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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十二話:僕たちのレトロゲームは世界を救うことだってある
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ここに来るのは久しぶりだ。

それは岩場の山、まさに自然の要塞といった岩が切り立った場所。

険しい山に、僕は何度も足元をすくわれた。


「こんなところ、よく昔は歩けたよ」

子供のころは、なんとも思わなかった。

ロープが張られた岩山を両手で辿りながら、毬菜と一緒に向かう。

日が沈みゆく山、幻想的な光景もそれを見る余裕はない。まさにサバイバルだ。


「ロープを絶対離すな」

「うん」

毬菜と僕は苦心してようやくたどり着いた雲産山。その山頂に立つと、夕日が沈む。

そして、薄暗いはずの眼下の山々が人工的に明るかった。


「随分な仕掛けだな」

「ええ、あなたにはずいぶん待たされましたから」

そういいながら待っていたのは、バタフライマスクのオシリス。

もちろん画像越しの演出だ、やっぱり本人が直接出てくることはない。


「ここが最後のゲームの場所にしたのは」

「もちろん君のため……呰見の墓標なら」

「オシリス、なんで知っている?いやこれは」

「君は知っているではない、忘れただけだ」

「忘れた?」

「そう、このゲームが本当は君のためだけにあるのだということを」

「どういうことだ?」

それを言いながら、オシリスは不敵に笑った。


「それは……僕も姫野 呰見を知っているから」

「呰見……お前は」

「その前に、彼女の記憶を全て戻そう」

そう言いながらオシリスは、何やら手に鍵を持っていた。

その鍵先を画面の方に向ける。

すると、毬菜が突然苦しみだした。


「ああっ、これは……」

「そう、これは毬菜の記憶。いや呰見の記憶でもあるのだよ」

「呰見がなぜ出てくる?」

「ううっ」

毬菜はしゃがみこんで、震えていた。

そんな毬菜の体が一瞬光った。

そして、その毬菜の光の中に見えたのは闇。

見えた闇は、ボロボロの姿をした人間。

だけどその人間をはっきりとみていたし、はっきりと知っていた。


「呰見?」

「そう、幸神 毬菜は呰見なのだよ。この世界でもそうなのだ」

オシリスの言葉に、光が解けると疲れた顔の女が出てきた。

それは、死んだはずの呰見。

ほくろや、穏やかな目、長く赤みかかった髪は、まさに呰見だ。


「なんで呰見が毬菜の中に?……」

「それは、このゲームの重要人なのだよ。さあ、始めよう」

そう言いながら、僕の周りにはゲームフィールドが広がっていた。



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