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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
六話:僕たちのレトロゲームはマルチエンディングになることもある
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いきなり出てきたオシリスに、僕はじっと見ていた。

静寂を切り裂くように出てきた、バタフライマスクをつけていた男が出てきた。

もちろん、これはプロジェクションマッピングなのだが。


博多駅以来の登場に、毬菜は顔を明るく見せていた。

スーツ姿のオシリスに、僕は嫌悪感を覚えた。

アイツの姿と声、やはりどこかで見たことがあるんだよな。


「オシリス……」

「私の余興はいかがかな?プレイヤー諸君」

「くだらない余興だ」僕は吠えた。

「それはすごいことだ。だがこれからもっと厳しくなるだろう」

「広哉、会話できないよ」

毬菜が手を振りながら僕に言ってきた。

僕はただ、苦い顔を見せてオシリスを見ていた。


「さて、現在のところ五名が消滅したところだ。

ステージ4のループ2で、中学生男子と中学生女子。

まさか二人同時に脱落するとは思わなかったよ。

だから、私は一つのステージを進めることにした」

まるで他人事だ、嘲笑するオシリスに嫌悪感があった。


「五人の人間が死んだ、だけどこのゲームはまだ終わらない。

私はね、もっと退屈を満たしたいのだよ。そう、この世界は退屈に満ちている」

「言いたいことばかり言っているな」

雅は憤っていたが、僕はずっとオシリスを見ていいた。


「そうそう、一つ言い忘れたのだが裏技がある。いや、真エンディングルートと言うだろうな。

ファラオになるには単にゲームをクリアするだけではだめだ。

このゲームは、マイトナバンジャップもそうだろう。

このゲームのシンエンディングには、必要なクリアアイテムが三つ用意されている。

富と名誉を示す札、不思議な力を与える銃、時間を巻き戻す袋。

この三つは、私がある三人のプレイヤーに渡してあるのだ。

まあ、『三種の神器』と呼ぶことにしよう」

「なんだよ『三種の神器』って。いきなりそんな設定を出すな!」

「よく聞かせてください」

毬菜が僕のことを珍しく制した。


「これだけでも、少しは楽しくなっただろう。

さて、これから私はもっと世界を退屈から解放しようと思う。

今度のゲームは、『魔田村』ホラーゲームだ。

しかも今回のルールは少し変えてある、タイムアタックだ。

ゾンビが襲い掛かる魔の森を君たちは、最速で抜けられるか?

最後になったが、私は最後のステージで待っている。

勇敢な君の挑戦を待っているよ」

そう言いながら、オシリスは一方的に言いたいことを言いながら勝手に消えた。

僕と雅、毬菜の三人はそれを呆然と見ていた。


「何じゃ、あれは」

雅はそう言いながら、いつも持っていた黒い傘先を体育館の壁に向けてきた。


「オシリスです」

「ああ、そうだな。これは……あいつの格好」

僕はただ一人、オシリスが出てきた体育館の壁を見ながら考えていた。

それはどこかで見たことのある格好だった。



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