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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
三話:僕たちのレトロゲームはお金で成り立っていることもある
31/129

031

結局学校を昼でサボった僕は、家に戻っていた。

ゲーセンにも行くことはめっきり減った。

ゲーセン以上にやらないといけないゲームがあったからだ。

ブレザーのまま僕が、テレビ画面に正座して座る。

昔みたいに、正座しないと落ち着かないのはなぜだろうか。


自分の部屋でゲームをしていた、もちろんマイトナバンジャップだ。

そして僕は『王家の秘宝部屋』でダイナマイトワープをしていた。

丁度終わった時に、僕の部屋に入ってきた人物がいた。


「なんだ、毬菜か」

「あたしの家だから、帰って来たんですよ」

「勝手に決めるな」

毬菜は相変わらずのセーラー服姿で、無邪気な笑顔を見せていた。

そんな毬菜も、明日のゲームに負けれは消滅する。

そう言う現実がありながら、なんでここまで明るく振る舞えるのか理解に苦しむ。


「ここって、ゲームの画面と同じだね」

「ああ、十一面、通常火の海地獄。なによりここには罠がある」

僕はゲーム画面がスタートした瞬間に、すぐスタートボタンを押した。


「さて問題だ、毬菜」

「なになに?どうしたの?」

「このステージに罠があります、それはどこでしょう?」

「えっ、罠?もしかしてハニートラップとか?」

純粋に毬菜は笑顔で言ってきた。なんかこういうところは教楽来と同じ受け答えだな。


「違う、ハニートラップなんかあるわけない」

「じゃあなんなの?」

「というより脱ぐな」

毬菜は、セーラー服を脱ごうとしたのを僕は制した。


「えーっ、だってわかんないんもん」

「全く……ここだよ。最初の穴」

「あっ、空いているね。毬菜のと一緒だ」

「何が一緒だよ」

「ここに入るとどうなるの?」

「ステージが四つ戻される」

「なんかすごいね、このゲーム」

「ああ、まあこの通路も無駄にはならないんだけどな」

「どういうこと?」

「このゲームにはすべてのステージをクリアすればいいものじゃない」

「違うの?」

「ああ、特殊なクリアアイテムを取らないと真のエンディングを迎えることができないんだ。

だけどそれを取るにはかなり厳しい条件もあるし。僕は最高のエンディングをクリアはできなかった。

僕は師匠が一度だけクリアしたのを見たことがあるぐらい」

僕はゲーム画面をスタートさせた。

主人公のジャップを、穴に入れないように数少ない足場に立たせた。


「これが難しいんだよ」

「すごい広哉」

セーラー服を脱ぐのをやめた毬菜は、僕を褒めていた。

なぜか動物の様に僕の頭を撫でてくる。適当にあしらって、ゲーム画面を見ていた。


「ああ、さて本番だ」

この十一面は横スクロールのステージだ。

下が火の海で逃げ場がない、足場も限られている。

おまけにダイナマイトが無い。殺風景だが、シンプルなエリアだ。


「結構動きが単調になる、もちろんそれだけに難しい」

「どう難しいの?」

「敵の逃げ場所はタイミングが重要、このあたりは足場の距離を考えないといけない」

「ふーん、水平移動みたいなの?」

「ああ、まあ見ていろ」

僕は手際よく、ジャップを一マス分しかない足場に水平移動させていく。

そのまま先を進んでいき、途中で隠しスフィンクスを取る。


「あっ、ここにあるんだ」

「そう、さっき扉があったよな」

今度はUターンして途中は空いていないが、開いた隠し扉にジャップをダイブ。

そこには隠し部屋、アイテムたくさんゲットだ。


「大量だね」

「ああ、大量。コインも最大数溜まったし、スコアも増えたからな」

隠し部屋の宝箱を全部あさって先のステージに向かった。

そして、先にあった扉を開けると、次のエリアに向かった。


「新しいエリアだ」

「そう、ここは火の海エリアじゃない。別のエリアだ。

おそらく僕の考えが正しければ、ここはボーナス稼ぎの場所だったはず」

「思い出してきたのね」

「ああ……確かこのあたりだ」

僕の目の前には、火の玉が無数に見えた。その近くには、ダイナマイトがいやらしい位置で配置されていた。


「これを取ろうとして失敗したんだよな」

「難しいの?」

「全く難しい、ちょっとジャンプの位置がずれれば即死だから」

「それは大変だね」

「お前のことだぞ」

僕が突っ込むと、毬菜は急に自分の服をべたべた触ってきた。


「やん、お洋服焼けちゃうね」

「お前自身が焼けるんだ、のんきなことを言うな」

「明日のゲーム、かわいい下着を着て行こうかな?」

「何を言っているんだよ」

「さっき学校帰りに買ってきたんだ、これとか」

そういいながら下着店の包みを取り出して、下着を取り出した。


「おいっ、ばかっ!」

「えーと、広哉はどれがいい?あたしは黒とかいいと思うんだ」

「なんでそんなのをここで出すんだ?」

「だって、次のゲームは大一番でしょ」

「確かにがげっぷちだけど、負ける気はしない」

「だったら、勝負下着つけないとね。あたしはこれでもブラもつけているよ」

小さい胸を、両手使って大きく見せていた毬菜。

毬菜が僕の部屋で下着を出すのはいくらなんでもなしだろ。

毬菜の誘いに僕は必死になって反対した。


それと同じくして、ゲームでは敵にやられて一機失った。

毬菜は僕の顔を申し訳なさそうな顔で見ていた。

とにかく僕は、毬菜を抑えつつゲームを続けた。

さらにステージが進んでいくと縦スクロールに変わっていく。

ココを見るなり、僕は唇をかみしめた。


「で……ここはどうするの?」

「ここのダイナマイトだけど……考えるな。

上手くいけば隠しステージに行けるが……難しいんだよな」

そう言いながらもステージ開始から数秒で、一機が死んだ。


「そうか、でもやれるんでしょ」

「昔はな、今はそこまで行かない」

「でも……あそこのアイテムを全部取れたら」

そう考えているとゲームのBGMが鳴った、時間がかかっていた。

焦ると敵の動きが早くなって、あっという間に一機死んだ。


「だが、このままでは……」

「特訓あるのみです」

毬菜は嬉しそうに言ってきた。

だけど僕はじっと見ながら、言わないといけなかった。

それは僕の中にずっとあった一つの言葉。


「無理だよ、ここは諦めて次を狙おう」

僕はそのままゲームを再開しようとしたとき、毬菜が僕の裾を掴んできた。

「諦めるの?」

「諦めも肝心だ。僕はそう感じた」

「それはダメだよ!ここがポイントなんでしょ」

だけど僕のやっているジャップは、三機あっという間に死んでいた。

死んだ時のスコアは40万点だった。



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