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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十二話:僕たちのレトロゲームは世界を救うことだってある
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僕は呆然としていた。

目の前のプロジェクションマッピングは僕の勝利を伝えていた。

勝利画面を画面の中で、僕は固まったまま画面を見ていた。


ゲーム画面では、毬菜がジャンプキックで中央にある銅鑼を鳴らす。

毬菜の勝利に、僕はじっと画面を見ていた。


「本当に世界を救ったのか?」

「……この世界が正解だった」

プロジェクションマッピングのオシリスは、静かにつぶやいていた。


「ああ……僕は思い出したよ」

「勝因をか?」

「勝因は僕が勝ちたいと思う心だ」

勝ち誇った嬉しそうな毬菜をじっと見ていた。

なぜか来ているチャイナドレスを脱ごうとしていたが、それさえも視界に入らない。


「そう、ゲームに勝つには勝ちたいと思う心だよ」

「昔の僕は何も知らなかった。

だけど知ることで、大人になるにつれてそれを忘れていた。

レトロゲームは発想力も大事なんだって」

「君が勝つには、発想が大事なんだ。

このゲームは何せ、全てを知った私が作ったゲームなんだから」

「マイクで指示をしたんだろう」

「そう」

毬菜は一人の人間で独立していたんだ。

それが僕のゲームに対する答えだった。


「それは正しい結論だ」

「ああ、毬菜が僕を勝たせてくれた」

そう言いながら毬菜を微笑ましく見ていた。

いつの間にか地震が止まっていた。


「なら君には何も言うことはない。このゲームを閉じるとしよう。

このゲーム本来の役目は終わったのだから」

そう言いながら、目の前の画像が揺らめいていた。

そして、僕のそばには毬菜がいた。


「毬菜……」

「そうだね、ごめんなさい」

「ああ」

それは、毬菜との別れも迫ってきていた。

毬菜は泣いていない、むしろかなり明るかった。


「辛くないのか?」

「辛くないよ……だって」

毬菜は笑顔を崩さない、その一方で目には涙を見せていた。


「あたしとはいつかまた……絶対に会えるのだから」

「……ああ」

そう言いながら毬菜は消えて行った。

僕は最後まで、毬菜が消えた場所を見ていた。

そして、出てきたのが呰見だった。


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