049
夜、雅のパーティを終えて僕は自分の部屋に戻っていた。
僕は一応予習をすることにした。
次のゲームは紗羅萬弩、シューティングゲーム。
ニューファ○コンをつけて、ゲームを見ていた。
このゲームも幸い持っているゲームだ、だからすぐにゲームができるのが強みだ。
まあ、ドリコムの作ったアプリには、レトロゲームができるアプリがある。
そこにはドリコムで落とせるレトロゲームが、好きなだけできるアプリだ。
今頃、毬菜は風呂に入っているのだろう。
僕はオシリスゲームのステージになっている、紗羅萬弩のゲームをやっていた。
今やっているゲームは、火のステージ。
上下を炎で包まれた中、戦闘機を操って進む横スクロール。
このゲームは、個性豊かなステージが特徴だ。
人間の人体に入ったかと思えば、隕石群のステージ、はたまたエジプト風のステージと個性がある。
中でも最後のステージは特殊なステージだ……このゲームが普通のゲームで無い所以だ。
かなり個性的なステージが特徴のシューティングゲーム。
紗羅萬弩をやっていると、僕の背後に一人現れた。
「大翔か」
「兄貴は何か勘違いをしている」
「何の勘違いだ?」
ゲームをしながら後ろの大翔の話を続けていた。
大翔はいつも通り藍色の長そでのシャツを着ていて、白いズボンだ。
だけど、雅との会話と違って二人で喋る時の口調はきつくなるようだ。
「雅様は、兄貴を手に入れたいだけだ。決して好きになったわけではない」
「そう言うのは僕には分からない。だけど雅は僕に期待しているようだ」
「納得がいかない」
「それは僕も同じだよ、僕には力があるが、大翔ほどの意欲はない」
ゲームではボスの赤いドラゴンが顔を現してきた。
巧みなコントロールさばきで、赤いドラゴンをあっという間に倒す。
「お前が代わりにやってもいいんだぞ」
「いや、兄貴。それは兄貴の仕事だ」
「めんどくさい仕事を雅もお前も与えるよな。お前の方が毬菜と同じ学校だろ。
一緒の通学路で聞けばいいんじゃないのか?」
「兄貴は毬菜をコントローラーにした」
「ああ、したさ。僕はこのゲームの勝利者にならないといけない。
毬菜はそのために利用している、僕はそこで勝利を収める」
そう言いながらもゲームの手は止めない。
ゲーム画面が横から縦スクロールに変化した。
このゲームの特徴でもある、奇数面と偶数面でシューティングゲームがちがうものに変わるからだ。
次のステージは、赤い糸みたいなのが無数に見えるステージに変わっていく。
「毬菜の方は、それを納得しているのか?」
「ああ、僕は連れていく。だから、お前たちは負けて大人しくいればいい」
そう言いながら僕はさらに進む。
次に出てくるのが、赤い玉が壁を作っていた。
「兄貴は順調に勝ち上がっているようだな」
「それがどうした?」
「残念ながら、雅様には勝てない」
「随分な自信だな、ハッタリか?」
「雅様は、オシリスゲームの参加が決まってから随分練習されてきた。
雅様こそ、ファラオにふさわしい。
それを叶えるのが、正しい下僕たるそれがしの役目」
「はいはい、下僕ごっこを勝手にやっていろ」
そう言いつつも、ステージの背景が徐々に人間の背骨の骨格が現れる。
「それでもなぜ、雅様が兄貴にこだわるのかわからない」
「あいつにとっては、昔の僕がトラウマなのかもしれない」
「精神的外傷ということか?」
「難しいことを言う、まあそんなところだ」
「その精神的外傷が、なぜ兄貴にあれほどまでに一途なのかわからぬ」
「僕だって知らん」
そんな僕の目の前に、頭蓋骨のようなものが出てきた。
このステージのボスだ、目のあたりがグロテスクだ。
すぐさま僕の操る戦闘機で、射撃の雨を降らせる。
「なんで、兄貴を選ぶんだ?」
「お前は雅が好きなのか?」
「それがしは雅様が好きではない、尊敬している」
「年下なのに?」
「ああ、雅様はいつも凛としている。真っ直ぐで自分を持っている」
「こばんざめのようなお前とは確かに違うな」
「俺だって持っている!毬菜とは違うんだ」
僕はあっさりと頭蓋骨のボスを倒していた。
ゲーム画面が、再び横スクロールに変わっていく。
「毬菜と違う?アイツだって持っているさ。
僕はあいつを利用しているし、あいつにも利用されている」
「いや、毬菜は虚ろなんだ」
「虚ろ?あいつのどこが?」
「さあ、毬菜に聞いたらどうだ?兄貴はいつも一緒にいるのだから」
そう言いながら、大翔は僕の部屋から出て行った。
コントローラーを持ったまま僕は部屋から出て行く大翔を、ちらりと向いていた。
そんな僕は、しゃべりながら喉が渇いていた。
それと同時に、振り上がりの毬菜が僕の部屋にやってきた。




