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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
一話:僕たちのレトロゲームはスタートボタンで始まることもある
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006

~~マッチー1ステージ~~


マッチーは横スクロールアクションゲーム。レトロゲームなので画像がドット絵だ。

簡単にマッチーを説明すると、主人公はネズミの警察官役だ。

強盗団猫の屋敷に潜入して、盗まれた家具や絵画を取り返すのが目的。

しかし猫に触ると1ミスになり、三回ミスするとゲームオーバー。

見た目のかわいらしさと異なり結構な難易度を誇るゲーム、昔のゲームに難易度選択はない。


ただし、何か所か設置してあるトランポリンを飛んでいる間は無敵だ。

猫に触れてもミスにはならない。トランポリンは、四回飛ぶと切れてしまう。

猫に触らずに、盗まれた家具や絵画を全部取るとステージクリアで次の面に行く。

まあ、なぜ警察官が単身で全部盗品回収をするのか謎だ。


軽快でチープな音楽が流れて、最初は1P側の僕がスタートさせていた。

僕はもちろんゲームは得意だし、レトロゲームも例外なく上手い自負があった。

二十年以上前に発売されたゲームでも、僕はやったことあるゲームだ。だから……


「一面クリア……当然だな」

「あら、やるじゃない」

ミスすることなく1Pの僕がクリアしたのを見て、感動しない声を上げた教楽来姉。

落ち着いた横顔でじっと僕のゲームを隣で見ていた教楽来姉。

クリアの軽快でポップな音楽が流れて、ネズミが喜んでいく。


「次は私ね」

教楽来姉は真剣な眼差しでレバーに指をかけた。

僕は教楽来姉のゲームを見ながら、ずっと次のステージのことを思い出す。


僕はこの『マッチー』を、かなり子供のころからやりこんでいた。

ゲームの販売時期も、ゲームの稼働時期も、僕らの生まれる遥か昔のゲームだ。

だけどこのゲームを僕が得意なのは、僕のまわりにレトロゲームが好きな人がいた影響だ。

僕にはレトロゲームの師匠がいる、にわかゲーマーには負けない自信があった。

ステージを思い出しながらも、教楽来姉の華麗な指裁きを見せていた。


(にわかじゃないのか?)

そう思いながらも、僕は教楽来姉のプレイを見ていた。


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