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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
六話:僕たちのレトロゲームはマルチエンディングになることもある
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~~紗羅萬弩ループ2、4-3~~


(MARINA‘S VIEW)


ビックワイパーそれはとてもかっこい戦闘機。

あたしの体は、今日も宇宙空間に来ていた。

それにしても戦闘機の温度が急上昇していた。

あたしは宇宙服を着たまま、ぐったりしていた。


(暑い……)

あたしの見える戦闘機の上には炎が見えた。

さらに下にも炎が見えた。それが戦闘機の内外を暑くしていた。


(これじゃあ、あたしがこんがり焼けちゃうよ)

笑顔だけど、汗がだらだらと流れ落ちた。

最初のループの時にも来たけど、ここは地獄だ。


(それとも焼けたあたしが好みかな、広哉は)

なんか適当なことを考えても、暑さは紛れなかった。

コックピット内にある温度計は五十度、クーラーつけたい。


(いけない、広哉は頑張っているんだ。

あたしと約束した、絶対クリアするって)

あたしはゲームに入る前に広哉と約束した。

ループ2もクリアしようって、残機一機でも死なないようにしようって。


(広哉は雅ちゃんに向かっていった)

そのことがあたしにとっては嬉しかった。だけどなんだか懐かしい気もした。

いろいろ考えて、ぐちゃぐちゃになったあたしは、呼吸を乱した。


(あたしのトラウマ、あたしの過去、あたしの記憶)

あたしは分からないことだらけだ。

自分が何者かもわからないのに、広哉はあたしを助けてくれた。

広哉は自分の事でも関係ないのに、助けてくれた。

出会って一か月ぐらいなのに、あたしを助けてくれた。


(今度はあたしが助ける番だ)

あたしは暑さで意識が朦朧としながらも、操縦桿を握り締めた。

そんなあたしの目の前には、真っ赤な龍が出てきた。


(でもあたしは何もできない)

それがあたしにとっては悔しかった。

だからこそ、あたしはこのゲームを見守るしかない。


(広哉は今度こそ、突破してくれる)

あたしはただそれだけを願いながら操縦桿を前に倒した。

全く動かないけど、それでもあたしは願いを込めた。


(広哉の夢はあたしの目的)

レーザーを放つ自動操縦のビックワイパー。

あっという間に、真っ赤なドラゴンを倒していく。


(あたしは、クリアしていくんだ)

倒れたドラゴンを見ながら、再びビックワイパーが傾いていく。

そして、あたしは体が一瞬浮き上がった。

いつの間にか暑さはなく、あたしは大きく一呼吸をした。


(最後のステージだ)

あたしは、呼吸を整えて見ていた。そこは再び見えた宇宙だった。



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