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~~オシリスゲーム・八面~~
僕が始めるゲームは、オシリスゲームの最後。
呰見の素顔のようなものが見えたが、すぐに毬菜に戻った。
一体何がどういう事なのか、全く分からない。
それでも、毬菜がいつも通りゲームのコントローラーになっていた。
そして、毬菜がゲーム画面に出て来ていた。
「これが最後だな」
「うん……どうしたの?」
「いや……呰見」
「呰見?」
毬菜は何事もなかったかのように言い返す。
もしかすると呰見のことを、毬菜は分からないのかもしれない。
そう考えると、毬菜も被害者なのだろう。
「さあ、最後のゲーム。私は君を全力で倒す」
そして対戦相手で出てきたのは、イーエルファンクーの敵ではない。
仮面をつけた男、文字通りオシリスだ。
名前も『Osirisu』と書いてある。Hが抜けているのは愛嬌か。
「これは……何のつもりだ?」
「ああ、もちろんゲームに負けたら、毬菜は完全消滅する。
彼女は特別だ……いやここでは呰見と呼ぼうか?」
「なぜ知っている?」
「それはゲームをやってのお楽しみだ」
オシリスがそう言いながら、動き始めた。
「毬菜どういう?」
「くるよ」
冷静に毬菜が叫び、僕は毬菜を後ろに下がらせた。
ポップな音と対照的に、オシリスは前に向かってくる。
「こいつを倒すのか……やってやるぜ」
僕はそう言いながら、加布羅兄さんに教わったジャンプして下降中にキックをする。
「まずは小手調べ……あっ」
だけど動かなかったオシリスの頭に、手裏剣が現れた。
そのまま手裏剣が、毬菜に命中。
「きゃあっ!」
毬菜が声を漏らす。僕もまたゲーム画面を見ていた。
「手裏剣使いか」
「どうでしょう?」
「タイミングが悪いな」
そういいながら、僕はもう一度ジャンプを無意味にして、下降中にキックを出す。
だけど再び手裏剣が出て、毬菜に命中。
「ジャンプ攻撃はダメか」
僕はすぐに諦めて接近戦にしてきた。
「ならば接近戦で……」
「ああっ!」
毬菜が悲鳴を上げた。
オシリスが近づこうとすると、オシリスの手にあった鎖鎌が伸びてきた。
全く近づくことができない。
「なんだこいつ、複合武器かよ」
「そうではない」
そう言いながら、オシリスの持っていた武器が消えた。
ダメージは三発受けた、後五発喰らうと死ぬ。
「相手の手の内がよく分からない」
「うん、いろいろやってみるしかないね」
だけど、近づこうとしても鎖鎌。
ジャンプしても手裏剣が飛んでくる。
いろいろ試した。だけど……
「きゃああっ!」
一発もダメージを与えることはなく、毬菜はあっさりと倒された。