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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十二話:僕たちのレトロゲームは世界を救うことだってある
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地面が揺れる中のゲームは、とても不安定だ。

足場の不安定な山頂は、グラグラと揺れては恐怖があった。

山から落ちたら、無事では済まなそうな岩場が足元に広がる。

震える足を落ち着かせながら、僕はそれでもゲームを見ていた。


僕はあの後も負け続けた。

毬菜は何度も僕の前で倒れた。

イーエルファンクーは得意だったはずなのに。


「オシリス、強すぎ」

ゲームの中では僕の攻撃は全く当たらない。

オシリスは必ず攻撃を当ててくる、劣勢が覆らない。


「何が足りないんだ?どういう原理で動いている?」

断末魔の叫びをあげた毬菜を見ながら、七連敗の原因を探る。

しかし、ゲーム内のオシリスは首を横に振っていた。


「やれやれ……これでは勝てません」

オシリスの余裕は全く変らない。

僕は一撃も与えられずに焦っていた。魔田村で増やした残機も後三機。


「広哉……」

ゲーム開始を待つ毬菜が落ち込んだ僕に声をかけた。


「やっぱり勝てない」

「そんなことは……ない」

「じゃあ、どうすればいい?僕の攻撃は全て読まれている」

「広哉ってやっぱり弱いんだ」

「なんだよ、毬菜まで」

「広哉は弱いから勝てないんだよ」

「うるさい!」

僕はゲームの中の毬菜に叫んだ。


「僕は弱くない、強い」

「そんなのウソに決まっている、だって全然勝てないもの。

勝てるわけないよね、だって勝とうとさえしないから」

「それは違う」

「違わない。じゃあ攻撃が当たらないじゃない」

「オシリスがチート使っているからだ。

オシリスが不正に操作しているからだ」

「それは違うよ。広哉」

毬菜の言葉に一瞬呰見の顔が重なった。


「呰見?」

「昔の広哉はちゃんとできたもの」

イヤホンから聞こえた毬菜の声が、一瞬呰見と重なった。


「なんでそんなことを……いうんだ?」

「力があるから、広哉には」

毬菜の言葉に、僕の心はまだ固まっていない。


「そろそろゲームを始めよう、このゲームはネットで全世界に配信されている」

オシリスが一方的に再開していた。

僕はやはりうつむきながらコントローラーを握っていた。



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