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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
七話:僕たちのレトロゲームが最新ゲームに及ばないこともある(
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雑居ビルに写されたプロジェクションマッピング。

僕のそばには教楽来がいる、毬菜が下着姿になって横目でみられた。

教楽来の視線を外そうとするが、隣にいる雅もやっぱり僕を見ていた。


この魔田村の主人公は鎧が脱げ得ると、情けない下着姿になる。

予想はしていたが、毬菜は鎧が脱げると下着姿になった。

あまり大きくない胸だけど、露出されるとドキドキしてしまうのは気のせいだろうか。


「エロいわね」

「ルイの趣味か、覚えておこう」

「違う、不可抗力だ」

教楽来と雅が睨む。僕が反論するが、全く説得力がない。

こう見えてもピンチ……なんだぞ。

僕たちは最後の一機、次のダメージで毬菜は死んで僕たちは終わりだ。

しかもタイムアタック、ゆっくり行っても負けてしまう。


ゲームに視界を移す。

水たまりを越えて真っ暗な森を抜け、僕は敵に警戒しながら先を急ぐ。

森を進んでいくと、幽霊のようなものがふわふわと浮いていた。


(何とか鎧を手に入れないと。確かこのあたり……)

水たまりを越えた先で、なぜか何もないところでジャンプをした。


「そんなところにあるのか」

「ああ」

出てきた壺から鎧が出てきた。毬菜は再び鎧を装着した。

だけどこのあたりから新しい敵が出てくる。


「飛んでいる鎧じゃな」

雅が声を上げるが、ゲーム画面には盾を持った鎧を着た幽霊が出てきた。

もちろんこの鎧の幽霊に触れても毬菜はダメージを受ける。


(こいつ、よけにくいんだよな)

ゆらゆらと飛んでくる鎧の幽霊をしゃがみながらかわす。

だけど、先の方から新しい壺。そこから謎の風車が出てきた。


(なんだ、これは?)

僕はせっかくだから取ってみると、時間が三十秒減った。


「時間が減ったぞ」

一瞬にして僕はこのアイテムを思い出した。

これは点滅風車、時間が減る罠アイテムだ。隣で見ていた教楽来と雅は見ていた。


鎧を着た毬菜をさらに先に進める。今度は別の幽霊だ。

肌色の幽霊が、周囲に一気に現れた。


「あれはソーセージ?」教楽来が指を刺しながらじっと見ていた。

「違う、幽霊だろ」

「でもネギを持っているわ」

「ネギじゃねえよ」

飛ばしてくるのは槍だと思うが、確かに見た目はネギに見える。

それをかわしながら、邪魔なやつを倒していく。

何匹か倒すと、壺の中から短剣が出てきた。


「短剣か」

僕は毬菜に素直にとらせた。

短剣は結構使い勝手がいい武器だったよな。

だけど、取った瞬間に敵が出現した。

僕は目の前のはかわしたが、後ろから出てきた肌色の幽霊。


「クソッ、次から次へと」

僕は背後の槍をよけようとしたが間に合わなかった。

再び毬菜の着ていた鎧がはじけ飛んだ。

また、毬菜は下着姿に戻っていく。なんで毬菜はいちいちポーズをとるんだ。


「黒ね、なかなかだわ」

「ルイはもしかして、毬菜の裸がみたいから……」

「違う……失敗しただけだ」

魔田村は、思った以上に難しい。

初めてやる人間は、大体一面すらまともにクリアできないのが普通だ。

ゾンビの無限増殖、赤い悪魔、それから森のソーセージお化け。

アイツの名前って、たしかウッディっていうんだっけ。


「ボスか」

森のエリアを抜けると、巨大な門が見えた。そして出てきたのは大きな角を持った男。

紛れもなく、このステージのボスだ。


毬菜をジャンプさせて、槍を投げさせる。

しかし、毬菜の方に素早いスピードで向かってきた。


(結構堅かったよな、こいつ)

毬菜はジャンプで短剣を連射、だけど一角男は顔をしかめながらもさらに近づいてくる。

距離的に木二本分まで迫ってきた。


(もうちょいか)

何回かジャンプ槍投げで頭を狙って、一角男は倒すことができた。

炎に包まれて消滅してく。なんで倒されると炎で包まれるのかは謎だが。

そのまま鍵を取ると、毬菜が鎧姿に戻った。

なんか毬菜がちっと舌打ちしたようだが、それでも勝ち誇ったポーズを見せた。


「よしクリアだ」

「問題はタイムね、時間は57秒かしら」

「ああ、あの弥七が問題だな」

そして、僕は結果を見て自分の失敗を確信した。


またしても僕は三位だった。

二位との差は17秒差だった。



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