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~~オシリスゲーム7-3~~
僕はこのゲームが好きだった。
ただ単に探すだけのゲームじゃない。
ゲームとしての知的なパズルが新鮮だった。
昔は落ちモノパズルゲームとか、パズル系RPGゲームなんかなかったからな。
(さて……やるしかないな)
僕は覚悟を決めていた。
そう言いながら、僕は毬菜を動かしてベルを狙いに行く。
このゲームには出ているアイテムは鍵の他にベルがある。
ベルをとると、扉の中から妖精が出てきた。
(この方法しかない……)
僕には加布羅兄に勝てるには、この方法しかないのは分かっていた。
だけどこの方法は、正しいものではない。
何よりゲームの仕組みに全くはまっていない。
妖精が飛んでいる光景は、まさにかわいい。
(この方法は本来、スコアと正反対なわけだ)
とはいえ、僕はオシリスの言葉を完全に信用したわけではない。
(悔しいが、今の僕では勝てない)
そんな時、僕のコントローラーから声が聞こえた。
「あーあー、広哉?」
「その声は……毬菜?」
僕はスマホ越しに声を返した。
よく見ると、コントローラーにマイクがついていた。
そのマイクから聞こえる声は、毬菜。
「どうして声が?」
「ドリコムの方です」
そう言いながら、僕はさっき貰ったイヤホンをつけていた。
ドリコムの夢姫が持ってきた。泣きながら僕たちに懇願してきた。
それは母親を取り返すという事。
僕は夢姫とかわした約束を守るつもりはない。
教楽来が探求してほしいオシリスの謎を解く気もない。
だけど僕はみんなに期待を掛かられていた。
だからこう考えた。僕はもう一人じゃない、みんなの責任を背負わされている。
だけど毬菜の言う言葉も少し理解できた。
「毬菜、怖くないか?」
「大丈夫」
僕は毬菜に言葉をかけた。
毬菜の声が弾んでいて、なんだかその言葉に癒される気がした。
「じゃあ、頼みむぞ。僕は勝ちたいんだ」
「うん」その言葉を交わして、僕はコントローラーを強く握った。