も、静かな中で聞こえるのでドキドキしてしまう。

やっぱり童貞だ、毬菜に馬鹿にされるのも仕方ない。


「何で下着になるんだよ」

「……必要ですよ。ボタン、結構堅いでしょ」

毬菜は急いで服を着ているようだ。その割には声が弾んでいた。


「いまいちよくわからないが?」

「あなたが私を制御するために必要ですから。もう大丈夫ですよ、広哉」

毬菜の言葉を信用して僕は振り返った。

セーラー服姿の毬菜が、少し顔を赤くして恥らっていた。

そんな顔を見せると、僕だって恥らってしまうだろ。だけどすぐに笑顔を見せていた。


「さっきのは、オシリスゲームを参加するのにどんな意味があるんだ?」

「あっ、もう大丈夫です」いつの間にか教楽来妹はスマホを見ていた。

「どうした?」

「メールです。あたしもようやくオシリスからのメールを受信できるようになりましたね。

これも広哉があたしの胸をベタベタと舐めるように触ったからですね、ありがとう」

「ありがとうって、思いっきり悪意がないか?」

丁度タイミングよく毬菜のスマホが、メールを受信していた。

悪戯っぽく笑う毬菜がじっとスマホを見ていた。

それは僕のゲームが始まる瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ