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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十一話:僕たちのレトロゲームは全ての記憶を蘇らせることもある
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――これは小学校の話。

夏休みが迫ったこの日、僕は静かな教室に来ていた。

目的はどう考えてもあいつしかいない。

クラス委員をしていたあの子に、僕は声をかける勇気があった。


「呰見っ」

声をかけたのは、クラスの教室にいた女子生徒。

長い髪に、清楚なワンピースは子供っぽいところも見せるがどこか大人びてもいた。

だけど一個年下の姫野 呰見はいつも通り委員の仕事をしていた。


「広哉君」

「呰見は夏休み空いている?」

「空いているよ」

「だったら……今年もいかない?」

僕の言葉に呰見は顔を上げた。

初めての出会い、夏のキャンプだ。


学校が支援している団体のキャンプ、自由参加のキャンプだ。

だけどやることのない夏休みに参加する生徒は三割ほど。

もちろんそれに僕も参加していて、呰見も参加していた。

去年、そこで僕は下級生の呰見に一目ぼれをした。


「えと……あたしね、今年はクラス委員だから。

結構やる書類がたまっていて……結構難しいかも」

「そんなことないよ、じゃあ僕が手伝う」

「悪いよ、幸神君は上級生だし」

「いいよ。その代り今年も一緒にキャンプにいこ」

僕の隣に呰見は照れくさそうな顔を見せていた。


「幸神君は……優しいんだね」

「そんなの……あるかな?」

おどけながらも呰見の前で、僕は自信たっぷりと胸を張った。

それを見た呰見は、クスクスと笑っていた。


僕は呰見の隣に座って、書類を見ていた。

ペンを片手に呰見の仕事を手伝っていく。


「じゃあ、これかな?」

「えと……ほんとうにいいの?」

「ああ、当り前だよ。その代り一緒にキャンプに絶対いこうな」

「うん」

呰見は僕の見せた笑顔は幸せになれた。

そう、僕ははっきり呰見に恋をしていた。

去年の出会いが全てで、僕は呰見と一緒にいられることを幸せに思う。


すぐさま呰見のそばに僕は座って、呰見を手伝い始めた。

呰見と一緒にキャンプに行きたい、その一心で僕は動いていたんだ――



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