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自室でゲームをするのは、いつものことだ。
魔田村もまた、僕は持っているゲームだ。
オープニング画面を見るなり、おおっと声を上げながらゲームをスタートさせた。
早朝の僕は、ゲームをしていた。
朝の方がゲームははかどることを、最近感じていた。
見えるホラー画面は、怖さよりも懐かしさがある。
そんな僕の隣には、毬菜が作ったサンドイッチを持って座っていた。
やや形の悪いハムサンドを僕に渡してきた。
「広哉は、ゲーム上手くなったね」
「ゲームは最初からうまい」
「そうだね~」
毬菜は相変わらず僕を見ていた。僕は毬菜の作ったサンドイッチを食べながらゲームをしていた。
魔田村のステージは最初の墓場ステージ。
「ここって最初のステージ?」
「うん、墓場ステージ。そういえば、次のステージはどこになっている?」
「えっと……魔田村ステージ3です」
「ステージ3か、ステージ通りだと洞窟だな」
僕は何となく考えていた。
「魔田村はステージいくつまであるんですか?」
「6とラスボスの7ステージ……じゃない。二周目があるから14ステージか」
「二周目があるんだ」
「それだけじゃない、ラスボスまでにとらないといけない条件もあったな」
「条件?」
「十字架を取らないと入れない」
「へえ、そうなんだ」
「悪魔の王が最後のボスだから、十字架は有効だろ。まあ、毬菜は短剣を使わせるけど」
「短剣は嫌です、槍がいいです」
毬菜が真顔で僕に訴えてきた。
ゲームは墓場を抜けて、赤い悪魔のエリアに来ていた。
「なぜ?」
「槍はとっても真っ直ぐなんですよ、なんかエロい武器だし」
「香春に言われたな」
「うん、槍が大好き」
毬菜の言葉に、僕は半ばあきれていた。
「あのなあ、槍は二連射までだぞ。それに、ドラゴンには槍が効かない。
でも短剣は三連射できるうえに、ラスボスにさえ効く」
「えっ、ラスボスにも効くの?」
「あっ、ラスボスに短剣をどうやって持っていくんだっけ?」
僕はそう言いながらさっき探した黒本をペラペラとめくっていく。
「そうか……これは」
僕は本の内容を見るたびに、いきなりリセットボタンに手が伸びた。
「えっ、広哉?」
「もしかして、このゲームもできるかもしれない」
僕は何となくそう思いながら、黒本のあるコマンドを入れていた。




