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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
一話:僕たちのレトロゲームはスタートボタンで始まることもある
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001

全ての始まりは、自宅の部屋で感じた大きな地震だ。

一階の部屋の床が激しく揺れたほんの数秒間。

僕は何気なく見ていたテレビが切り替わったのは、201X年の一月のある日。

こたつに入った僕は冬休みの昼間、初詣もいかないで寝正月の僕には何の変化もなかった。


僕の名は、『幸神(さいかみ) 広哉』。福岡に住んでいる、どこにでもいる高校生。

これと言って趣味もなければやる気もない……しいていえばゲームぐらいだ。

ただ何となく見ていた録画のバラエティ番組は、突然地震と共に緊急の生放送へと切り替わった。


――テレビ画面は、ニュース画面だ。無機質な背景は、ニュースにぴったりだ。

テレビのテロップは地震の速報が出てきた。

『震度4』のテロップを見て、結構大きかったことを実感する。

アナウンサーが淡々とニュース原稿を読んでいた。


「それでは被害が多かった北九州市内の模様を、森永さんお願いします」

ニュースを読むアナウンサーが、中継の方に声をかけた。

だけど画面は変らずスタジオを映していた。

「おい、どうなっているんだ?」と怒号のようなものが聞こえた。

おそらくスタッフの声だろう、かなり慌てている様子だ。


そして切り替わった画面を見るなり、何気なく見ていた僕は思わず画面を食い入るように見始めた。

それは、全く想像しなかった画面だったから。

見えたのは黄色い物体、それが画面を覆う。

金色色に光る機械的な画像の黄色い壁に見えた。


「た、大変です!これは……なんでしょうか?」

レポーターらしき声が聞こえるが、画面と全くシンクロしていない無機質な壁が見えた。

いや、壁じゃない。その壁をよく見ると黄色い無機質な何かが見えた。

だけど徐々に画面が離れた。これがとてつもなく大きなものであると分かった。


下の方が広くて、上の方に行くにつれて尖がったきれいな三角形の形をしていた。

巨大なピラミッドだ、突然ピラミッドが海上に浮かび上がっていた。


「ピラミッド……ですね」

レポーターの声が聞こえると、ピラミッドの画面が徐々にある場所をアップにしていく。

そのカメラワークは、そこだけこげ茶に変色した壁を映し出した。


「人類よ……退屈しのぎにゲームを始めよう」

その声は、どこかで聞いたことあるような声質で始まった。男の太い声だ。

聞こえてくるは壁から……いや違う。

壁には間もなくして一人の顔が浮かび上がっていた。


そこに浮かび上がった顔は白いバタフライマスクをした、長髪の人物の顔が現れた。

口が動いてそこから声としっかり合っていた。

ピラミッドに顔ができたかのようだが、合成映像だとすぐにわかった。

テレビで前に見たことあるぞ、これはプロジェクションマッピングだ。


「わが名はオシリス、このピラミッドの王だ」

バラフライマスクの男が、勝ち誇ったように言い放つ。

オシリスと名乗る王は、画面のほぼ全部の映像を支配した。


「日本の中枢、本州はたった今より我が支配に墜ちた。

四国も北海道もこのピラミッドの中に封じ込めた」

仮面男オシリスは笑みを浮かべながら、宣言した。


「この世界は退屈に溢れている、実につまらない。

いろんなものを知り、いろんなものが分かれば、楽しいことは無くなってしまう。

想像も、希望も、興奮もないこの世界は退屈極まりない。だから……」

声質から男の声で言うピラミッドの人物は、少し間を開けて口を開いた。


「さあ、オシリスゲームを始めよう。勝者にはファラオの座を与えよう。

ファラオは絶対的な王だ、王になる資格を持つ者よ。このゲームに集うがいい」

それはピラミッドと『オシリス』の宣戦布告だった――


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