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そこは僕と毬菜が初めてを行った場所。
うっそうとした地下は、さすがに多くの車が止まっていた。
ショッピングセンターUNGAの地下駐車場。
静かで誰もいない、平日の夕方から夜になろうとしていた。
薄暗い駐車場に、結構多くとまっている車。
前に来た時より、車が多く人も歩いていた。
僕が来ていたのは、車の泊まっていない場所。
そして、そこにはセーラー服の毬菜がしゃがんでうずくまっていた。
「毬菜……」
「広哉」
僕を見るなり、元気なさそうに僕を見ていた。
顔を歪めて毬菜は寂しそうな目をしていた。
「あたしは……怖い」
「怖いのか?」
「いろいろ知ることで、いろいろわかることで怖い」
「それは毬菜が望んだことだろう。このゲームを進めることで得た事だろう」
僕の言葉に、視線を逸らしていた。
「幸神 真里菜、オシリスの娘」
「うん……あたしはそうなんだ」
「オシリスから聞いたよ、全部。
君はオシリスの指示を受けて、五年前に通り魔事件を起こした。
そこで七人の人間を光線銃で撃った、間違いないね」
「そう」
「だからすべてを知っていたのか、あのゲームも……」
「私は徐々に記憶を戻ってくる中で、怖かった信じたくなかった」
涙目の毬菜が、僕の目の前で抱きついてきた。
毬菜はとてもよわよわく見えた、やっぱり彼女はどこにでもいる中学生なんだ。
「毬菜……」
「広哉、真実は残酷なんだよ」
「辛かったんだな」
「だって、あたし……オシリスの娘だったんだから。
このゲームを仕組んだ人間だったのだから。
こんなあたしを……広哉は嫌いになったよね」
「何を言っているんだ、お前は?」
「広哉?」
「今の毬菜は、ずっと僕の相棒だろ。ゲームもまだ終わっていないい」
僕の言葉に、毬菜が顔を上げた。
毬菜の目は既に大量の涙を浮かべていた。
「なんで、今でもあたしを信じるんですか?」
「毬菜は告白をした。その言葉に、嘘偽りはないだろう。
だから僕も毬菜のことを信じる」
「広哉は……大人だね」
「ああ……子供じゃないさ」
毬菜と出会い、僕は多くが変わった。
それは、僕が毬菜から教わったことなのだ。毬菜が顔を上げて、僕の顔を見ていた。
「なんでそんなに広哉は優しいの?」
「絆……だよ」
少し照れくさそうに、僕は毬菜の好きな言葉を言っていた。