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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
二話:僕たちのレトロゲームは理不尽を解明することもある
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023

(MARINA‘S VIEW)


あたしの意識は、この世界にあった。

それは広哉が言っていた、マイトナバンジャップというレトロゲーム。

その記憶も、あたしの中であるようなないようなおぼろげな情報。

だけどあたしは赤くきついタイツを着て、マントを背中につけていた。


(この猫耳マスクかわいい)

あたしの目を赤いマスクが覆う。髪の毛がマスクで隠れて、かわりに猫耳が見えた。

そう、あたしはオシリスゲームの1-2のステージ内にいる。

体が軽くて、あたしは超人になったみたいだ。


(あたしを広哉が操ってくれる)

あたしはコントローラー、制御される方だ。

あたしの足元には宝箱。少し奥には二体のミイラがいた。

広哉が言うには、これは敵で触るとあたしは死ぬみたい。


(何が出るかな、何が出るかな……ドキドキ)

などと思っていると、出てきたのは火の玉だ。

そして火の玉は、いきなりあたしの方に向かってきた。


(広哉はどうするんだろう?)

あたしが考えると、広哉はすぐさまあたしの体に指示を与えた。

あたしの体がふわりと上昇した。まるで風船のように軽い体に、上のダイナマイトを取っていく。


(この火の玉って横にしか動かないんだ)

つまり下に穴があれば落ちていく。ゆっくり滑空しながら玉の動きをやり過ごしていた。

背中のマントがビラビラと動いて、あたしの重力を軽減してくれた。


(敵がいなくなったら、宝箱をあさっていくみたい)

あたしはジャンプをすると、足元に宝箱が見えた。


(隠し宝箱、ここにもあった)

さらにジャンプをすると、出てきたのはドリンクだ。


(赤いドリンク、怪しいドリンク)

あたしがそれを取ると、時間がさらに増えていく。

さらにジャンプをすると、やっぱり足元が宝箱に変わる。


(おおっ、二つもある)

下の宝箱は白い袋だ、なんかお金が入っていそう。


(お金、お金)

あたしは白い袋も手に入れた。すると足元が何もなくて、下に落ちていく。

あたしの足元にはさっき落ちて行った火の玉が横移動でうろついていた。

少し離れたところにはドクロもいた。


(わっ、敵がいるよ)

だけど、陸地に着地するまでにあたしの体がふわふわと浮いていた。

落ちないように横に水平移動。

敵のいない対岸の石の足場に到着。


(ふう、危なかった~)

そんなあたしの体が再び持ち上がった。

またジャンプをすると、足場に宝箱が出現。

あたしの体がそれと同時に、青くなった。


(パワーアーップ!)

いつでもパワーアップができるみたい、コインを取ってストックできるみたい。

ボタンを押せばいつもパワーアップできるのが、ゲーム攻略のカギらしいけど。

コントローラーのあたしは、それが少し楽しみでもあった。


(橙毬菜も、青毬菜もちょっとだけ胸が大きくなったね……スーツきついもん)

来ているスーツがあたしの体をさらに締めつけていた。

お姉ちゃんほど胸が大きくないが、胸が大きくなったような体験ができるのがいい。


(一番パワーアップする緑毬菜だと、服が破けないかなぁ?)

などと思っているけど、そうはならなかった。

そんな青毬菜になったあたしは、橙色の宝箱の上をジャンプして開けた。


(おお、また赤ドリンク)

だけど、あたしが二個目のドリンクを手にした瞬間、どこからともなく声が響いてきた。


「YOU ARE GREEDY」

(えっ、なに?)

それは英語の言葉だ、あたしは英会話能力が高くないので聞き取れずに理解できない。


(英語だ……)

立ち止まったあたしは、着地して周囲を見回してきた。

声の主は、やはり姿が見えないがちょっとだけ恐怖があった。


「どこ?」

しかし、あたしが周囲を見回すと突然上の方から緑色の大きな手が見えた。

肌が緑の大きな右腕が、あたしの方に伸びてくる。


「なんなの、あれ?」

「GREEDY……GREEDY」

「なにそれ?何を言っているの?」

あたしが逃げようとしたが、あっという間にあたしの体は巨大な手に捕まれた。


「は、離してよっ!」

しかし、あたしの体が浮き上がってどんどん壁をすり抜けていく。

ジタバタして抵抗してもあたしの体は上にどんどん上がっていく。

それはあたしがどこかに連れて行かれる気がした。


「あたしはどうなっちゃうの?助けて、広哉っ!」

不安を抱えたままあたしは、巨大な緑色の手に捕まったままだった。

そして、あたしはある部屋に連れて行かれた。


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