083
――僕が買ったゲームを、親戚の家に持ってきていた。
始めて僕が買ったゲーム、それは魔法使いの話。
『ソノサンのガキ』を、画面につけていたのは加布羅兄さんの家だった。
いつも通り、僕がゲームをやっていると加布羅兄さんが見ていた。
「また、ソノサンのガキか?」
「うん、面白いよ」
「そうか?」
「加布羅兄さんはもしかして苦手なんだ」
「難しくてな」
加布羅兄さんは、どこか落ち込んだ顔を見せた。
「そんなに難しいんですか?マイトナバンジャップよりは……」
「このゲーム、石の置き場が分からん」
「石の置き場じゃなく、消すのも大事みたいですよ」
「ますますわからん」
「それがいいんじゃないんですか」
「よくこんなゲームができるな、パズルは苦手だ」
「そうですか」
「ああ、レトロゲームと言えばやっぱりアクションが王道だ」
加布羅兄さんは、相も変わらず言い放つ。
そんな加布羅兄さんを見ながら、僕はソゲキンのガキを進めていた。
覗きこんでくる加布羅兄さん。
「このステージ、どうやってやるんだよ?」
「ここはこの石を消すと……ベル」
「妖精が出てくるんだな」
加布羅兄さんの言うとおり、僕はベルを取ると出口側に妖精が出てきた。
浮いている妖精は出口を迎えるかのように浮いていた。
「この妖精って結局なんなんだ?」
「やだな、妖精あつめて1UPじゃないですか」
「でもスコアはないんだろ」
「そういえば、そうですね」
僕はそれほど気にはしていないが、加布羅兄さんは気になるみたいだ。
「まあ、このパズルを考えるのは好きかな」
「広哉は変っているな」
などと言いながら、飽きている様子の加布羅兄さん。
だけど僕はひたすらにゲームを続けていた。
「そうかもしれないね」
僕はそう言いながらもしっかりとゲームをクリアしていた。




