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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
五話:僕のレトロゲームの中にも苦手なものもある
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~~オシリスゲーム4-1~~


(MARINA‘S VIEW)


ゲーム開始して、あたしが初めて入ったのはコックピットだ。

いくつもの機器やメーターが周囲をにぎわしていた。

何よりあたしが来ていたのは、銀色の宇宙服。

ヘルメットをつけたあたしは、少し呼吸が苦しい。


(紗羅萬弩の世界は、戦闘機に乗るんだ。あっ、画面に文字が出ている。

なになに……『WELCOME SYSTEM BIGWIPER』)

そっか、BIGWIPER(ビックワイパー)っていうんだ、この戦闘機。

画面の映像が、戦闘機の全体図を映し出していた。

なにやら英語で説明するが、あたしにはよくわからないや。


画面のそばには操縦桿(そうじゅうかん)があるが、自動操縦だ。

この戦闘機(ビックワイパー)を操縦するのは広哉だと理解した。

そんなあたしの目の前には、宇宙が広がっていた。

戦闘機の目の前には、真っ暗な宇宙の闇が広がる。


「宇宙~」

あたしは目の前に見える広大な宇宙に心動かした。

ゲームの中の宇宙は、それでもリアルに見えた。

あたしはコントローラーとして、広哉さんに操られているだけの存在。

だからこそ、あたしはこのゲームの主人公でもあり物語の特等席が与えられていた。

出てくる敵の戦闘機を、ビーム兵器で攻撃して沈めていく。


(すごい、戦争だ~)

振動が、光が、爆発音がリアルに聞こえる。

あたしの五感で、戦闘機を堪能していた。狭いのがかなり気になるが。

なんか敵を倒していると、赤いカプセルのようなものを手に入れたよ。

それを取ると、コックピット内のモニターが光る。


(なになに、スピード、ミサイル、レーザー、なんかいろいろ書いてある)

そう思いながら見ていると、スピードが少し早くなった気がした。


(あっ、なるほど。赤いカプセルを取ってパワーアップさせるんだ。

右に行くほど、パワーアップのカプセルが必要ってことだね)

モニターの画面と、戦闘機の動きであたしは理解できた。

最初のゲーム『マイトナバンジャップ』よりも、パワーアップできる回数が多いみたい。

オシリスゲームのコントローラーは、本当にいろんな体験ができるなぁ。

赤いカプセルを取りながら、ミサイル、オプションデコイ、レーザーと次々と強化。


(あたしは最強だぞ~、後はバリアだね)

バリアまではカプセル六個必要だから、少し時間がかかりそう。

あたしは操縦桿を持ちながら、次々と変わりゆく風景を眺めていた。


宇宙に心躍らせながらも、すぐに目の前が赤い粒で埋め尽くされた。

(ありゃ、なにこれ?)

あたしのビックワイパーは、ビームを放ちながら先を進む。

だけど、赤い粒が戦闘機の前を覆うほど増えていた。


(すごい……生き物みたい)

あたしはビーム兵器で破ける赤い球を眺めていた。

赤い玉が、何やら叫び声のようなものを上げてつぶれていく。少しグロテスクな映像だ。

まるでそれは血のような液体だ。


(あっ、触手みたいなのが伸びてきた!)

あたしの乗っていた戦闘機に、赤い触手のようなものが伸びてきた。

それをビーム弾で打ち破っていく。もちろん、広哉が操作していた。

触手がやがて少しずつだけど、和らいで再び赤く大きな粒が動きを見せた。

まるであたしの戦闘機を誘うかのような動きだ。


(何かあるのかな?)

あたしが、そう言いながら見るといきなり赤い粒の部屋みたいなところに通された。

そして出てきたのが……


(うわ~生き物みたいに、手みたいなのが生えているよ)

それは巨大な脳みそだ、よく見ると触手を持っていて二本の手が生えてきた。

まるでそれは生きる脳みそに見えた。


(なんか伸びるね、やっぱり気持ち悪いかも)

そう言いながらも、あたしは操縦桿を持って気持ちだけは戦っていた。


(広哉が何とかしてくれる)

そう信じ、生物のような脳みそを真横から攻略。

伸びてくる手をかわすと、一気に攻撃に出ていく。


ビックワイパーのそばには、三体の青い玉が攻撃に参加する。

これはオプションだと、広哉が説明していた。

攻撃力をアップできたり、敵の球を防ぐ盾になったりと、いろんな役目を担うエネルギー体。

オプションと一斉射撃をしたビックワイパーはあっという間に脳みそを破壊した。


「やったー、広哉っ!ステージクリアだね」

だとあたしが思った瞬間、乗っていたビックワイパーが突然横に傾き始めた。

「あれ、なんだか急に横に曲がった……」

あたしは宇宙空間の中でも、空気のあるコクピット内で宇宙空間を見ていた。

見える宇宙は、まるで直角に傾いたかのようにあたしには見えた。


「わあっ、なんだか敵が薄っぺらく見えるなぁ」

あたしはそう思いながら、再び気分だけ操縦桿を持っていた。



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