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刺激の渇望

1日更新というものを成し遂げてしまいました!←


とは言うものの、文章量が少ないのでそこら辺はご了承を。

政府第3会議室で激しい議論が行われている時、青垣渡(あおがきわたる)は飽いていた。生きている事に。

別段、世の中に不満があるわけでもなく平凡な日常を過ごす高校生である。

中学へ入学すると同時に勉強漬けの毎日。親からの過度な期待に耐えきれず、反抗も何度かあった。

しかし、高校に上がるとその反抗心すら失ってしまった。

そして高校生活2年目となると、目標がなければ自堕落に陥る時期である。

渡は学校帰りに友人たちと買い食いをし、意味のないお喋りを繰り返して、お互い帰路についていた。

その道中のことである。目の端にコンビニが映った。買い食いをしていたので何も買う気はなかったが、フラりと立ち寄ったことが事の始まり。


16年間マジメに生きてきた渡にとって、犯罪の道は未知の域だったのだ。

その場所に触れてみたいという好奇心が出てしまったのが運の尽き。


気が付いた時には商品が制服のポケットにスルリと滑り込んでいたのだ。

やってしまったという罪悪感とともに、飽和生活から解放された気分にもなった。

内心は驚きと恐怖で満ちていたが、それを外部に漏らす訳にはいかない。

渡は平静を装いながら店内を出ていく。が、やはり世の中は甘くはなかった。


「君、ちょっと事務所まで来てくれるかな?」


若い私服の男性に呼び止められ、背筋に悪寒が走る。頭をよぎった考え…それは、補導。

こんなところで捕まってたまるか、という考えと同時に渡は走りだしていた。


「待て!」

と怒鳴り声が飛んでくるが、そんな言葉で止まるはずがない。

俺は逃げたかった。

若い男から。恐怖と刺激という快楽から。一度でも快楽を覚えてしまえば、身体はそれを求めようと躍起になる。麻薬を求めるように。

何とか男を振り切り、路地裏に逃げ込んだ渡は何を盗ったのかを確認した。

それは、何の変哲もない無機質な消しゴムだった。


「こんな時まで勉強に固執しているのか、俺は」

自分にあきれ果て、その場に崩れ落ちた。

罪悪感と後悔の念が一気に増してくる。これで人生にヒビが入ったのかと思うと、目の前が真っ暗になりそうだった。

すると、渡が自分を責めている間に白衣を着た人たちが渡を取り囲んでいた。


「何だよ、お前ら…俺を捕まえようってのかよ」


渡の言葉に白衣を着ている内の一人が口を開いた。


「青垣渡さんですね?窃盗罪の容疑で連行します」


淡々とした口調、ニュースでよく聞く単語。その人が言った言葉を全て理解した時には、既に車内へと押し込まれていた。


「わかったよ、警察でもどこへでも行ってやるよ」

渡はふてくされ気味で言った言葉だったが、運転手の男は律儀に答えた。


「我々は警察ではありません。貴方を研究所まで連行し、罪を償っていただきます」


警察ではない?研究所?罪を償う?

色々な疑問が浮かび上がりその男に問おうとしたが、どうせ逃げられないなら聞かない方がマシだと思い、ふて寝を決行。


渡はふと頭の中に母親の顔が浮かんできた。

自分が小さい頃から、女手一つで必死に育ててくれた唯一の信頼できる肉親。

しかし、渡はその母親を裏切ったのだ。

刺激という快楽を味わう為に。

母親に対する懺悔を頭の中で済ませ顔を上げると、無機質な白い壁が視界に入ってきた。ここが奴らの言っていた研究所なのだろうか…。

「さぁ、着きましたよ。貴方の罪を償ってもらう場所に」

男が合図を送ると、俺は数人の研究者たちに挟まれる形で連行されていった。

研究所へ着いた時には深夜0時に等しい時間だったのである。


さてさて、今回で主人公がやっとお出ましです。


まだ動きはあったと思うのは作者だけでしょうか?



次回投稿も、なるべく早くにしたいですね…。

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