表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十一話:僕たちのレトロゲームは全ての記憶を蘇らせることもある
110/129

110

オシリスの言葉を、理解するのに時間はかからなかった。

隣の教楽来は、険しい表情で睨みつける。

それでも僕は話を続けたかった。


「僕のためのゲーム?」僕が聞き返そうとすると、オシリスがさらに続けた。

「男子高校生、幸神 広哉は絶対に勝ち上がるのは運命だから。

そうでなければ意味がない、この時間は無駄になるだろう」

オシリスは不敵な笑みを浮かべながら、僕にそう言ってきた。


オシリスの言葉は、疑問があった。

塀を見る僕のそばには教楽来、不満そうに見ていた。

待ちゆく通行人も、気にしてじっと見ていた。

そんな塀に現れたオシリスを見るギャラリーは、どんどん増えて行く。

携帯構えているヤツもいて、騒ぎになりそうだ。

それでも僕も教楽来もあまり動じない。


「このゲームは初めから君のためだけのゲームだよ」

そう言いながらオシリスが僕を指さしてきた。

これは録画された映像なんかじゃない。完全に会話しているようにさえ聞こえた。


「どういうつもりだ?」

「幸神 広哉、君は世界が退屈だと言った」

「そうだ、世界は退屈でつまらない。あの事件があったから」

「ならば私の贈り物の意味も分かっているようだね。『三種の神器』の意味」

「お前は何を知っている?」

僕はオシリスを睨んだ、オシリスは余裕を見せていた。


「全て知っている、少なくとも今の幸神 広哉よりは」

「それは理不尽ね」

教楽来はオシリスに腕を組みながら見ていた。

オシリスは教楽来の言葉が聞こえないのか、僕を見ていた。


「その顔だと不満そうだな。君は教楽来 晶菜だね」

「嬉しいわ、私を知っているとは。あなた何者なの?」

「敗者に従う義理はない、私と会話の権利があるのは唯一の勝利者、幸神 広哉君だけだよ」

「じゃあ、僕から質問だ」

「どうぞ」

「お前は何者だ?なぜこんなゲームをする?」

「ふむ、これを言えばいいのかな」

オシリスは勿体つけて、口に手を当てていた。


「君は毬菜の秘密を知っているか?」

「毬菜の秘密?」

「彼女は特殊なコントローラーだ、何せこの世のものではない」

「意味が分からない」

「では、どうして毬菜は記憶がない?」

「……そうね」

教楽来が何かを理解したようで、目をつぶった。


「毬菜は記憶がない、これは決して普通ではない」

「そうだな、彼女はこのことも忘れていたのだ。

自分が何者かわからないことは、残酷な事だと思わないか?」

「残酷?」

「そう、彼女は分からなかった。だけど分かってしまったんだ。

教えてあげよう、彼女が知った、彼女の真の名を」

オシリスがそう言うと、僕は顔をはっとさせた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ