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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十一話:僕たちのレトロゲームは全ての記憶を蘇らせることもある
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僕は家で毬菜が帰っていないのを確認して、中学に向かう。

うかつだった。まさか、毬菜が頭痛でこれほど悩んでいるとは思わなかった。

教楽来とオシリスの話はしなかったのもある。

むしろ、毬菜は知っていたのかもしれない。


いろいろ考えて、僕は八神中の近くの公園に来ていた。

時間は既に夜をまわっていた。

そして雅がそこにはいた。制服姿の雅だ、学校からそのまま探していたのだろう。

通常のゴスロリ格好の雅も、制服姿だと少し新鮮だ。


「やはり毬菜は帰っていないのか?」

「ああ、帰っていない。こんなことになるとは」

僕は苦い顔を見せていた。やっぱり学校に行かせるべきじゃなかった。


毬菜の異変に気づけなかったことを僕は悔いた。

だけどその顔を見せると、雅が心配そうな顔を見せた。


「保健室に昼間、頭痛がひどくて休んでいた。

だが、夕方眠っていた毬菜が突然姿をくらましたのだ」

「何かあったのか?」

「なにかいろいろ言っていたようじゃ。

自分に自信がないとか、怖いとか、全てを知ってしまったとか」

雅の言葉に、毬菜の様子がおかしいのは知っていた。


「そうか……」

「アテはあるのか?」

「たぶん」

僕は一つだけアテがあった。それを見た雅はじっと僕に手を当てた。


「ならそれはきっとルイの仕事じゃ」

「なんで僕の仕事なんだ?」

「相棒だろう」

雅の言葉に、僕はただ頷くしかなかった。


「そうだったな。雅……すまない」

「いや、いいのじゃ。わらわは決まっておる。

ルイと毬菜を見ていて、いろいろと感じたのだ」

「絆か?」

「絆だけではない、特別な関係を感じるのじゃ」

「なんだよ、それは?」

「さあな、それを詳しく説明はできない。だがルイは、追いかけなくていいのか?」

そう言いながら雅が持っていた、たたまれた傘先を僕にさしてきた。


「本当にこの埋め合わせは……」

「わらわにかまうな。すぐに行くのじゃ!」

雅の言葉に、僕は背中を押されて走り始めた。

僕はもう振りかえなかった。ただあの場所に向かって走り出した。

それは全てが始まったあの場所。



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