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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
五話:僕のレトロゲームの中にも苦手なものもある
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夜、雅のパーティを終えて僕は自分の部屋に戻っていた。

僕は一応予習をすることにした。

次のゲームは紗羅萬弩(サラマンド)、シューティングゲーム。

ニューファ○コンをつけて、ゲームを見ていた。


このゲームも幸い持っているゲームだ、だからすぐにゲームができるのが強みだ。

まあ、ドリコムの作ったアプリには、レトロゲームができるアプリがある。

そこにはドリコムで落とせるレトロゲームが、好きなだけできるアプリだ。


今頃、毬菜は風呂に入っているのだろう。

僕はオシリスゲームのステージになっている、紗羅萬弩のゲームをやっていた。

今やっているゲームは、火のステージ。

上下を炎で包まれた中、戦闘機を操って進む横スクロール。


このゲームは、個性豊かなステージが特徴だ。

人間の人体に入ったかと思えば、隕石群のステージ、はたまたエジプト風のステージと個性がある。

中でも最後のステージは特殊なステージだ……このゲームが普通のゲームで無い所以(ゆえん)だ。

かなり個性的なステージが特徴のシューティングゲーム。

紗羅萬弩をやっていると、僕の背後に一人現れた。


「大翔か」

「兄貴は何か勘違いをしている」

「何の勘違いだ?」

ゲームをしながら後ろの大翔の話を続けていた。

大翔はいつも通り藍色の長そでのシャツを着ていて、白いズボンだ。

だけど、雅との会話と違って二人で喋る時の口調はきつくなるようだ。


「雅様は、兄貴を手に入れたいだけだ。決して好きになったわけではない」

「そう言うのは僕には分からない。だけど雅は僕に期待しているようだ」

「納得がいかない」

「それは僕も同じだよ、僕には力があるが、大翔ほどの意欲はない」

ゲームではボスの赤いドラゴンが顔を現してきた。

巧みなコントロールさばきで、赤いドラゴンをあっという間に倒す。


「お前が代わりにやってもいいんだぞ」

「いや、兄貴。それは兄貴の仕事だ」

「めんどくさい仕事を雅もお前も与えるよな。お前の方が毬菜と同じ学校だろ。

一緒の通学路で聞けばいいんじゃないのか?」

「兄貴は毬菜をコントローラーにした」

「ああ、したさ。僕はこのゲームの勝利者にならないといけない。

毬菜はそのために利用している、僕はそこで勝利を収める」

そう言いながらもゲームの手は止めない。

ゲーム画面が横から縦スクロールに変化した。

このゲームの特徴でもある、奇数面と偶数面でシューティングゲームがちがうものに変わるからだ。

次のステージは、赤い糸みたいなのが無数に見えるステージに変わっていく。


「毬菜の方は、それを納得しているのか?」

「ああ、僕は連れていく。だから、お前たちは負けて大人しくいればいい」

そう言いながら僕はさらに進む。

次に出てくるのが、赤い玉が壁を作っていた。


「兄貴は順調に勝ち上がっているようだな」

「それがどうした?」

「残念ながら、雅様には勝てない」

「随分な自信だな、ハッタリか?」

「雅様は、オシリスゲームの参加が決まってから随分練習されてきた。

雅様こそ、ファラオにふさわしい。

それを叶えるのが、正しい下僕たるそれがしの役目」

「はいはい、下僕ごっこを勝手にやっていろ」

そう言いつつも、ステージの背景が徐々に人間の背骨の骨格が現れる。


「それでもなぜ、雅様が兄貴にこだわるのかわからない」

「あいつにとっては、昔の僕がトラウマなのかもしれない」

「精神的外傷ということか?」

「難しいことを言う、まあそんなところだ」

「その精神的外傷が、なぜ兄貴にあれほどまでに一途なのかわからぬ」

「僕だって知らん」

そんな僕の目の前に、頭蓋骨のようなものが出てきた。

このステージのボスだ、目のあたりがグロテスクだ。

すぐさま僕の操る戦闘機で、射撃の雨を降らせる。


「なんで、兄貴を選ぶんだ?」

「お前は雅が好きなのか?」

「それがしは雅様が好きではない、尊敬している」

「年下なのに?」

「ああ、雅様はいつも凛としている。真っ直ぐで自分を持っている」

「こばんざめのようなお前とは確かに違うな」

「俺だって持っている!毬菜とは違うんだ」

僕はあっさりと頭蓋骨のボスを倒していた。

ゲーム画面が、再び横スクロールに変わっていく。


「毬菜と違う?アイツだって持っているさ。

僕はあいつを利用しているし、あいつにも利用されている」

「いや、毬菜は虚ろなんだ」

「虚ろ?あいつのどこが?」

「さあ、毬菜に聞いたらどうだ?兄貴はいつも一緒にいるのだから」

そう言いながら、大翔は僕の部屋から出て行った。

コントローラーを持ったまま僕は部屋から出て行く大翔を、ちらりと向いていた。

そんな僕は、しゃべりながら喉が渇いていた。

それと同時に、振り上がりの毬菜が僕の部屋にやってきた。


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