041
一時間後、僕は博多駅前のバス停に来ていた。
九時近くになって、人通りも少なくなった博多駅。
僕がやっていた博多駅の周辺に集まったマスコミや見物客は、いつの間にかいなくなった。
今回も、僕は周囲に気づかれることなくゲームを終えた。
騒ぎは回を重ねることに激しくなるが、何とかばれなかった。
そして博多駅から離れた僕は、バスターミナルの中にいた。隣には教楽来の姿。
僕も教楽来も、疲れた顔でバス停そばのベンチに腰かけていた。
「終わったな」
「一つのステージは疲れるわね。これが後7ステージもあると、心が疲れてしまうわ」
「全くだ」
僕は上を見上げながら、教楽来はスマホを見ながら互いにベンチに座っていた。
僕達の前を、バスが一台流れていく。
「なんでオシリスは誰かが犠牲になるゲームを作ったのかしら?」
「知らん、頭がおかしいのだろ」
「そうやって思考を止めるのはよくない癖よ」
「けど……教楽来」
「何?」
聞き返すが、スマホをずっといじっていた。
教楽来と僕の間には、教楽来のカバンともう一つカバンが置いてあった。
「学校を真面目に行ったのか、今日も?」
「そうよ、勉学は怠るわけにはいかないわ」
「相変わらず真面目なことで」
「私はいつも真面目で一生懸命、世界は刺激であふれていて……」
「それで?」
「私はあなたに勝つことが夢」
「広哉っ、お姉ちゃんお待たせ~」
そう言いながら、奥から一人走ってきたのが毬菜だった。




